
- 定価:
- 1,500円+税
- 著者:
- 山田 浩司
- ISBN-10:
- 4344971329
- ISBN-13:
- 978-4344971325
■勉強しないと難関資格は合格できない!
――山田さんは30年以上資格試験の業界にいらっしゃいますが、今と昔とで資格をめぐる環境は変わってきたと思いますか?
山田浩司さま(以下敬称略):昔のほうが、資格を取ることは儲かるというイメージが強かったですよね。弁護士や医師、行政書士の資格を取れば人生安泰、年収3000万円というような。でも、今はそういったイメージがなくなっています。それは、資格を取っても儲からない人もでてきたということです。資格を取ったあとの話になっているので、私自身は健全になっていると思いますよ。
――それは良い傾向であると思っていらっしゃるんですね。
山田:以前は取ればOKという感じでしたから、仕事をちゃんとやらない人が少なからずいたんです。でも、人が増えてくると、競争原理が働いて、サービスもちゃんとするようになりますよね。
――昨今の資格ブームについてはいかがでしょうか。
山田:これも私は良いと思いますね。使わないなら資格を取るなという声もありますが、別に悪いことではありません。なにはともあれ勉強をすることには変わりません。夜遊びをしたりするよりはよほど健全です。
私が経営している資格試験の通信塾の生徒の奥さんから、「勉強を始める前は毎日のように飲み歩いていたけれど、勉強を始めてからちゃんと家に帰るようになった」と言われたんですね。また、年配の方からは「勉強が楽しい」という声が届いています。新聞を読んでも分からなかったところがどんどん分かるようになると言っていました。
――つまり、試験以外のところで資格の勉強が活きた、と。
山田:たとえばファイナンシャル・プランナーや不動産関係の資格の知識は、新聞の金融欄や生命保険のパンフレットを読むときに役立ちます。また、社労士の勉強をすれば年金の仕組みが分かりますよね。
そういったことを知るために資格試験をはじめる人も多いんです。
――では、資格試験に合格できる人とできない人の違いはどこにあると思いますか?
山田:これは2つあります。まずは、勉強するノウハウを持っておらず、情報だけ取り入れて当てずっぽうで試験を受けてしまうというパターンです。
――例えば、試験を受けてみようと思って、適当に参考書を選んで、適当に勉強してみて…というような方ですか?
山田:そういう人も当てはまりますね。あとは、ネット上にある必勝法なんかを鵜呑みにしてしまう人もそうです。ネット上にある資格試験にまつわる情報は嘘が多いんですよ。…まあ、嘘とはいかなくても、書いた人の個人の経験に基づくものなので、意外と本質的ではないところがあるんです。
また、見栄をはって大げさに書いてしまう人もいますよ。本当は3年くらいずっと勉強していたのに、独学で3ヶ月の勉強で合格したと書いてしまったり。少しでも自分を賢く見せようとしたかったと本人は言っていました。だから、情報を安易に真に受けてはいけません。
もう一つはちゃんと勉強をしているかどうかです。1日15分ずつの勉強で受かるとか、そんな難関資格があるわけないですよ。私は家で最低2時間以上勉強してくださいと受講生たちに言っています。簡単に、手軽に、などというものはないんです。
そういった情報が掲載されているサイトはアフィリエイターが運営しているものもあって、資格試験の塾を紹介して報酬をもらうというビジネスが成り立っています。それを信じ込んでしまうと不幸なことになってしまうかもしれない。ネットは一番真実の情報が出にくいところですから、気をつけた方がいいでしょう。
勉強は1分でも長くすべきです。いつから始めればいいか、一日でも早く始めてください。早く始めた分、早く受かるのは当然の話です。
――なるほど。
山田:合格するためには、勉強の仕方を知っていて、ちゃんと勉強していることが大事です。後者は自己管理能力が大事になります。
アンケートを取ってみると、勉強を始めないまま挫折する人が多いんです。お金がかかるとか、時間がないとか、そういう理由をつけて勉強を始めないんですが、そんなことを言っていたら何もやれないですよ。どの人も忙しいし、お金もないなかでやっています。資格試験に合格するということを決めて、勉強をやるということはまさしく自己管理能力が必要です。それがあるかどうかですね。
■忙しくて勉強が進まない人は「生活の見直し」を
――本書では非常に具体的に勉強法を書かれているように思いましたが、他の勉強法の本と比較して、どのような部分が違うと思いますか?
山田:勉強法について書かれた本の多くは具体性があまりないんです。先ほども言いましたが、個人の経験に基づくものだったりして、妥当性があまりない。そういうところが目についたので、資格試験の学校を経営している身として、やはり具体的に書くべきだろうというところがありました。
また、主張も他の本とは少し違っていて、「楽に合格できる」やり方を書いていません。
例えばダイエット方法で、「○○だけ食べれば痩せる」と謳うものがありますが、そうではないですよね。合わせて運動をしたり、食事量を減らしたりしないと体重は減りません。これと同じで、勉強はインプットもアウトプットも大事ですから、「これだけやれば受かる」というようなことはないはずなんです。全部やらないといけない。
――本書を読んでみると、やはりしっかりと勉強をしないと合格できないという印象を受けました。
山田:そうですね。この本で書かれている方法の何か一つすればいいのではなく、全部しないといけないということを書いています。それがこの本の大きな特徴ですね。
――ただ、書籍タイトルの中にもある「深夜12時過ぎまで働くサラリーマン」が毎日ちゃんと勉強することは難しいと思います。山田さんはそんな方々に向けて、どのようなアドバイスをしているのでしょうか?
