人に何かを伝えるときは、私=「I」を主語にしてメッセージを発信すると伝わると『33歳からのルール』に書いてあったな。あなた=「YOU」だと客観的で批判的に捉われかねない。
「そうかー。俺は、身体をいたわって欲しいと思うけど。結婚は考えているの?」
「まだそこまで…。このことを彼に言うべきかも」
「うーん、わかんないけど、俺は人生トータルでこのことがどれくらい重要か考えないといけないと思うな。俺は33歳で、独身で、将来のことあまり考えていないけど、自分にとって重要なことは常に考えているよ」
「重要なこと、ですか」
関野さんは涙目だ。
「うん、重要なこと。将来何をするにしても、ゴールがあるなら、押さえておかないポイントがあるわけじゃない?」
「そうですね」
「そこを考えたら自ずから答えが出てくると思うよ。俺は身体を大事にして欲しいけど」
「考えます。また相談させてください」
さて、この事実を中山にどう伝えよう。あいつは関野さんのことが好きなんだよな。
現実とはなんとも非情なものだ。なんだか空しくなったが、これもまた人生。
知らない間に卑屈だった俺はいなくなっていた。 部下のフォローをしながら、上司からの信頼も得る。時に、無理難題をつきつけられるときもある。33歳というのはとても微妙な年齢なのかも知れない。そんな年齢である自分が嫌だったのかも知れない。
しかし、今は違う。33歳という自分の年齢を受け入れている。
逃げたいときなんて山ほどあるし、線路に飛び込もうとしたこともあった。でも、もう責任ある立場にあり、社会人である自分から逃げることもできない。
だからこそ、思いっきり仕事につかってやろう。
俺にできることはそれしかないんだから。
みんなが幸せになるために、そして俺自身が幸せになるために。
仕事のルール76. YOUメッセージではなくIメッセージ
仕事のルール84. 君にとっての「重要事項」は何だろう?
え? 中途半端なところで終わりだって? そうだね、いろいろ気になることたくさんあるよね。俺や中山のその後とか、上原と関野はどうなったのかとか。
その後の話は、またの機会に。
あと、中山は中山でいろいろあったみたいだね。中山の物語はこちらから読めるので、読んでやってくれ。では、これにて失敬。
(作/金井元貴、挿絵/緒崎およ)
- 書籍名:33歳からの仕事のルール
- 著者:小倉 広
- 出版社:明日香出版社
- 定価:¥ 1,470 (本体価格+税)
- ISBN-10:4756913407
- ISBN-13:978-4756913401