タニアのドイツ式整理術・完全版 もの・情報・時間の持ち方・しまい方・考え方
著者:門倉 多仁亜
定価:1,260円
出版社:集英社
ISBN-10:4087860175
ISBN-13:978-4087860177
母方がドイツ人であるという門倉さんですが、日本とドイツという2つの国の人々の生活を見てみて、最も違いを感じる部分はどこですか?
ドイツ人は個人主義だし、日本人は和を重んじるというか、個人を主張しない気がします。そこに一番違いを感じます。ドイツ人は「自分の考え」をそれぞれが持っている。日本人は皆一緒じゃなければいけない、というところがあるように思えます。自分の考えを持っていない人は、ドイツではまずありえないのですが・・。友人同士でも、散歩しながら色々なことを話し合うのが皆、好きですね。
今回出版された『タニアのドイツ式整理術・完全版』というタイトルの“完全版”の意味について教えていただけますか?
今まで、雑誌の取材で整理法を取り上げていただいたり、単行本でも素敵な暮らしを提案する中で、片づけについて書いたりしていました。けれど、1冊丸ごと整理術について書いたことはありませんでした。でも、よく考えたら気持ちのいい暮らしをする上で、いろいろなことがきちんと整理されていることは、一番大切なことではないか、と思いました。モノを片付けるばかりでなく、モノの持ち方について考えたり、情報のまとめ方や時間の使い方についてまで書きました。今回は、自分の生活全般について改めてふりかえってみた気がしています。それで、担当編集者と相談して「完全版」というタイトルでいいかな、と。
本書には玄関や台所(キッチン)、洗面所まわりなど、散らかりやすいところの整理術がかなり具体的に書かれていて、とても実用的な一冊だと思いました。その中で、こうした整理術を習慣づけするために、門倉さんはどのようなこと勧められていますか?
あくまでも私の場合ですが・・・私は、まず何をしたいのか、しなくてはいけないのか、 紙に書き出しリストを作ります。そして、プライオリティをつけて1日のどこでそれをするのか、日課を考えてやってみます。そしてそれを習慣にしていけば、スムーズにできるのではないでしょうか。もちろんやりながら改善したほうがいいところはどんどん変えていきます。そうしていくうちに、自分流の整理術ができるのではないでしょうか。
整理のためには物を溜めるのではなく、物を捨てていく、手放すことも大切だと思います。その捨てる先の代表的な存在がゴミ箱だと思うのですが、「ゴミ箱」はどこにどう配置することで使いやすくなるのでしょうか。
まず、ゴミ箱の数を減らすことが大事です。数が多いとそのゴミを集める手間が増えてしまうでしょう?また、ゴミ箱はゴミの出やすい場所に置きます。キッチン、洗面所、デスクまわりあたりでしょうか。
食器やキッチン用品といった生活雑貨を選ぶときのポイントを教えてください。
まず、そのものが「絶対なくてはならないものかどうか」を考えます。これがないと毎日の生活に困る、とわかったら買いにいきます。ポイントは必要かどうか、ですね。
ドイツといえばエコ活動の先進国として知られていますが、ドイツではどんなエコ活動が行われているのですか?
ドイツ人は、ちょっと昔の日本人が口ぐせにしていて世界でも認められた「もったいない」ということを考えて生活していると思います。公共のゴミ箱の選別法が細かく、でもわかりやすく無駄なく行われています。たとえば、ガラス容器のゴミ箱も、透明、グリーン色、茶色のガラスに分別して捨てるようになっているとか。衣類は、衣類専用のゴミ箱に入れて必要な人に使いまわしてもらうとか。
食べものも無駄にしていないと思います。生産者もパッケージをできるかぎりシンプルにしたり、人々は日々、自分にできるエコは何なのかを考えながら生活していますね。
そういえば、母はおせんべいなど、個包装のものは無駄だから買わないと言っていました。
日本は贈答品など、気持ちを表すためにか過剰包装のものもまだ多いですね。ちょっとエコを考えていったほうがいいのかな、と思います。
また、その中で門倉さんが生活に取り入れているものはありますか?(日本でも出来ることはなんですか?)
食材を買いすぎないことや、余りものを使いまわして食べきること。パッケージの過剰なものは買わないようにしています。また、ドイツは昔から水が貴重なので節水を心がける国民ですが、私もなるべく節水しています。小さなこと、できることから実践しています。
日本人はよく忙しいといわれますが、そういう生活から脱却するためにはどうすればいいのでしょうか。
毎日の生活の中でメリハリをつけたらいいのでは?また、切り上げる時間を決めて実行することが大事かなと思います。そうして決めたらとにかく実行することです。たとえば、私は、毎朝メールチェックを30分以内と決めています。それ以外は、基本的に見ません。メールはだらだら続けていたらいつまでも時間を取られますから・・。
日本とドイツ、どちらが住みやすいとお考えですか?
日本は、人々が穏やかです。そして、ドイツは違う穏やかさがある。日曜はお店はほとんどがお休みなど、メリハリがある分、時間の流れは穏やかだと思います。どちらにもそれぞれのよさがあるので、一概には決められませんね。
このインタビュー読者の皆様に、本書の読みどころやメッセージなどをいただければと思います。
自分の工夫次第で生活は楽しく心地よくなるということ。それを私のやり方を書くことで少しでもお伝えできれば、と思いました。もろもろ整理できたら、少し時間を作って考えてみること。そこから何か新しいことが生まれてくるような気がしています。