―では最初に、本書を執筆するきっかけから教えてください。
「ちょっとややこしいんですけど、最初、NHKから『情報は1冊のノートにまとめなさい』の著者の奥野宣之さんにノート術に関する取材依頼が来たんですね。でもちょうど奥野さんが出張で出演できなくなってしまって、今回の出版元になっているNanaブックスの方の紹介で、僕が代理で出演することになったんですね。それが縁になって、Nanaブックスさんからノート使用術の本を出すことになったんです」
―今おっしゃられた通り、本書はノートの使用術をテーマに書かれていて、書き方やステーショナリーの使い方などのノウハウがつまっています。仕事の効率化において、ノートの使い方が重要だと気づいたのはいつ頃でしたか?
「社会人になってすぐ…、会社に入社してすぐですね。
そのときは、与えられた仕事をやってそれをきっちりこなして結果を出すだけで良いと思っていたんですよ。でも、結果を出して意気揚々と報告しに行ったら『それは当たり前でしょ』って言われてしまって。つまり、やるべきことやっているんだから結果が出るのは当たり前であって、1ランク上を目指すなら、意外なことを探さないといけない。つまり、仕事をする上で工夫をしないといけないことに気づいたんです」
―そこからノートの使い方を工夫し始めた。
「そうですね。ノートの使い方として、学生時代までは覚えるために使うじゃないですか。でも、社会人になってからのノートって、基本的に忘れるために使うと思うんです。あとは、たくさんのことが同時に起こるってあるじゃないですか。そのときに慌てないようにノートを工夫して整理するとか、そういうことですね」
―ノートの使い方に関する本というのは、他にもたくさん出ていらっしゃると思うんですね。本書はどういった点で類書と違うと思っていますか?
「実はこの本を書くにあたって、ノートの使い方や時間管理・仕事術についての本は全部チェックしたんです。そこで分かったことは、そういった本は“メモの取り方”みたいな個別の部分にフォーカスし過ぎてしまっている気がするんですね。じゃなくて、この本は何のためにノートを書くのか、そういうところから説明して、更にノートの使い方そのもののノウハウをブレークダウンして書いているので、その点は違うかなと思います。必ず結果を求める、結果が出せる技術として書いているんです。」
―では、本書を実践していくうえで、気をつけなければいけないことはありますか?
「ふんふんと読んでいくだけではなくて、やはり本書の中のノウハウを1つでもいいので決めて、実践してみるということが大事だと思います。1つだけでも、自分で実践してそれを取り入れられれば、他人の経験が自分の経験になります。ただ単純に『良い本だったな』というだけでは意味がないんですよね。取り入れて実践してみる。そういう風にしてもらえるとこの本の意味があるのかなと思います」
―今回美崎さんが執筆したのはビジネス書ですが、美崎さんは普段どのような本を読まれていますか?
「本は1日1冊くらい読みます。ビジネス書ももちろん多いですけれど…、でもいろいろ読みますよ。泣ける本とか(笑)。最近だと、清涼院流水さんの『忘レ愛』は本当に泣けましたね」
―美崎さん流の読書術というものはあるんでしょうか。
「僕の場合は、一度、その著者にハマってしまうとその人の本を一気に全部読んでしまうんですよ。本田直之さんを一気に読んでしまったり、山田真哉さんを一気に…といった具合です。実はそうした方が非常に頭に入ってきやすいんです。
例えば本田さんの思考パターンをインプットして『レバレッジ・マネジメント』と『面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則』を読み比べてみると、同じ章構成で、同じ内容のことを書いていることに気づくと思います。ただ、ターゲットが違うので、書き方は全く違う。一気に同じ著者の本を読むことで理解しやすくなるわけです」
―では、この本をどのような方に読んで欲しいと考えていますか?
「やはり、会社を楽しくしたい、毎日楽しく仕事をしたいと思っている方に読んで欲しいと思います。結局、自分だけがノウハウを持っていて、自分だけ成功しても世の中は良くなりませんよね。入社1年目の人が、この本を読んでうまくいったりという風に、皆がうまく行かないと、世の中はうまくいかないわけですからね。ノウハウをみんなで共有して欲しいですね」
―次に本を書くとしたら、どのような本を書きたいと思っていますか?
「僕、文房具が好きなんですよね。この本の最後にも『仕事ノートに使うお勧め文房具』という章を入れていて、お勧めの文房具を紹介しています。本当はもっと載せたい文房具があったんですが、ページの関係上、泣く泣く削りました(笑)。でもこれだけで本を出してみたいですね。
でも、文房具は仕事をする上でこだわらないといけない部分だと思うんです。本書でも書きましたが、オリンピックの選手が毎年記録を更新できるのは、道具が進化したり、工夫したりするからなんですよね。それは仕事にも言えると思います」
―プロフィールを見させて頂いて、「スーパーサラリーマン」という別名をお持ちとのことなんですが、そう呼ばれることについてどう思いますか?
「そうですね…(笑)。なんなのかよく分からないですけど、勝手に皆が言っている、という感じですね(笑)」
―(笑)でも、そんな美崎さんに憧れる方もたくさんいらっしゃると思います。では、スーパーサラリーマンになるにはどうすれば良いのですか。
「そうですね…。スーパーマンになるためには、電話ボックスに入らないといけないと思うんですが携帯電話が普及して電話ボックスがなくなりつつありますよね(笑)。
それはさておき、スーパーサラリーマンって誰でもなれると思うんですよ。普通にサラリーマンをしていて、仕事をどこまでやるかは自分のライフプランとかにもよるけれど、いろんな人に会って人脈を広げたり、仕事を工夫したりとか、そういうところでプラスになるところはたくさんあると思うんです。
また、結局は自分のしたいことするのが一番だと思います。だからこそ、いかに仕事の効率を上げるかということが大事なんです。例えば10分かかるコピーを、5分でやってみる。そうすると、時間は5分短縮されるので、5分あくわけですよね。その短縮した5分を自分自身の時間として投資できますよね。」
―では最後に、読者の皆さまへメッセージをお願いできますか?
「この本は誰もが出来ることを書いているつもりなんで、なんでもいいから1つ見つけて、それを実践して欲しいな、と思います。仕事を工夫するヒントが詰まっていると思うので、是非読んでみてください」
―ありがとうございました!