私たちは生きていく以上、「人間関係」というものと無縁ではいられません。だからこそ、身近な人との関係は何より大切なことだと思うのですが、その中でどうして「すれ違い」が発生してしまうのでしょうか。
どうしても、人は自分中心で物事を考えてしまいます。そのために、私が考えていることが正しい、あなたの考えは間違っている。と自分の物差しで、物事を捉えてしまいます。
特に身近な人に対しては、自分のことを良く分かってくれているはずだという期待も高いので、意見が違った場合には、「どうしてこんなことも分かってくれないんだ」という気持ちが強くなります。そして、相手に対しての攻撃が始まってしまいます。
そもそも身近な人との「すれ違い」が起きなくなるために、どのようなことに気をつけるべきなのですか?
まずは、自分がどんなに忙しくても、相手の話をしっかりと聞くことです。
そして、相手がどのような気持ちで話しているのかということを考える必要があります。もしも、相手に不満がある場合には、非難するのではなくて、自分の気持ちを相手に伝えるようにします。身近にいるのだから、気持ちは分かってくれているはずだと思わないことです。
そして、一緒に過ごせることが、当たり前だと思わないで、お互いに感謝する心を忘れないことです。
本書はすれ違いが起きてしまったあとの、心の修復法についてつづられていらっしゃいますが、この本を書いた理由についてお聞かせ願えますか?
私も心理学と出会う前は、親子や夫婦でのケンカが多くありました。でも、心の問題の本質や、それに対する対処方法を知ったことで、関係が大きく改善されました。
今ではケンカをしていた時間が本当にもったいなかったと実感しています。
最近のニュースを聞いていると、夫婦や親子、友人など、身近な人との大切な関係に悩んでいる人が多いと感じます。
1人でも多くの方に、相手を変えようとするのではなくて、自分が変わることで、関係が変わることに気づいて欲しいと思い、この本を書きました。
この本を読んでいて、すれ違ってしまった心を再び元に戻すには、やはり「言葉」が大切であると実感しました。この「気持ちを言葉にして伝える」ことの重要性について、中山さんはどのようにとらえていらっしゃいますか?
まずは、自分の感情を素直に伝えることが大切だと思います。
嬉しいときや楽しいときには、照れずに「一緒にいると、とても楽しい」というように、その気持ちを素直に相手に伝える。そして、寂しいときや辛いときには、自分の気持ちを心の中に閉じ込めて、ひとりで悩まない。「1人であなたの帰りを家で待っているのがとても寂しいです」というように素直に、自分が思っていることを相手に伝えることが大切です。
私の気持ちは言葉にしなくても、分かってくれているはずだと思いがちですが、言葉にしないと伝わらないことも多くあります。
逆にすれ違った相手から厳しい言葉をかけられたとき、私たちはどのようにその言葉を受け止めるべきなのでしょうか。
厳しい言葉を言ってくれるということは自分にまだ、関心を持ってくれていると考えることです。相手の厳しい言葉に惑わされないで、どのような気持ちで相手が話しているのかを表情や態度から冷静に読み取ることが必要になります。
厳しい言葉をかけるということは、自分に対しての大きな期待があるはずです。本当に避けたい相手ならば、無視してしまうはずです。
中山さんが人と接する上で、最も大事にしている「言葉」は何ですか?
「まず、相手を理解する。次に自分を分かってもらう」
壊れた関係を修復するために、口下手な人(なかなか言葉に出来ない人)でも出来る方法を教えていただけますか?
関係を修復したい自分の気持ちを素直に手紙に書いて渡すことをお勧めします。
それも難しい場合には、「おはよう」、「ありがとう」、「行ってらっしゃい」というような挨拶を言うことから、始めればいいです。
本書をどのような方に読んでほしいとお考えですか?
身近な人との人間関係に悩んでいる人はもちろんですが、仕事が忙しくて、家族との時間が取れない人にも読んで欲しいです。私もそうですが、一緒にいる時間が少ない分、どのように、接するかが大切になるからです。
最後に、インタビュー読者の皆様にメッセージをお願いします。
本にも書きましたが、お金や名誉を手に入れても、身近で一緒に喜んでくれる人がいなかったとても寂しい人生になると思います。人生の最後に、人間関係が大切だったことに気づいたのでは遅すぎます。ぜひ、自分と大切な人との関係を今、見つめ直してください。このインタビューや本が少しでもそのお役に立てたら嬉しく思います。