◆この物語の楽しみ方
この物語は明日香出版社から出ている『33歳からの仕事のルール』を題材にしたビジネスRPG小説です。
物語を読み進めて行くと、あるところで選択肢が出現します。その選択肢に正解しないと物語は前に進みません。また、『あたりまえだけどなかなかできない 25歳からのルール』を題材に扱った物語もあり、2作ともに読めば、より主人公たちの考えをしっかりと読み取ることができます。
右を向けば不況、左を向けば不況というこの時代。売り上げが落ちているのはうちだけじゃない。どんなメーカーだって同じだ。
そもそも人が物を買わなくなっているのに、どうやって売り上げを伸ばせばいいんだよ? 上司は「もっと売り上げを伸ばせ!」「工夫しろ」「努力しろ」の一点張り。オウムのように同じことしか言わない。「具体的にどうすればいいのでしょうか?」と聞き返せば、「自分で考えろ!」と一蹴される。
俺、松井秀雄が株式会社カナイという電機器具メーカーに就職したのは、今から11年も前のことだ。11年前も不況の波がすごかったが、今の不況っつーのは、なんか、違う。
焦りや不安が前と比べてもすごいんだ。
社会全体がそう感じているのか、それとも、俺が歳を取って33歳になって、そろそろ自分の人生から逃げられなくなってきたからなのか。どっちかは分からない。
俺はすぐ卑屈になるし、すぐ諦める、結構ロクでもない人間だ。ただ、周囲からはそう思われていないらしく、俺が愚痴をこぼすと「え、松井さん、そんな辛らつなこと言うんですか!?」と驚かれる。
経験上、感情を表に出すとロクなことがないから、あまり表に出してないだけだよ。
いつの間にか係長にもなってしまったし、うちの営業一課は体育会系が多いから、反対に極力理性的に動くようにしているだけだ。
そんな感じだから、俺の係にいる後輩、中山にはもっとしっかりして欲しいと思っている。
入社して3年目、25歳の彼は確かに要領悪いし、営業成績もいまいち伸びていない。でも、あいつは本当に一生懸命にやっているから、伸びないといけない人間なんだ。(まあ、あいつの成績が俺に査定に響くから、という理由が大きいんだけども)
ただちょっと懸念がある。最近、中山が卑屈になってきている。「俺はダメ人間」なんて言葉を吐くのは10年早い。だから、なんとかしないといけないんだけどなあ。
ある日の帰り道、駅のデパートにある本屋に寄った。
芥川賞作家・山田陽太郎の新作が大々的に並べられた新刊コーナーの端っこに、『あたりまえだけどなかなかできない 25歳からのルール』という本が置かれていた。
Q1 : さあ、松井はどちらの行動をとるべきか?
1、買って行っても良いが余計なことをすると嫌がるかも。干渉しないでおこう
2、この本を読ませれば部下が変わるかも。先輩として何か動かないといけないな
- 書籍名:33歳からの仕事のルール
- 著者:小倉 広
- 出版社:明日香出版社
- 定価:¥ 1,470 (本体価格+税)
- ISBN-10:4756913407
- ISBN-13:978-4756913401