■住まいが人を幸せにも不幸にもする
どうしても新しい恋に巡り合えない」という女性がいました。もちろん彼氏は欲しい。でも、何故か巡り合えない。理由を聞いてみると「家に帰ると気持ちが盛り下がる感じがする」と言うのです。さらに聞いてみると、今住んでいるマンションは3年前、大失恋して「もう二度と恋愛なんてしない!」と決めたときに購入したものでした。八納さんはその女性に「家づくりを成功に導く発想法」をもとにアドバイスをしたところ、女性は「全然違う気分になってきました!」と言って帰っていきました。
この一例から、自分が思っている以上に、住環境が普段の生活や価値観に影響を及ぼしているということがよく分かると思います。
八納さんは家づくりのためにそれぞれの家族の話をじっくり聞くなかで、「家を建てるときには、このことをきちんとしておいたら、住んだ人が幸せになる」という共通項を見出したといいます。「住まいで人の意識が変わる」、だからこそ、しっかりと考えて家づくりをすることが大事です。
■大好きな家に住むと人生はよくなる!
家を手に入れるとき、「家を買う」という意識で手に入れると、何年かするともう新居に飽きてしまう人が多い八納さんは言います。つまり家を手に入れることがゴールなのか、それともスタートなのか、その違いです。
一方、「家を建てる」という意識を持つと、自然に家族の形態やライフスタイルに合わせて、長く快適な生活を送っていくための知恵や工夫を盛り込みます。つまり土台からつくり上げていこうとします。この意識の差があなたの人生を幸せにする住まいになるかどうかを決めるのです。
もちろん、賃貸でも大好きな家にできます。大好きな家にするには、本書を読んでいただくとわかるように、家族全体の夢がポイントです。一人で決めるのではなく、夫婦でしっかりと話し合って決める、八納さんは「家族全体の夢」を導き出していくからこそ、軸のぶれない家づくりができると考えているそうです。
■幸せと豊かさを引き寄せる家の基本
本書の第2章「幸せと豊かさを引き寄せる家の基本」では、家の各部分が果たす機能やその役割について、「家族が幸せになるために」どう使いこなすべきかという視点で語られています。
例えば「リビングルーム」は社会の象徴する場としての意味合いを持っています。自分とは異なるさまざまな条件を持つ人とコミュニケーションをとり、社会性を磨く場なのです。子どもにとって最初の社会経験の場と言えるでしょう。
こうしたことを頭に入れながら。間取りを考えるときは家族の希望と実態のズレが大きくなる前に、将来まで見据えてライフスタイルの方向性を整理することが大切です。
本書はこれから住まいづくりを考えている人だけでなく、住まいに興味を持っているすべての人に向けて書かれた、「家づくりを成功に導く発想法」を教えてくれる一冊。今住んでいる家はどうでしょうか? これからどんな生活を送りたいと考えていますか?
本書は家族全員が幸せで、よい人生を送るために導いてくれるはずです。
神戸市生まれ。
広島と東京を拠点に「快適で幸せな建築空間づくり」を専門にする建築家。一級建築士。株式会社KEIZO ARCHITECT OFFICE代表取締役。社団法人日本建築家協会会員。多数の住宅の設計に関わってきた経験から、住環境が住む人を幸せにも不幸にもする事実を知る。設計段階でじっくりと話し合う独自のスタイル、物腰の柔らかさや心温まる空間デザインで、建て主は30?70代と幅広く全国的に口コミで広がっている。 設計活動を行う傍ら、全国的に講演活動や執筆活動を行っている。専門家サイト「ALL ABOUT プロファイル」では建築家部門のコラムコンテンツ評価において2007年から3年間にわたり1位を獲得するなど、独自の視点で人気を博している。まぐまぐ殿堂入りメールマガジン「住むひと全てが幸せになる家づくり」の発行、テレビ出演、雑誌掲載など多数。著書に『わが子を天才に育てる家』(PHP研究所)がある。家族心理カウンセラーの妻と一緒に2009年「子供の住環境を考える会」を発足。子供にとっての住環境の大切さを伝える普及活動も行っている。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)