■ 英語嫌いを克服するには「最初が大事」
―今回、クリス岡崎さんが出版された『30分で英語が話せる』ですが、英語を苦手だと思っている人も多いと思います。私たちは学校できちんと文法から1つ1つ覚えていき、それが合ってないとテストで○をもらえない。どうしても正しい文法で話さないと通じないのではないかという恐怖心もあると思います。
アメリカ人も文法は勉強するかも知れないけれど、学ぶ前からしゃべれているよね(笑)。日本人も国語で日本語の文法を学ぶけれど、文法を覚える前から日本語を話すことができるわけで、やっぱり環境から学ぶことと、勉強から学ぶことは違う。勉強は楽しくないことも多いし、成長を感じにくいからね。
でも、みんな追い詰められれば、意外としゃべれてしまうんじゃないかな? 海外の空港などで、大阪弁を使うおばちゃんが怒って空港スタッフにまくし立てるという光景を見たことがあるんだけど(笑)、空港スタッフがおばちゃんの使う英単語を拾って対応していて、本気でコミュニケーションする気があれば伝わるんだよね。とにかく、正しい英語でなくても、この人とコミュニケーションしたいんだと思えば、だいたいは伝わるんだ。
―そこで、『30分で英語が話せる』を執筆した経緯をお話して頂きたいのですが、本書は「楽しく英語を学ぶ」ということが軸になっていると思います。
僕は、ずっと英語を日本人に教えていたんだけど、もう1つやっていたことがあって、インターナショナルスクールで外国の子どもたちに日本語を教えていたんだ。
で、さっきも言ったように子どもたちにとって勉強は楽しくないものなんだよ(笑)。だから全部ゲーム形式で覚えていくようにしたら、最初勉強嫌いだった子どもたちがものすごくはまっちゃって、親御さんたちが驚くくらい日本語が好きになったんだよね。それも、最初からルールをたくさん覚えなくてはいけないゲームではなくて、とりあえずスタート時は細かいことを知らなくても出来る、というゲームで。ステージが上がっていくごとにだんだんと覚えることが増えていくという形式だと、成長が早いことに気づいたんだ。
―なるほど。ゲームの入り口を広くしたわけですね。
そのとき、英語も同じだと思ったんだよね。お勉強をして英語を学ぶというのは方法としては王道だけれど、出来るようになるためにもっと勉強しろ、というのは教える方の怠慢。先生の方も工夫をしなければいけないよね。
ほとんどの学習ゲームは、最初がとても簡単で自信がつくように設計されていて、新たな障害にぶつかったとき、自分自身の力で工夫して乗り越えていけるように先生が工夫するんだ。そうすれば子どもたちはどんどん言葉を覚えていくんだよ。
だから、日本人が一番つまずきがちな導入の部分をどうにかすれば、英語もすぐに話せるようになる! そもそも日本人は膨大な英単語の数を覚えているんだよ。テーブル、スプーン、ブック、コップ…カタカナ英語ばかりでしょ。ボキャブラリーだけなら、ネイティブの子どもが覚えているくらいの英単語を、すでに知っているんだ。あとは発音の部分だけ。なのに、自分は英語がしゃべれないと諦めてしまうのはもったいないじゃない?英語で話しかけることは勇気が必要だけど、正しい文法は必要なくて、正しくなくてもその一歩を踏み出せば世界が広がるよ!ということを伝えるためにこの本を書いたんだよね。
―本書の帯に「99%の人が英語が話せる方法」と書いてありますが、話せる能力は実はもともとあるということですね。
そう! カタカナの英単語だけで充分伝わるんだ。ただ、発音だよね。カタカナだからこそ通じなくなっている単語もたくさんある。この本で、注意すべき6つの正しい発音として紹介している部分。
■ 「実用性」と「正しく美しい文法」は全く違う
―それでも、やはり外国人に英語で話しかけるときには「伝わらないんじゃないか」という不安が起こると思いますが、不安や緊張を取り除くためにはどうすればいいのでしょうか。
外国人に英語で話しかけるときに緊張するっていう人は多いと思うけど、よく考えてみて! 日本人にだって、突然話しかけるのは難しくない? 切羽詰った理由がないとなかなか話しかけづらいよね。大阪のおばちゃんたちだったら、どんな人でも構わず話しかけられるかも知れないけど(笑)、そういった習慣がなければ難しいよ。
だから、外国人に話しかけるのが難しいのではなく、日本人でも難しいってこと。そこにさらに英語だから、さらに難しくなるという感じだよね。
―確かに、海外に行ったときに英語を話すシーンって、逆に“話さざるを得ない”ときですよね。物が買えないとか。
そうだよね。英語しゃべらないと物が買えなかったら、なんとかがんばって英語しゃべるよね(笑)
―通訳者としてもご活躍されているクリス岡崎さんですが、クリスさんの英語との出会いについて教えて頂けますか?
