『鈴木さんの成功。』
矢島: ストーリー形式で物語が進んでいく本書ですが、主人公であり起業することになる鈴木と、メンター役の神田にモデルはいるんですか?
「過去の自分」と「今の自分」の対話という形で書かせていただきました。
矢島: それはおもしろいですね。あえて小説形式で表現したのは、どんな試みだったんですか?
そうですね。やっぱり本を読んだとき、単に学んだというだけではなく、「自分にも出来そうだな」という、行動イメージを読者の方に持ってもらいたかったんです。それだったらやっぱり、入り込んでいける小説形式がいいな、と。
矢島: なるほど。確かに読んでいてビジュアルが想像しやすかったですね。
ありがとうございます。
矢島: 本書の中で鈴木が陥りそうになった「失敗」や「落とし穴」。これらはすべて、星さんが実際に経験されたものだったんですか・・?
鈴木さんは神田さんに救われてうまくいってるんですけど、私はこんなうまくいかずに、知らないで罠にはまったこともあったので!
だから当時知っておけばよかった、ということを神田さんに説明してもらっています。
矢島:
なるほど、そういうことですね。
その罠の一つとして挙げられていた「成功の定義を決めないまま起業する」。これはどういうことなんでしょう?
「成功したい!」「お金もちになりたい!」と思うこと自体は良いんですが、具体性がないと行動も定まらないんですよね。「お金持ちになる」っていっても、月に100万稼ぎたいか、1000万稼ぎたいかで、明らかに行動量って変わってきますよね?
矢島: ああ、それはそうですね。
何をもって「成功」とするか明確にしないで進むことは、例えるなら「東京湾から船で出航して東の方にいくぞー!」って言ってるようなものなんです。
矢島: 遭難してしまいそうですね(笑)
ビジネスも行き先によってやり方が変わるので、まず目的地を明確にする必要があるんです。
矢島: これまで経験された中で一番の失敗というのは?
販売する商品を開発して、すべての準備を整え、さあ告知をしようというタイミングで、メンターから「ちょっと待て。それはうまくいかないぞ」と止められた事がありまして。
矢島: ええ・・・。
当時、無収入状態で準備していたので、「あとはお客さんを呼び込んで提案するだけだ」というときだったんです。そこでのストップだったので辛かったですけど、結果的にはそれで救われたんですよね。要は、急に告知をしようとしていたので。
矢島: 集客の仕込みが出来ていない状態で告知しても、顧客は集まらないということですね。
そうですね。予告も何もしていない映画を本日公開!と突然告知されても誰も観に行きませんよね。それと同じです。当時の自分はそれをやろうとしていたんですよ。
矢島: 星さんの場合だと、集客というのは起業塾の塾生さんを集めることだと思うのですが、「好きな人しか集めない」という星さんのこだわりには驚きました!「嫌な客だから断る」なんてことは多くの日本人ができないと思うんですよ。お客さんは神様だなんてこともよく言われますし……。
それは、よく驚かれます。個人でビジネスをやったときに、自分は誰と一番長い時間を過ごすのか?と考えた時、それはお客さんなんですよね。となると、どれだけ自分のやりたい事が成せたとしても、お客さんが嫌いな人だったら一気に楽しくなくなっちゃうんですよね。
矢島:
たしかに、それは分かりますね。
仮に僕がブックコンサルティングみたいなものをやっていたとして、休日に苦手な人から電話がかかってきたら、応対するのに気が引けてしまいますね。
その通りなんです。逆に好きな相手だったら、「お、どうしたの?」ってなりますよね。やはり人間なので、そういったケースも想像しつつお客さんを集めるというのは重要だと思います。