ベストセラー作家 テレビ東京系『ワールド ビジネス サテライト』で大反響!『日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方』神田昌典氏推薦!「まさに魔法のマネジメントがここにある。これで日本企業は復活できるぞ!」

インタビュー

―まずは山本さんが代表取締役をつとめる「EC studio」について、簡単にご説明いただけますか。

EC studioは中小企業の経営のIT化を支援している会社です。ITで売上を上げる、またITを使ってコストを削減することで利益を増やす。あとはITで社員満足や社風を向上させる、この三本柱ですね。 具体的には、例えばアクセス解析ツールを提供・診断して売上アップを支援したり、また業務効率を上げるためにグループウェアやセキュリティソフト、マインドマネージャーというマッピングソフト、動画を活用するためのソフトなど、全て我々が実践して良かったということで全社導入しているもののみを代理店となって提供しています。 また、販売だけではなく、ソフトウェアならそのジャンルで最も優れているものを選別もしています。中小企業さんがソフトウェアを入れたいと思っても、価格面や機能面でどれが本当にいいソフトなのかわからない場合が多いので。 それと、我々はソフトウェアだけでなくトータル的に効率化していただきたいので、最近では『IT経営実践会』という会を作りまして、経営をITで徹底的に効率化するための考え方やITの活用法、動画マニュアルやトラブルシューティングなどをノウハウを提供しています。

―この度、EC studioさんは2年連続で日本一社員満足度が高い会社として認定されましたが、その感想を教えていただけますか?

我々としては改善する項目に興味があったので、1位という結果自体には “あ、そうなんだ”くらいの感想ですね。というのも、そんなに大したことはやっていないと思っていたんです。2年連続1位、すごい!というのは周り言われた感じですね。 それで“じゃあどこかメディアにでも送ってみましょう”ということになって送ると、今は若手社員のモチベーションが低いとか、離職率が高いとか、仕事が楽しくない方が多いということがあって、それにメディアの方に着目されはじめた。そういうこともあって取り上げていただいてはじめて、こういうことが注目されるものなんだ、と気付かされた感じです

―ワールドビジネスサテライトなど、今やEC studioさんは様々なメディアでも取り上げられていますけども、これは最初から狙っていたわけではなく、結果的にそうなったということでしょうか。

メディアは狙って出た感じですね。なぜかというと、我々はソフトウェアを売っていますけど、それだけなら別に「EC studio」という名前をそこまで売らなくても良かったんです。 でも先ほど申し上げたような『IT経営実践会』ということになると、“じゃあ君の会社はどうなんだ?”という目で見られるわけですよ。そうなった時にメディアに出ていたりとか、社員満足度NO.1の認定を受けているとか、神田昌典さんが絶賛している、という裏付けが必要だったんです

―ここまで徹底的にIT化している会社というのは珍しいかと思いますが、ご自身が立ち上げた会社を今のようなスタイルにしようと思った理由を教えていただけますか。

そうせざるをえなかった、というほうが正しいです。“なぜ今のようなワークスタイルにしようと思ったんですか?”と前にも聞かれたことがあるんですけど、学生時代に立ち上げたこともあって“普通の働き方”を知らなかったんです。 また、会社を立ち上げた当時はアメリカにいたので、顧客とは会えないし、電話を受けられないのでメールを使って、ということでないとサービスを提供できませんでした。在宅スタッフさんに仕事をお願いする時も全部メール経由でやっていましたし、時差もあるということで、必然的にパソコンを通してしか指示を出せなかったんです。 そのスタイルでコストが抑えられてお客さんも増えていくと、もうお客さんと会ったり、電話を受けるというスタイルがビジネスモデル的にも合わなかったんです

―今回出版される著書『日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方』にも書かれていた、顧客と会わないという点についてなのですが、顧客と実際に会わないということが信頼関係を築くうえで障害になったりはしなかったのでしょうか。

その分ウェブサイトを見やすくするとか、購入までのステップを短くわかりやすくして、レスポンスを速くするとか、いいものを安く提供するというのを徹底しました。あとはEC studioという名前をもっと知ってもらって、“ここの会社なら安心”と思ってもらえるようになったらもっといいかなと思っています。 僕はお客さんに問い合わせをされたら負けだと思っています。問い合わせをするということは、わからないことがあったり不満があるということなので、問い合わせをさせる必要がないサービス提供を目指しています

―『日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方』がAmazonランキングで1位となりましたが、このことについて感想をいただけますか。

Amazon1位は外せないと思っていました。でも前回の本(『iPhoneとツイッターで会社は儲かる』)の時は村上春樹さんの『1Q84』がありましたし、今回も水嶋ヒロさんの『KAGEROU』というライバルがいたので厳しかったですね。書影も出ていない段階から1位2位を取られたらやる気なくなりますよ(笑)でもツイッターなどで協力してくれた方もいたこともあって達成できました。ツイッターはそういった方々と一緒に達成感を味わえるのでよかったです

―『日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方』をどんな方に読んでほしいとお考えですか?

