- 著者名: 27人のトビウオジャパン (著), 松田丈志 (著), 北島 康介 (著), 寺川綾 (著)
- 出版社: 集英社
- 定価: 1,365円
- ISBN-10: 4087860264
- ISBN-13: 978-4087860269


― この本は「チーム」にスポットライトがあてられていましたが、今回のオリンピックの競泳日本代表の雰囲気はどうでしたか?
「過去のチームも雰囲気は良かったですが、これまで以上にみんな明るく、仲が良かったので、居心地良く感じましたね。もちろん選手一人ひとりの意識が高かったのもあったと思いますけど、コーチやスタッフもそういう雰囲気作りに心を砕いてくれたので、そこにはすごく感謝しています」
― チームがまとまった理由は何だと思いますか?また、そのきっかけ、出来事があれば教えてください。
「一人一人の心がけ、戦う意識の高さですね。ベテラン選手が下の子を引っ張っていくのは当然ですけど、若い子達も意識が高かったと思います。特に結果と言う点で見ると、初日の萩野のメダル獲得は大きかったです。あれでチーム全体が「いける!」という雰囲気になりましたから」
― キャプテンとして心掛けたことは何でしたか?
「まずは自分がしっかり結果を出す事。あとは全体を見渡して、ポジティブな雰囲気に持って行く事。ポジティブな雰囲気にならないと、なかなか力を発揮しづらいので」

― 水泳は基本的には個人競技だと思いますが、普段切磋琢磨しているライバルたちと仲間として接する上で、ギクシャクすることはないのですか
「基本的に無いと思います。というより、人から応援される選手じゃないとオリンピックには行けないですから。オリンピックに出られる選手って、やっぱりそういう部分では人間力が高いんだと思います」
― この本に書かれている他の選手たちの文章を読まれて、新しい発見はありましたか?
「新しい発見もすごくあったし、嬉しく感じる言葉も沢山ありました。特に若い子達が、今回のチームについて良いイメージを持ってくれていたことと、このチームを経験したことで、「自分も」という気持ちになってくれた子が多かったのが嬉しいです」
― 若い頃から日本代表として結果を出し続けてきた松田さんですが、常に意識していることはありますか?
「まずは、明るく元気良くいる事。それと当然ですけど、トレーニングを頑張る事。そして、謙虚である事」

― 松田さんは緊張されるタイプですか? また、初めて出場した2004年のアテネオリンピックのときに比べてオリンピックの舞台には慣れましたか?アテネのときは持っている力を出し切れなかったと書かれていますが…
「緊張はどんな大会でもします。ただオリンピックでの戦い方はアテネと比べて、随分わかってきていたんだと思います。やっぱり何事も経験ですね。何も知らずに本番を迎えるよりも、事前にある程度シミュレーションできるほうが、気持ちは落ち着きますから」
― スタート台に立つ前、立ったとき、そして跳び込んだとき、泳いでいるとき、自分の精神がブレたりすることはないのですか? また、もしブレてしまったときはどう対処しますか?
「もちろんブレる時もあります。けどそれを立て直せるようにするのが大事。立て直し方は人それぞれだと思います。本を読んで、「みんな、そういう風にしてるんだ」って気付かされたこともたくさんありましたよ。ちょっと参考にしようかな(笑)」
― 日本代表として私たちには想像しがたいプレッシャーと戦っていると思います。そのプレッシャーを乗り越える方法、もしくはプレッシャーとの付き合い方を教えてください。
「仲間と共に戦うということですね。仲間の期待、応援は本当に力になるし、プレッシャーを軽減してくれますから。そのためにも普段のコミュニケーションが大事になってきます。コミュニケーションが取れてる仲間の言葉だからこそ素直に受け止められるし、その言葉が力に変わるんです」

― 松田さんにとって北島康介選手とはどんな存在ですか?
「常に自分を刺激してくれる人です」
― この本の中で北島選手が「キング北島」と呼ばれている部分がありましたが、これは日本代表チーム内でも浸透しているのですか?
「浸透しています。これだけみんなが口にしていますから(笑)」
― 普段の身体づくりで気を付けていることはありますか?
「沢山あります。特に泳ぐ動作の中で使うべき筋肉を、正しく使える様に意識しています」

― 世界で活躍している人に共通する条件を教えてください。
「明るい人、それと、その時その時に全力を注げる人かな」
―テレビのニュース番組のサイトでご趣味がサーフィンだと拝見したのですが、常に水に浸かっている感覚ですよね。地上よりも水中にいる時間のほうが長いのではないでしょうか?
「恐らくそうです! 水の中の方が得意です」
― 松田さんも競泳選手として、ベテランの域に差し掛かっていると思いますが、先日、現役続行を宣言されました。これからの自分に期待していることはなんですか?
「今までより強く速くなる事、進化する事です。そうできる可能性を感じたからこその現役続行ですから」
― この本を、どんな人に読んで欲しいと思っていますか?
「人は、必ずなんらかのコミュニィティの中で生きていて、一人だけの世界で生きている人、一人だけで生きていける人はほとんどいないと思います。
そんな中での自分のありかた、存在感に疑問を持っている人、今の自分よりもっと内面の自分を出したいと思っている人、そんな人に読んで欲しいですね。きっと参考になる話があると思います」