山田:まずは生活の見直しからはじめましょう、ということですね。例えば、関東圏に住む人たちの通勤時間の片道平均は現在69分なのだそうです。往復で2時間。その時間、もしスマートフォンをずっといじって終わっているのであればもったいないですよね。その時間を勉強に活用できるでしょう。
往復で2時間、これは大きいですよ。単純計算で半年続ければ300時間になります。国家資格の宅地建物取引士(宅建)だと、合格までだいたい300時間の勉強が必要だと言われています。また、他にも私たちには隙間時間というものがたくさんあります。そうした時間を勉強につぎ込めば、合格は充分射程圏内に入るのです。
ちなみに、600時間勉強すればだいたいどのような資格試験でもほぼ受かります。
――徹底的にムダな時間を勉強にあてる、と。でも、そういった指導法だと厳しいといわれませんか?
山田:厳しいかどうかは、その人の考え次第ですね。自分の人生ですし、一生ダメ社員でいいのか、ちゃんと結果を出せる人になるのか。
ただ、働きながら難関試験を突破した合格者の方々からは、会社の業務成績も上がったという声が届いています。それは、自己管理能力が身につくからだと思います。
――今、狙い目の資格などはありますか?
山田:今の日本の流れとしては、脱正社員に向かっていると思います。極論ですが、40歳定年制というのもあるくらいですからね。だから、独立しても役立つような資格は取っておいていいと思います。具体的には中小企業診断士、行政書士、社労士などですね。
最近の傾向としては、会社を辞めたいから、そのきっかけにさせるために資格を取る人が多いんです。ただ、資格試験の勉強というスキルアップを通して実際に資格も取得したのに、会社を辞めた人は意外と少ないんです。
これはおそらく、自分の武器を持つことによって余裕ができるからだと思います。いつでも独立できるし、そこにしがみつく必要がなくなるわけですから。

――最後にこのインタビューの読者の皆さんにメッセージをお願いできますか?
山田:よくないのは、どうせ自分はダメなんだと思うことです。自分はできると信じてやれば、できます。それを信じて勉強してほしいですね。
また、学歴も関係ありません。行政書士や宅建など難関資格は学歴が高くないと受からないと思っている人は多いですが、私の学校では中学を卒業してすぐに働きはじめた人も、元暴走族の人も合格しています。本人が勉強をしたかどうか、です。
これはどんな勉強でも同じなんですよ。英語もそうだし、ダイエットもそうですよね。毎日それなりに時間をかけないと上達はしませんし、痩せませんよね。
本書は難関資格に合格するために必要なものを書きました。ぜひ読んでみてほしいです。
(了)
- 第1章:
「勉強時間がない」はただの言い訳 -
- 長時間勉強しないと結果が出ないというのは大間違い
- 勉強が得意かどうかは合格にまったく関係ない
- 高学歴ほど「落ちるパターン」にはまりやすい
- 勉強のテクニックさえあれば誰でも合格できる
- じっくりしっかりテキストを読むから時間がかかる
- 誰でもすぐに実行できる勉強法でなければ意味がない
- 第2章:
忙しい人の資格取得は“学習計画"で決まる -
- 忙しい人こそ、計画が重要
- アメとムチ作戦でやる気を起こす
- モチベーションを高めることが合格への近道
- なりたい資格について調べるとやる気が出てくる
- なぜ勉強したいのか動機を明確にするとぐっと合格に近づく
- 「やる気」を高める三つの秘訣
- モチベーションアップのためにすべきこと
- 効率のよい勉強法は一人ひとり違う
- 勉強は朝にするのがよいのか、夜にするのがよいのか
- あなたはどの感覚を使うのが得意?
- さまざまな感覚を刺激することで記憶力がよくなる
- 試験の苦手な人は苦手な人なりの計画をたてる
- 意志の弱い人は、勉強する環境づくりに力を入れる
- 学習計画のゴールを確認する
- 具体的な学習計画をいかにたてるか
- 学習計画をたてる前に考えておくべきこと
- 実際に学習計画をたててみよう
- 第3章:
短時間の勉強でも合格できる学習テクニック -
- 勉強のやり方を決める
- まず全体像をつかみ、それから細部を理解しよう
- 薄いテキストを繰り返し読む
- 勉強のやり方はインプットとアウトプットの繰り返し
- インプットは丸暗記ではなく、きちんと理解して覚えよう
- 関連を見つけて覚えよう
- 脳に残りやすい記憶と残りにくい記憶
- 短期記憶と長期記憶には違いがある
- 復習の大切さは科学的に証明されている
- 復習をしないと、覚えていられない
- いつ、どのように復習をするのが効果的か
- アウトプットはスモールステップを意識する
- 問題を解くときは間違えたときの対応が重要
- 問題を素早く解く練習をする
- 過去問を徹底的に復習する
- 1秒でも多く勉強しよう
- 時間を操作して増やしてみよう
- 途中で挫折しないためのポイント
- マインドセットをしなやかにする
- 勉強を楽しもう
- 合格者から学ぶ勉強法
- おわりに
山田 浩司(やまだ こうじ)
1962年生まれ、名古屋大学法学部卒。大手資格受験予備校を経て、難関資格受験予備校フォーサイトを設立。
DVD学習を主軸とした独創的な受験勉強法を導入し、全国平均の4・34倍(宅建)、4・0倍(社労士)2・3倍(行政書士)の合格実績を上げる(2013年度実績)。
自らも宅建、行政書士などの難関資格を多数保持。マスコミ取材依頼も殺到する、勉強法のカリスマ。

- 定価:
- 1,500円+税
- 著者:
- 山田 浩司
- ISBN-10:
- 4344971329
- ISBN-13:
- 978-4344971325