書名：

出稼げば大富豪

著者：

クロイワショウ

価格：

￥1,680(税込)

出版社：

KKロングセラーズ

発行日：

2009年6月5日

ISBN（13桁）：

9784845421534

ISBN（10桁）：

4845421534

• 「一カ月弟子入りさせてください」「はよおいで」
• バリ島到着
• 大事なのは気づくこっちゃ
• 洗濯機の中の地球
• キウイとペンギン
• 株式投資なんか
• モノとカチの分離
• 睡眠は完全に悪
• ３倍速くやる方法
• 儲かることって何なんですか
• カルデラの豊かな水は河口まで幸せにする
• プレート・プルプル？
• 疑うことを怠ったことがないねん
• 子供はこの国の未来や
• 豊かというのは他人様を幸せにすることや
• デカセギ復活論
• 不動産の意味
• 置換積分
• 日本が失ったもの
• 神さまのいるところ
• さわやかに勝る快感なし
• 「失敗学」
• トリトンやないねんから
• ルーツ・オブ・兄貴
• 忙しい、できないを徹底的に排除しろ
• カメよ、寝てるウサギを起こしたれよ
• 人生はドラクエ
• 貧しさと豊かさ
• あいらしくほほえましくあること
• エネルギーのひ・み・つ
• だから八百屋の大将や
• ないもの＝これから必要な可能性が高いもの
• 今でも切り込み隊長
• 着眼をもってして着岸点を間違えない
• ばらまくことで共通認識が生まれる
• 民族舞踏ジェゴク・インターン
• 世界ウルルンぶっちぎり
• 完全に縁や
• 即答できへん奴はウソつきや
• おばちゃんの豊かな老後
• 兄貴の感動
• つらぬこうとする意思が大事なんや
• タイムトラベラー
• インパクトでいけ
• 情がすべてや
• September Ends

ぼくは、グーグーと朝の惰眠をむさぼっていたら、
ドアがガーンと開いた。

「おい、行くぞ」

ドアの隙間から、兄貴がニュっと顔を出した。

ぼくは飛び起きる。
いや、あの、あっ朝飯もまだですけど……

「アホ、飯なんかいつでも食えるんじゃ。ついてこい」

ぼくは、大慌てで、ノートパソコンをカバンに放り込んで、ヴィラを飛び出した。

兄貴、ぼく、どうしたらいいですかね？
会社たたむしかないですかね？

っと、ぼくは、兄貴に尋ねてみた。

月20万円の給料を出すことすらままならない、
零細企業、ホープフル・モンスター株式会社。
これがぼくの会社である。

最近、よく「ホームレス・モンスター」と呼び間違えられたりする。
完全に意味が真逆である……トホホ

「おまえ、月20万難しいんか？ ガハハハハ。しっかりせえや。社長」

兄貴はたからかに笑い出した。

「おれなんか時間１００万やで。何時間仕事するかどうかは別にしてな」

そう言って兄貴は、ウィンクした。

兄貴の日収は日本のトップ企業の役員の年収以上ではないか。

この違いはいったい何なのだろう……

ぼくは深く嘆息した。

じゃあ、どうやったら兄貴みたいに成功できるんですか？

「そう聞く奴に成功はない」

そうさらりと言ってのけた兄貴は、
ラッキーストライクをくわえて、火をつけた。
そして、チラリとぼくを一瞥した。

「あのなあ。どうすれば失敗しなくて済みますか？　こう聞けっち
ゅうねん。そう聞く奴は成功する」

んん？
成功する＝失敗しない、ってことだから、聞き方が違うだけで、
質問の意味は同じじゃないですか？？

「意識は肯定にあり、知識は否定にあり」

兄貴はニっと笑った。

車は、夕暮れの街を、疾走していった。

つまり、ポジティブに考えながらも、
失敗に照準して、その知識を得よ、ということか。

たしか、大ベストセラーとなった畑村洋太郎さんの
『失敗学』も失敗に照準していた。
兄貴、すげえ……
東大教授と同じこと提唱しちゃってるよ……。

ダイエットでは、やせるための努力よりも、
太らないための努力が重要らしい。
これも同じことだな。

ん？ 違うか？

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