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> 田中伸治『会社再生ガール』
『会社再生ガール』の出版を記念し、大ヒットビジネスノベル『女子大生会計士の事件簿』の著者である山田真哉さんをお招きして対談を行いました!
会社経営の「現場」に携わる2人の対談、是非お読みください
1、
「自分の貯金を崩して社員に給料払ったりもしました」(田中)
2、
「企業再生の現場はずっと将棋みたいな思考をしている感じ」(山田)
3、
「執筆のきっかけは中小企業の社長が相談しやすい環境を作りたかったから」(田中)
4、
「社内にCFOがいないのが中小企業最大の問題点」(田中)
5、
「『女子大生会計士の事件簿』から色んなヒントを頂きました」(田中)「あ、それはありがとうございます!」(山田)
6、
「経営者は自分の会社を客観的に見る力が必要です」(田中)
■「『女子大生会計士の事件簿』から色んなヒントを頂きました」(田中)「あ、それはありがとうございます!」(山田)
山田
これを読んでいる方の中で、CFOになりたい!という方がいたら、どのようなことが必要ですか?
田中
教科書的に勉強すればCFOになれるって勘違いする方も多いんですよ。でも、そうではなくて、いろんな知識と経験をバランスよく持っている方なのかなと思いますけどね。
山田
経営者にはいろんな知識と経験を持った参謀役が必要だということですね。やっぱり一人でなんでもかんでも出来ないですし。
田中
そうですね。それを税理士が担っている会社が多いんですけど、やはり税理士さんは税金に関してはプロですけど、会社経営に対してはプロじゃないんで、限界がありますよね。
山田
税理士は考え方が保守的ですからね。思考回路がいかに税金を抑えるかくらいで、投資とかそういうのを嫌がりますし。
田中
経験がないからですよね。自分が分からないことをなるべくやってほしくない。資金調達なんかも私のところに相談がきて『2000万円調達したいんだけど』という相談がきている中で、ある日突然電話がきて、「顧問税理士さんから『借入するくらいだったら会社なんか辞めちゃえ』って言われました」って。そういうこともあるんですよね。
山田
でも、資金調達するには厳しいご時世ですよね。
田中
そうですね。うちに相談に見える会社は中小企業が多いのでなかなか資本を入れるというスキームは描きにくいんですよね。あとは、金融機関とのネットワークを持っているので、与信があればうちのルートをご紹介させて頂いていますね。
山田
でも大体は金融機関が見捨てるような会社さんが田中さんのところにいらっしゃるんですよね。
田中
そこが問題なんですよね(笑)。普通の資金調達というのは難しくて、会社の将来性や事業の中に魅力があれば資本業務提携で一部出資というスキームは可能かも知れません。
山田
それは何処が出資するんですか?
田中
事業会社です。
山田
同じ競合他社ですね。
田中
そうです。資本を取って上手く事業提携をしていく、と。
山田
さて、この本に話を戻そうと思います。この小説は5章プラスアルファなんですが、これは1つの会社の話なんですか?
田中
メインの会社がありまして、その中で紹介しきれないスキームとか補足したい内容がたくさんあるので、サブエピソードとして2つくらいの会社が出てくる感じですね。
山田
メインは温泉旅館。
田中
老舗の温泉旅館の再生ですね。
山田
老舗温泉旅館で、単なる金融スキームでなんとかするとか、接客をよくするというサービス面だけでもなく。これはどういった再生の話なんですか? あ、ネタバレしない程度にという編集者さんからのお達しがきているんですけど(笑)
田中
過剰債務を抱えている会社を金融機関と交渉して債務圧縮し、事業の選別をしながら……という感じですね。
山田
なぜ温泉旅館を題材にしたのですか?
田中
はじめは、以前私が勤めていた製造会社にしようかなとか考えていたんですけど、もう少し読者が馴染みやすい業種のほうがいいかな、と。
山田
製造業は馴染みないですよね。
田中
ちょっと硬くなっちゃうんで。テレビのドラマとかでも温泉旅館は比較的取り上げられていますし、入りやすいかなと思って。
山田
今回の温泉旅館のモデルとかはあるんですか?
