成功にも失敗にも要因があります。何かに成功した人からその要因を聞けば参考にできますし、失敗も同様に学ぶものがあります。
本書の著者、中村文也さんが居酒屋を始めた時、接客こそできたものの、料理はまったくの素人だったそう。そのせいか、オープンしてしばらくはクレームの嵐でした。
しかし、中村さんのお店は大繁盛、今では名古屋を中心に10店舗を構えるチェーン展開を成功させています。
同氏が成功した要因とは一体何だったのでしょうか。
■ 常に素直であること
中村さんが成功した要因で最も大きいのは「素直」だったことです。
前述の通り、料理ができなかったためお客さんからクレームを受けたり、叱られたりしていましたが、お客さんに「もっと旨い魚を置け!」と怒られたら、「何を置けばいいですか?」と聞いて、それを次の日には仕入れていたそう。
お客さんに満足してもらえるお店を作るためにはとことん素直になって、どんな人にでも教えを乞う姿勢は、どんな仕事でも大事なのではないでしょうか。
■ がんばらない、努力しない
人生は厳しく苦しいものだからがんばって努力しないと幸せになれない、という価値観が日本には根強くあります。しかし、中村さんはがんばったり、努力するのではなく、楽しまないと幸せになれないと言います。
自分が心底わくわくすることなら、それをどんなにやっても「がんばっている」「努力している」とは思わないはず。
それまで就いたどんな職業も長続きしなかった中村さんですが、「接客=お客さんを喜ばせること」だけは天職だと感じているそう。
同氏の今の成功は努力の先にあったのではなく、自分の好きな「お客さんを喜ばせること」をわくわくしながらやり続けた結果なのです。
■ 常にいい気分でいる
いいことが起きる時は、自分の気分もいいものです。不機嫌な時にいいことは起こらないと中村さんはいいます。
だとしたら、いつもいい気分でいるようにした方が、いいことが起こると言えるのではないでしょうか。
自分で自分を上機嫌にできるというのも、成功する人の条件なのかもしれませんね。
■ 約束に大小をつけない
約束には絶対に破ってはいけない「大きなもの」から、日常のささいな申し合わせのような「小さなもの」まであります。普通の人はこれらに優先順位をつけて大きな約束を優先させるものですが、中村さんはそうではなく、大きな約束も小さな約束も同じように考え全てを守るようにしているそうです。
どんなに小さなことでも約束は約束。これが、中村さんが30年の居酒屋経営を通して得た教訓なのです。
本書には、中村さんが長年の経営経験から得た金言や、人生において忘れてはならないことがエッセイの形でつづられています。何もないところから一代で居酒屋チェーンを成功させた同氏の言葉からは、全ての人に役立つ成功のヒントが隠されているはずです。
初心忘れるべからず
商売人の道
また行きたいと思う店に
あほな奴ほど成功する
ふさわしい人間になる
6秒で決まる
一人で来てくださるお客様
粋なお客様に助けられて
自分が行きたい店作り
料理は心〔ほか〕
株式会社奥志摩グループ代表取締役。三重県の伊勢志摩にある五ヶ所湾で昭和32年に生まれる。昭和58年25歳の時、7坪の居酒屋「奥志摩」をオープン。名古屋市某小学校PTA顧問、名古屋市東区某中学校PTA役員、熱田区倫理法人会会員、東区法人会会員、ナゴム会顧問(飲食店の会)