新刊君
監修坂田英明氏インタビュー

朗読を聴くということは具体的に脳にどのような好影響があるのでしょうか。


音は耳で聞くとhear、脳で聴くとlisten toになります。「聞く」と「聴く」これは全然違います。本朗読CDは脳で聴き活性化されるよう作られています。前頭葉・側頭葉への刺激に加え、音をよく聴くことで方向感覚がはっきりし、知らず知らずのうちに脳の中の脳幹という場所が刺激され、自律神経が安定し毎日いきいきしてきます。

また、(脳以外の)身体についてはどのような好影響がありますか?


耳からの情報は単に脳に情報を伝えるばかりではなく脳幹を通ります。脳幹は血液循環・呼吸・体温調節・睡眠などをコントロールする中枢ですので、朗読CDを耳から直接聴くことで、基本的な生活リズムを安定させてくれます。

このCDには『蜘蛛の糸』や『よだかの星』などの古典名作が収録されていますが、どうして古典名作を選んだのでしょうか。


この朗読CDに収録されている作品は、童話として親しまれてきた作品を集めました。昔読んだ懐かしい記憶を思い起こし考えることは、安らぎを感じることで心の安定や癒しの効果もあります。また、ご高齢者には、言語的記憶や注意・集中力が改善し、認知症の回想法にもつながります。

本作は「3D」と銘打たれています。音で「3D」というのはなかなか聞きませんが、「3D」にはどのような仕掛けがあるのでしょうか。


音には、高低・強弱・リズムがありますが、これを空間的に表現することで、単調な朗読に臨場感が増し、脳が刺激されながら朗読の深い感動と醍醐味を味わうことができます。

この『3D文学作品集「脳で感じる朗読」』はどんな人に聴いてもらいたいですか?


理解しにくい言葉を理解しやすいように直してありますので、お子様からご高齢者まで、幅広い年齢層の方にお聴きいただきたいと思います。また、本を読む時間の余裕がない方や読みづらい環境にある方にも手軽にご利用いただけると思います。

今後、オーディオブックについて期待していることはありますか?


ご高齢層が増える中、どなたにも気軽に本を楽しんでいただけるように、オーディオブックのさらなる環境整備を期待しております。



監修者プロフィール

坂田 英明


1988年埼玉医科大学卒業。医学博士。
ドイツ・マグデブルク大学耳鼻咽喉科研究員、埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科を経て、目白大学保健医療学部教授。長年、聴覚と脳に関する研究を行い、聴覚を利用した玩具の開発や、音のクイズ番組の制作にも携わり、医療分野以外でも数々の実績をあげている。
めまい、耳鳴り、難聴のWebサイト「めまい・耳鳴り・難聴110番」を主宰