田中
特にモデルはないですね。
山田
実際の再生スキームとかのモデルはあるんですか?
田中
少し変えていますけど、私が過去にお手伝いした会社で使ったスキームを色んな形で紹介しています。そのまま使ってしまうと社長さん怒ってしまうんで(笑)。でも、基本的には私が経験した内容で書かせていただいています。
山田
じゃあこれは本当に勉強になりますね。なんで主人公は女性なんですか?
田中
それもですね、社長さんが親しみやすいかなと思いまして。
山田
ちなみに、これは何歳の女性なんですか?
田中
25歳です。
山田
若い方がいいですね。そりゃそうだ(笑)。
田中
小説として楽しめるという観点でも女性の方がいいかな、と。
山田
モデルとなった小説とかあるんですか?
田中
山田先生の『女子大生会計士の事件簿』は全巻読ませて頂きました。
山田
あ、本当ですか? ありがとうございます!
田中
1年くらい前から読ませていただいています。
山田
それは自分で小説を書くからという理由ですか?
田中
そうではなくて、単純に面白いなと思いまして。なかなかああいった形式の本はないので。先生の小説も藤原萌実さんが主人公で面白い展開だったので、いろんな形でヒントをもらいました。
山田
だからこの2人の対談なんですね! そういう繋がりがあったんだ。でも、読者ターゲットが男性の場合って主人公は女性の方がいいですよね。
田中
抵抗がないですよね。
山田
あとね、男性を主人公にしちゃうと、出てくる人物、全員男性になっちゃう可能性があるんですよ。
田中
そうなんですよね。話の展開も持っていきにくいし。
山田
社長にしろ、従業員にしろ。脇に女性をおいても死んでしまうんですよね。
田中
なるほど。
山田
だから女性を真ん中において、紅一点にすると動かしやすいんですよ。ちなみに難易度的には『女子大生会計士の事件簿』と同じくらいですか? それとも難しい感じですか?
田中
『会社再生ガール』の方が、少しテクニカルな部分が多いかも知れませんね。
山田
テクニカルな部分とストーリーの部分の割合って、何対何くらいですか?
田中
ストーリーが6でテクニカルが4くらいですかね。
山田
それを聞いて腑に落ちました。だいたい『女子大生会計士の事件簿』は8:2の割合なんですよ。ストーリーが8で、テクニカルが2くらいのイメージですね。でもテクニカル4はすごい勉強になると思いますよ。よくテクニカルは8くらいがいいんじゃないかと思われがちなんですけど、テクニカルが5を超えると読めないんですよね、もう。だったら専門書読もうよ、という話になりますよね。だから2から4くらいがちょうどいいんですよね。
田中
ストーリーからいきなりテクニカルな話になると、突然話が変わってしまうんで、そのさじ加減が苦労したところです。
山田
そこをいかにスムーズに流すかというところですよね。最近小説系のビジネス書って多いんですけど、売れてない本ってそこが出来ていないんですよね。ここまではお話、ここからはテクニカルというように。実際にこういったビジネスノベルの本は今後も出そうと思っていますか?
田中
はい、やはり発行の趣旨が中小企業経営者が相談しやすい環境を作るということなので、今後もどういうペースでいくかということは分かりませんけど、続編という形で発行させて頂ければなと思います。
山田
主人公の女性は相馬明日美さんという名前だそうですけど、この由来は?
田中
いや、いろいろな名前を考える中で、たまたまその名前になっただけですね。
山田
ちなみに僕は未見の段階なんですが、この小説の中に田中さん自身が反映されていたりしますか?
田中
主人公の相馬明日美が所属するコンサルティング会社がありまして、そこの代表という形で私を反映しております。
山田
それはカッコいいおじ様みたいな感じですか?
田中
非常にカッコいいですね(笑)実物を見てガッカリされないか心配なんですけど。非常に優秀でカッコいいですね。著者の特権としてそういう風にしています。
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