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本が好きっ! ブックナビゲーター矢島雅弘のインタビューラジオ

『矢島雅弘の「本が好きっ!」』は、ブックナビゲーター矢島雅弘が、話題の本の著者をゲストに招いてお送りするインタビュー番組です。本についてはもちろん、ゲスト著者の人となりや、成功体験、考え方、ビジネスのちょっとした気づきやなどを、矢島が自身の持ち味である軽妙な対談形式でお聞きし、リスナーの皆さまに「軽くて楽しい」けれども「知的」な時間をお届けします。

ゲスト: 経済アナリスト 塚澤 健二さん

『未来からの警告! 2017年 超恐慌時代の幕が開く』

塚澤健二さんと矢島雅弘ツーショット写真

「予想」と「予測」の違い

矢島: アナリストとして30年以上活躍されている塚澤さんに、まず始めにお尋ねしたいのは塚澤さんの「ポリシー」について。本の中では経済状況の「予想」と「予測」は違うと述べられていますね。「ここで変わる」という期限が設定されていないものは「予測」ではないと……。これってなかなか厳しい考え方ですよね。

塚澤: 経済において「予測」というものは、価格と時期を示す言葉なんですよ。「いつまでにどの程度になるか」を示さないと予測とは言えないんですね。これに対して「予想」というのはただ「思ってる」だけなんです。

矢島: 経済が変わるとだけ言われてもそれが何年後なのか、何年前に言われたことなのか分からない、つまり曖昧になってしまうんですね。

塚澤: そういう事です。例えば、「日本の債券が暴落します」という予測が2000年頃からされていますよね。ですが、今もし暴落が起きたとして果たしてその予測は当たったと言えるのかどうかという事なんです。結果が同じでも、予測した時期が外れればそれは「はずれ」になるんですよ。

矢島: なるほど。では塚澤さんの場合、予測の際に「期間」と「価格」を具体的に設定する訳ですから確率としては外しやすいということになるんですか?

塚澤: そうです。予測をするという事自体、外すリスクが高いんですよ。でもリスクの高いことをしなければ、精度は上がってきません。

矢島: そのあたりの覚悟がとてもしっかりされていますよね。本の中でもスパッと言い切る文章が印象に残っています。

塚澤健二さん写真

世界同時株安「リーマン・ショック型」と「ブラックマンデー型」

矢島: 本の中で、世界同時株安には「リーマン・ショック型」と「ブラックマンデー型」の2パターンがあると述べられていますね。これについて教えてもらえませんか?

塚澤: 昨年12月にアメリカが利上げを行い、株価が暴落した時点で、「第2のリーマン・ショックではないか」とマスコミや世間で騒がれましたが、この判断は正しくないですね。まず「ブラックマンデー型」の株安というは、株に投資されていたお金が債券に移行したり、商品に戻るという現象なんです。つまり、あくまで投資対象の商品が変わっているだけなんですよ。

矢島: 身近な例えだと、今まで野菜を買っていた人達が果物に移っていって、野菜関係者が「やばい、リーマン・ショックだ!」と焦り始めるみたいなイメージですかね。でも、果物の方は儲かってますよ、みたいな……。

塚澤: おっしゃる通りですね。続いて「リーマン・ショック型」とは何かというと「信用収縮」によって引き起こされる株安なんです。今まで信用によって膨らんできた市場がサブプライムローンの破綻によって縮んでいくんです。そうすると不良債権が出て、それを決済しなければならなくなります。

矢島: そうすると、ますます信用が収縮していって悪循環に陥る訳ですね。マーケット自体が縮んでいくと、そもそも全体としてのお金が減るから、株をどんどん売っていかなければならない。その結果、株価が暴落する……。

塚澤: そういうことになります。ですので、これら2つの型を比べると、実体経済に影響を与える「リーマン・ショック型」の方が恐ろしいと言えますね。

矢島雅弘写真

「第二のリーマン・ショック」がやってくる前に

矢島: さて、ここまでの話を踏まえたうえで「未来からの警告!」という本題に触れたいと思います。ざっくり言ってしまうと、もうすぐ「第二のリーマン・ショックが始まる」という事なんですよね。そして塚澤さんのポリシーにより、その時期もすでに予測していると。

塚澤: そうですね。期間としては2017年から2018年までと予測しています。

矢島: なるほど……根拠としてはどんな事が挙げられるんでしょう?

塚澤: まず、この年号の末尾の「7」という数字がまずいんですよ。1987年のブラックマンデー、1997年のアジア通貨危機、2007年のサブプライムローン破綻、これが2008年のリーマン・ショックを引き起こしました。

矢島: 10年スパンで何かが起こるサイクルになっていますね。

塚澤: また、日本の株価に限界が来ているとも感じています。現在の為替水準では、暴落してしまった株価を元に戻すことは難しいんですよ。

矢島: そうか、そのあたりの要因も市場の妨げになってくるんですね。塚澤さんがこれほどの警告をされるくらいですから、次に訪れる危機というのは、「核爆弾」クラスのものになるんでしょうか。

塚澤: おそらく私自信も想像出来ないくらいの事態になるでしょうね。誰も気づいていない部分もあるので、それぞれ対策を考えておかなければどこもかしも耐えられなくなってしまいます。

矢島: ちなみに一番初めに影響を受けるのは……?

塚澤: やはり金融市場でしょうね。それを迎えるにあたって、身近なもので見ておきたい先行指標の1つがロンドンに上場している「グレンコア」の株価です。昨年の暴落は巻き返したのですが、同社が次に暴落、もしくは破綻を起こした時には「いよいよ来るぞ」と構えておいた方がいいかと思います。

著者プロフィール

塚澤健二

1960年生まれ。経済アナリスト。日本証券アナリスト協会検定会員。北海道大学工学部卒業後、理系出身アナリスト第1号として、日興リサーチセンターに就職。ジャーデン・フレミング証券、J.P.モルガン証券などで、23年にわたりトップクラスのアナリストとして活躍。2007年10月に独立し、講演活動や投資コンサルタント業務で活躍。独自の経済予測モデル「T2」による経済分析の的確さ、未来予測の的中率の高さで人気を集めている。経済・投資の真実を伝えることをテーマにした塚澤.comを主宰。

パーソナリティプロフィール

矢島雅弘

1982年埼玉県出身。2005年よりスタートしたPodcasting番組「新刊ラジオ」のパーソナリティとして、これまで約1800冊の書籍を紹介。ビジネス書から文芸、サブカルなどさまざまなジャンルの本を簡潔に分かりやすいナレーションで解説し、支持を得ている。また、インタビュアーとしても確かな腕を持っている。モットーは『難しいことを、面白く分かりやすく』。

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