『スターウォーズは悟りの教科書』
矢島:
『スター・ウォーズ』を題材にして、人生、世の中の真実や、悩みが解決に向かい、心が楽になるようなことがたくさん書かれていました。本の中に、「あなたもジェダイの騎士(※)になれる!」と書かれていたんですが、これは一体どういうことなんでしょうか?
※ ジェダイの騎士:映画『スター・ウォーズ』に登場する、銀河系の自由と正義の守護者たちのこと。
ジェダイという主人公たちは、人類が繁栄していく方向に向かって、チャレンジをしていく人たちのことだと思うんですね。人間というのは、根源的には生物ですから、自分たちの(将来の)命を守って、種を繁栄させていくために活動していく人たちが「ジェダイ」。誰しもそういう存在になることができるとうことですね。
矢島:
アナキン・スカイウォーカーはジェダイの騎士になったのにも関わらず、ダークサイド(※)に落ちてしまいました。優秀で勇敢だったのに、認められたい欲が強すぎて、「なんでみんな認めてくれないんだ!」「俺はこんなに頑張ってるのに!」と、徐々にそういう思いに蝕まれて、暗いエネルギーに支配されてしまうという。これって現実世界にも結構あるんじゃないでしょうか?
※ ダークサイド:恐れや憎しみといった、暗い感情からエネルギーを得る
うんうん、ありますよね。
矢島: それで、中には犯罪に手を染めてしまったり、自殺してしまったり、そこまでいかなくても性格がひねくれてしまったり。そんな小さなものから大きなものまで、「ダースベイダー」になってしまう人は、意外と多いのではないでしょうか。
でも、自分が「親から十分に愛されなかった」と感じてしまう人が多いんですよ。ある話をしますが、親にすごく厳しく育てられた人がいました。何かにつけて折檻されたり、一晩中納屋に置きざりにされたりしていて、親を恨んでいたんです。
やがて成人したらお礼参りにやってきて、親を崖から突き落としたんです。しかし、親は突き落とされるときに「達者で暮らせよ」といいました。そこで初めて気づいたんですね。親は自分が憎くて折檻していたわけじゃない。ものすごく愛していたから、強く生きていくために、厳しく育てていたんです。
矢島: なるほど…
でも、受け取り方としては、自分の存在を完全に否定されていると感じますよね。すると、自分という存在をまわりに認めさせようとする気持ちが一層強くなるわけです。なんとしてもまわりに認めさせて、自分が生きていてもいいと実証したくなるんですね。でも、それでいくら頑張っても、いつまでたっても満たされることはないんですよね。
矢島: 僕の世代は、親が経済成長期だったので、「辛い中でも頑張っていればいつか幸せになれる」というイメージが強く刷り込まれているように思います。本書に「過去の記憶情報」という言葉を使って、意思決定について書いていますね。
たとえば、子犬を見たとしますよね。多くの人は「可愛いな」とか、頭を撫でてあげようとか、そういうことを思いますよね。
矢島: そうですね。
でも、小犬でも寄ってきたら、身の毛がよだつという人もいるわけです。そういう人は、犬に噛まれたことがあるんじゃないでしょうか。そのときの感情は、「可愛い」も「身の毛がよだつ」も自然にやってきますね。
矢島: なるほど!「犬に噛まれた経験から、犬を怖がる」は分かりやすい因果関係ですけど、自覚していない因果関係っていうのが、今の僕たちの意思をつくりあげているということなんですね。
そういうことですね。過去の苦しい体験に基づいて、実は今の選択、今の判断、決断が影響を受けちゃってるんです。