だれかに話したくなる本の話

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「ライトノベル作家」に夢はありますか? 投稿サイト出身作家に聞く

■ライトノベル作家のほとんどは兼業作家!? キビシイ作家業の裏

 
――え!? では、いつ小説を書き始めたのですか?
 
かすがまる:その後ですね。ゲームとかマンガを読んでいると「ここはこうしてほしい」という欲求が出てくるんです。個人的な不完全燃焼ですね。ちょうど二次創作の文化がネットでも定着して、いろいろなサイトで二次創作のストーリーを読んでいたんです。それを粗方読み終えたところで、「自分でも書いてみよう」と。
 
そこで3作くらいオリジナルの長編ファンタジーを「小説家になろう」に投稿をしまして、4作目の「火刑戦旗を掲げよ!」を書こうと思ったときにちょうどMFブックスさんの「小説家になろう大賞2014」というのが開催されていて、募集ジャンルの中に戦記・群像劇というものがあったのでこのテーマで書いて応募してみようと。
 
――賞に応募するってかなりハードルの高いことだと思いますが。
 
かすがまる:ところがまったくそうではなく、応募用のタグがあってそれを付けるだけだったので、まったく「応募した」という感覚はないんですよ。タグをつければ目立つし、読者も増えるかなと。
 
 
 
――かなり軽いノリで応募されたんですね。
 
かすがまる:小説を書いていることが楽しいし、読者からの反応がたくさんあるとなお良いっていうくらいしかないんですよね。そうやって書いていたら光栄なことに優秀賞をいただいて、デビューをすることになりました。
 
――お仕事をされていながら投稿されていたんですよね。
 
かすがまる:そうです。今でも兼業です。ライトノベル作家さんだと知り合いでも8割は兼業作家です。
 
――普段はどんな仕事をされているのですか?
 
かすがまる:塾を経営しています。自営業なので融通はきくのですが、実は育児も忙しくて…。娘が2人いるのですが、授乳以外はすべてこなせるので、塾で授業をしながら、育児や家事をしつつ、その合間で小説を書いているという感じです。だから1日のうち、1時間から2時間くらいしか執筆に時間が取れないんですよね。あとはここだけの話、妻に頭が上がらないので(笑)
 
――それは大変そうですね。
 
かすがまる:執筆している1時間にしても、子どもたちが仕事スペースに遊びに来て「ニコニコ動画見せて」とか言い出しますからね。こちらはシリアスな戦闘シーンを書いているのに、別のモニターではギャグ動画が流れていたりして。
 
――でも、専業作家として活動している人はそんなにいない。
 
かすがまる:専業で食べていける作家は限られていますね。ヒットを飛ばしている作家でも兼業の人が多いですよ。

火刑戦旗を掲げよ! 1 (MFブックス)

火刑戦旗を掲げよ! 1 (MFブックス)

ある一人の男が"聖炎の祝祭"により火刑に処された。かつて窮地の王国を救い大陸に安寧をもたらした英雄・サロモン。苛烈な戦術と強烈なカリスマ――彼を崇拝するものは死してなお多い。
時は流れ、王国の辺境の村に一人の不思議な少年が生を受ける。神童と言うべき力を備えたその少年の名はマルコ。
彼と出会った者達は皆魅入られてしまう。まるで彼の中に、かつての勇者・サロモンの面影でも見るように――。
これは運命に導かれるまま波乱の世を生きた男達の物語である。