政治家のホームページなどを見ると、とても立派な言葉が「これでもか、これでもか!」と並ぶ。
ビジョンを熱く語り、自分たちの持ち味を説明し、私たち有権者に訴えかけてくる。
でも、ホンネはどうなのだろうか。
『Beフラット』は、バックパッカーとして世界を旅しながらつづった『インパラの朝』(集英社/刊)で第七回開高健ノンフィクション賞を受賞した中村安希さんが、今度は日本の政治界に舞台を移し、政治家へのインタビューを重ねながら彼らのホンネを抉り出すノンフィクションだ。
私は本書を読み終わったとき、2つのことを感じた。
1つは、“信じられない”政治家がいるということ。それは日本国民として情けないとすら感じるものであった。
もう1つは、まだ日本の政治にも希望があるということ。それはしっかり現在の日本を見据え、正しく変えていこうとする政治家がいるということであった。
(*これらを感じた発言は、本特集ページにある立ち読みコーナーで抜粋掲載しているのでぜひ味わって欲しい)
災害、経済不況、そして人口減少。
そうした苦境の中で、今の若者たちがこれからの社会を担わなければいけないのは間違いない。そのとき、若者たちは既存の社会システムにとらわれることなく、常に疑いながら自分たちの社会を模索していく必要があるだろう。
『Beフラット』は18人の政治家へのインタビューを通し、今、日本政治が抱えている危うさと希望を映し出す珠玉のノンフィクションである。
本書を読んでいくと、怒りを覚えるところもあるかもしれないし、頼もしさを感じるところもあるかも知れない。その素直な感情を、私たちは選挙などを通してぶつけていくべきだ。
本書が日本を変える第一歩になるかも知れない。
(新刊JP編集部)
1979年、京都府に生まれ、三重県で育つ。高校を卒業後、渡米。カリフォルニア大学アーバ イン校舞台芸術学部を卒業する。 その後、アメリカと日本で三年間の社会人生活を送ったの ち、取材旅行へ。 2009年、『インパラの朝』(集英社)で第七回開高健ノンフィクション賞を受 賞。