社員のモチベーションが上がらない、利益がなかなか上がらない、離職率が高いことなどに悩んでいる経営幹部の方や管理職の方、また仕事をもっと楽しくやりたいと思っているけど、どうしていいのかわからないビジネスマンの方に勇気を持ってもらえたらいいなと思います。この本を読んでいただいて“こんなことをやっている会社があるみたいですよ”と上司に言ってもらえたらいいですね

―山本さんがこれまでEC studioを経営されてきたなかで一番辛かった思い出は何でしょうか。

“このやり方でいいだろう”と思ってやっていたのに、どんどん主力メンバーが離れていってしまったことですね。 僕は会社ってそういうもんだと思っていたんですけど、週6日、朝9時~21時までの仕事、有給なし、祝日なし、週1日休み、給料20万で、トップダウンでガンガン決めてやっていくというスタイルの会社ってブラック企業なんですね(笑) 今回の本についてのインタビューが載った記事のはてなブックマークのコメントを見ると“ブラック企業から社員満足度ナンバーワンになるまでの過程の話”っていうのが一番多かったんです。 今はサービス残業も多いし、給料が下がっている会社も多い中で、EC studioがブラック企業から日本一社員満足度が高い会社になるまでのノウハウや考えが書いてある本というのは共感しやすかったのではないかと思います

―退職されてしまった主力メンバーの方々というのは、やはり仕事がきつすぎるという理由で辞めてしまわれたのでしょうか。

潰れていくというか…“頭痛がする”とか“会社に来れない”とか、そんな感じでした。僕の方は“気合いが足りてないんや!”みたいな感じだったし無茶させてしまっていたな、と今は思っています

―本書に書かれている“しないこと14カ条”の中に“株式公開をしない”というものがありましたが、その理由を教えていただけますか?

自分たちのやりたい経営ができないとか、株式公開をすると社員満足度第一ではなく、株主第一になりがちだと思うのでやらないということですね

―その方針は今後も変わらないのでしょうか。

そうですね。ますます意思が固くなっていくというか(笑)やりたいようにやりたいなと思ってます

―売上の上限を決めている会社というのは聞いたことがありません。この方針も今後変わらないのでしょうか。

規模が大きくなると大変じゃないですか。でも人数少なくて売り上げがそれなりだったらいいわけで。売上が14億超えたら割引しようって言っているんですよ。または会社を分割するとか。14億くらいがちょうどいいと思うんですよね

―会社を大きくしたいというのは経営者の本能に近いものだと思っていましたが、山本さんは全く違いますね。

経営の目的は会社を大きくすることではありませんからね。会社は人生を良くするための手段ですから。だから会社では仕事だけできてもダメで、プライベートと両立できないとダメだよ、と言っています。 仕事のせいでプライベートが良くならないなら、それは会社のせいだから何とかする、と。でも休みがきちんと確保できて、バースデイ制度などプライベートを充実させるための制度がいくつあっても充実しないなら、それは自分に問題があるんじゃないの?、ということです

―山本さんは「お客様は神様」ではなく「お客様は対等」とも書いておられましたが、そのメリットはどんなところにありますか?

自分もしんどくないし、社員もしんどくないというのが第一です。 僕は自分で立ち上げたからには自分が入りたいと思える会社にしたいと思っていました。それはどんな会社かというと、“お客様お客様”となるのは、僕がサービス業に向いていない性格というのもあって合わないな、と。 同じ人間じゃないですか。たまたまサービスを提供して、お金をもらうかもしれませんけど、それだけの対価は提供しているはずだと思っています。

―この他にも本書にはEC studioで実際に行われているユニークな制度・ルールの数々についても記されています。こういった制度は社員の方々からの要望が元になっているかと思いますが、実際に施行されるまでにどういった手順を踏むのでしょうか。

ランチトークという、部下が上司をランチに誘うことができて、そのランチ代を会社から支給するという制度があるんですけど、そういう時に要望が出ることがあります。それがいいものだったら、幹部や部署のリーダーに聞いてみて、良かったら導入します。 制度に限らずソフトでもワークスタイルでもいいものは即日導入しますね。ただ、ある日を境に急に変わるとついてこれない人もいるので、動画マニュアルを作り、動画の通りにやればできるようにしています

―普通の会社だと、アイデアは出ても実際に導入したり実施したりするのが一番難しいと思うんですよね。

それはうちもそうだと思うんですよね。でも、コスト以上の効果が見込めるならいいんじゃないの?やってみてダメだったらやめよう、というスタンスなので、実施までの敷居は低いと思います。 それに、やりたいことがやれているとみんな喜びますしね。自分の提案が通ったら、よしまた提案しよう、となるじゃないですか。僕も提案は大歓迎です

―山本さんご自身の社員のみなさんに対する満足度は何%ですか?

95%くらいじゃないですか。社員が満足してないなら、それは経営者が悪いと思っているので。経営者が自分の会社の社員の不平不満を言うのはおかしいと考えていて、それを採用・教育したのは誰だ、ってことになるじゃないですか。 もちろん100%じゃないですよ。自分も社員ももっと良くしていかないといけません。でも今の状態には満足していて、さらに良くするためにはどうしたらいいか、というところです。社員に対して経営者が文句を言い始めたら終わりだと思っています

―これからEC studioをどんな会社にしていきたいですか?今後の目標がありましたら教えていただければと思います。

社員満足度1位にはこだわっていないんですよね。会社を継続的に良くしていくというところにはこだわっていきたいです。好循環のスパイラルを起こしていきたいというのがあります。 あとは、女性に対して在宅勤務ができるとか、フレキシブルな労働時間とか、クラウドで働ける状態にする、などはどの企業でもやろうとしていることじゃないですか。でも、僕たちはそんなもんじゃダメだと思っていて、生涯を通してイキイキと働き続けられる会社を作りたいというのが経営幹部のビジョンです。 もちろん一生働き続けてくれというのではなく、働き続けられる環境ということですね。若い時は若い時でイキイキ働けるし、60歳になったら60歳なりの仕事ができるような仕事環境。もちろん給料を上げ続けることはできませんが、年齢やスキルに合った仕事ができて、生涯のどの時点においても社員を輝かせる会社を作りたいです

(取材・記事/山田洋介)