おそらく、赤ちゃんの頃だよ(笑)。テレビを見れば英語がすでにあったからね。学ぶという意味であれば中学校の授業だね。でも、成績は悪かったよ
―それは意外です。英語の達者な方々は、子どもの頃から英語に触れている人が多いので…。
そうじゃなかった(笑)。僕が英語に楽しさを感じた1つのきっかけに、外国人の友達ができたということがあるよ。向こうも日本語が上手だったから、僕が努力する必要はなかったけれど、自分が知っていることを教えてあげると喜んでくれて
―外国人の友人が出来たということが、英語を話す理由になったということですね。
そうだね。もちろん最初は文法も何も分からなくて、ブロークンイングリッシュだったけれど、ダメダメでも結構通じるんだなと思ったんだ。ときどき東南アジアに行くと、文法も発音も間違えている人が、自信たっぷりに壊れた英語で会話をしたり商売している姿を見かけるけど。そのとき、実用性と美しく正しいことは違うんだな、と(笑)
―以前、英語を手っ取り早く覚えるには、海外に行って外国人の恋人をみつけることが一番早いといわれたことがあります。
それは実際にそうかというと、それで英語を覚える人もいれば、そうでない人もいるというところかな。その恋人が本当に好きで、伝えたいことがたくさんあれば英語を覚えるだろうね。
ーでは、最後にこのインタビューの読者の皆様にメッセージをお願いします。
まずこの本のタイトルを見た人は、『なんだこりゃ、嘘だろう』と思うかも知れない。でも、高校を卒業している人のほとんどは英単語をいっぱい知っているはずだし、それらを使ってネイティブに話しかけることは出来るはず。もちろん、相手の言っていることを100%分かる必要はないし、こちらが美しく正しい英語を使う必要もない。本書を読む30分で、話せるようになるはずだよ。
誰かとコミュニケーションをとりたい、その想いで発せられた英語こそが、正しくて美しいコミュニケーションなのだと僕は思うんだ。文法的な正しさや美しさはいらない。最初の段階では、覚えておくことはほんの少しでいい。まずは英語で話しかけて、コミュニケーションを楽しむこと。それを味わってもらったら、人生は何百倍も質が高まるんじゃないかな。
早口で情熱的な語り口ゆえ、世界一同時通訳の難しい講演家として有名な世界NO1コーチ アンソニー ロビンズの主席同時通訳を7年間つとめる。
10年以上のベテラン の A級国際会議通訳達に 、「クリスの通訳を越える通訳を聞いた事がない。」と言わしめる。
通常の同時通訳者は思考の空白化を避けるために10~20分毎に交代しながら通訳をする所1人で休憩無しで8時間連続同時通訳という記録を樹立。また英語のスピーチで外国人達から1200万円近い寄付を集める。
英語のとっかかりは正しさより親しさと理解!いまだにスペルは良く間違えるにもかかわらず貿易などで日本人との付き合いの多いアメリカ人ビジネスマン達にも「クリス以上に英語の上手な日本人に合った事がない。」と言われる。
もともと英語は大の苦手で学校の成績での通知表では5段階評価で2~3であったにも関わらず、実際に外国人との実際のふれ合いの中から、日本の英語教育がメッセージが通じる事よりも正確で正しいかという教育である事に気付き、正しさにつまずくよりまず、親しくなれる学習法を開発。英語を学ぶには、人のタイプにあった学び方があると理解教科書や辞書で学びやすいタイプと、意義を感じ人からほめられて自信がついたらのびるタイプがあると考え、身振り手振りでのコミュニケーションから英語を学ぶ方法を開発。
外国人の子供達に、日本語にゲーム的要素を含めて教えた所子供達が食事を忘れるほど熱中して日本語をマスターする様子を体験
「楽しくほめられながら、正しさ重視ではないけれど、会話が通じてしまい、自信がついて結局話せてしまう。」という英語学習法を開発。
その後社会人向けに、ウェルス・マスター・イングリッシュクラブという英語教室を開校。
隔週3時間で各講座2万円以上という高額にも関わらず、口コミからの評判で、東京教室に北海道や九州からの参加者も多く参加する好評を得る。
正しさより実用性を求めるタイプの日本人のための英語のとっかかりは、「6つの発音、1過去形と1未来形、1文型。」など、正しくないけれど通じてしまう。楽しく実用的な英語で、国際的日本人を育成中。