年々、増加しているうつ病の患者数。
厚生労働省が3年ごとに全国の医療施設に対して行っている調査によれば、うつ病を含む「気分障害」の総患者数は1996年で43.3万人でした。しかし、それから12年後の2008年には104.1万人にのぼり、2.4倍に増加したことになります。もちろん、これは医療機関の受診者だけの数であり、受診していない患者さんは含まれていません。
現代の社会構造はうつ病を生みやすいと言われます。
本書の著者であり宮島さんも、精神科医でありながら、うつ病になったことのある経験を持っています。
宮島さんは当初、循環器内科で研修医を行っていましたが、激務の毎日。24時間365日体制の主治医対応。寝る時間も取れなければ、心も少しも休まらない。さらに、まじめな性格。
だんだんと精神的、肉体的な疲労が積み重なっていき、病院に行きたくなくなるが、無理して研修を続ける。
そうして宮島さんはうつ病を発症してしまったのです。
本書ではそうした宮島さんの体験から、医学部、精神科で習ったことと異なり、うつ病は薬で治るものでなく、病気とするものでなく、どのように思考、コミュニケーションをシンプルにしたらいいか、そして生活のどの部分を改善すると良いのかなどといったことがつづられています。
実際に体験したからこそ分かる、うつ病の苦しさ。
うつ病と診断されている方はもちろんのこと、自分がうつ病でなく幸せに生きるため、そして家族や同僚をうつ病にするのでなく、笑顔の関係を築くために、一読しておきたい一冊です。
1973年、神奈川県生まれ。防衛医科大学校卒業後、自衛隊中央病院、ナチュラルクリニック代々木院長、宮島元気クリニック院長を経て、現在、湯島清水坂クリニック院長。薬を使わない医師として活動中。健康回復や幸せ増進の講演、メンタルセラピストの養成にも力を注ぐ
- 1章 精神科医の僕が「うつ」になった理由―うつの本当の原因は?
- 2章 「薬」では僕のうつも患者さんのうつも治せない―いまの医療への疑問
- 3章 僕は「考え方」を変えてうつを克服した―うつと心の関係
- 4章 僕が変われたのだからあなたも、きっと変われる―心に効く方法
- 5章 僕は「食生活」を変えてうつを克服した―体はそれを望んでいる
- 6章 僕は「人間関係」を変えてうつを克服した―家庭、職場、学校…