書籍名:新装版 食卓にあがった
放射能
著者名:高木 仁三郎 (著),
渡辺 美紀子 (著)
出版社:七つ森書館
定価:1,470円(税込)
ISBN-10:482281131X
ISBN-13:978-4822811310
放射能汚染食品に備える
すでに多くの方がご存じのとおり、今回の原発事故による放射能汚染で懸念されるのは、大気中に放出された放射性物質による外部被ばくと、放射性物質に汚染された水や食物による内部被ばくです。
特に放射性ヨウ素やセシウムなどによる内部被ばくは、子どもを持つ親なら神経質にならざるを得ず、極めて重要な心配事となっています。
政府は水や食品に暫定規制値を設けることで、汚染された食品が市場に出回るのを防ごうとしていますが、理学博士で、核化学が専門であった故・高木仁三郎氏の著書を新装版として緊急出版した『新装版 食卓にあがった放射能』(渡辺美紀子/共著)を読むと、こうした政府の取組みが全く不十分で、放射性物質の特性がわかっていない、またはわかっているにも関わらず目をつぶっていることがわかります。
放射性物質の影響でがんや白血病になるリスクを考える時、まず前提としてわかっておかなければいけないのが、放射性物質に「しきい値」はないと考えられていることです(大量の放射性物質を浴びた際に起こる急性障害には、やけどや脱毛などの症状が出る目安となる値があります)。晩発性障害が心配されるので、“浴びた放射線量が○○マイクロシーベルト以下なら、がんや白血病になる心配はない”と言えないことを示します。
これを踏まえると、政府が食品や水に暫定規制値を設けるということは、しきい値のないものに無理やりしきい値を作ってしまっている、ということです。これを設けたおかげで、暫定規制値が一キロあたり500ベクレルの食肉の場合、501ベクレルはダメで、499ベクレルならOKということになってしまいます。
高木氏は本書の中で、チェルノブイリ原発事故時の、汚染された輸入食品に対する日本政府の対応をひいて、このことについての警告を発しています。当時の日本では、基準すれすれで検査をパスした食品が市場に出回っていたと考えられます。それと同じことが、今起こっているのです。
本書は初版から20年前後経過しているにも関わらず、文章は新鮮で、原子力に詳しくない一般人でもわかりやすく書かれている点や、内容の正確さが評価されており、ほぼ同時期に出版され、やはり新装版として再登場した『新装版 チェルノブイリ原発事故』、『新装版 反原発、出前します』と共に、改めて注目を集めています。
自分の子どもを少しでも放射能から遠ざけ、守るためにも、原子力や放射能について、メディアの情報に惑わされず、正しい知識を持ちたいもの。 正しい知識に基づいて、考えうる最悪の事態に備えることは、今や親のつとめなのです。
高木仁三郎さんは、その六十二年の人生の走路を、全速力で走り抜いて去りました。彼が去った後には、夜空の星々のように、たくさんの論文、著書、エッセイ、記録が輝いて残っています。(略)
あきらめから希望へ、希望の組織化へ、そして地球の未来をとりもどす希望の科学へ、その担い手としての市民科学者へと、高木さんはひたむきに歩みました。そういう彼の生き方はどこから生まれたのでしょうか。
人間への愛から、現代文明への見通しからでした。(略)
この著作集は、市民科学者・高木仁三郎の生き方と思想と業績を、とくにこれからの世界と日本を担う次の世代がまなび、研究できるようにととのえるという思いで編まれています。
高木さんの志を受け継ぎ、希望を組織化する人々がさまざまな分野に現れることを願って、この著作集を刊行します。(花崎皋平「刊行の辞」より)
特に放射性ヨウ素やセシウムなどによる内部被ばくは、子どもを持つ親なら神経質にならざるを得ず、極めて重要な心配事となっています。
政府は水や食品に暫定規制値を設けることで、汚染された食品が市場に出回るのを防ごうとしていますが、理学博士で、核化学が専門であった故・高木仁三郎氏の著書を新装版として緊急出版した『新装版 食卓にあがった放射能』(渡辺美紀子/共著)を読むと、こうした政府の取組みが全く不十分で、放射性物質の特性がわかっていない、またはわかっているにも関わらず目をつぶっていることがわかります。
放射性物質の影響でがんや白血病になるリスクを考える時、まず前提としてわかっておかなければいけないのが、放射性物質に「しきい値」はないと考えられていることです(大量の放射性物質を浴びた際に起こる急性障害には、やけどや脱毛などの症状が出る目安となる値があります)。晩発性障害が心配されるので、“浴びた放射線量が○○マイクロシーベルト以下なら、がんや白血病になる心配はない”と言えないことを示します。
これを踏まえると、政府が食品や水に暫定規制値を設けるということは、しきい値のないものに無理やりしきい値を作ってしまっている、ということです。これを設けたおかげで、暫定規制値が一キロあたり500ベクレルの食肉の場合、501ベクレルはダメで、499ベクレルならOKということになってしまいます。
高木氏は本書の中で、チェルノブイリ原発事故時の、汚染された輸入食品に対する日本政府の対応をひいて、このことについての警告を発しています。当時の日本では、基準すれすれで検査をパスした食品が市場に出回っていたと考えられます。それと同じことが、今起こっているのです。
本書は初版から20年前後経過しているにも関わらず、文章は新鮮で、原子力に詳しくない一般人でもわかりやすく書かれている点や、内容の正確さが評価されており、ほぼ同時期に出版され、やはり新装版として再登場した『新装版 チェルノブイリ原発事故』、『新装版 反原発、出前します』と共に、改めて注目を集めています。
自分の子どもを少しでも放射能から遠ざけ、守るためにも、原子力や放射能について、メディアの情報に惑わされず、正しい知識を持ちたいもの。 正しい知識に基づいて、考えうる最悪の事態に備えることは、今や親のつとめなのです。
■ 市民科学者・高木仁三郎の思索・研究と運動の全貌!
『高木仁三郎著作集 全12巻』( 2004年4月に完結)高木仁三郎さんは、その六十二年の人生の走路を、全速力で走り抜いて去りました。彼が去った後には、夜空の星々のように、たくさんの論文、著書、エッセイ、記録が輝いて残っています。(略)
あきらめから希望へ、希望の組織化へ、そして地球の未来をとりもどす希望の科学へ、その担い手としての市民科学者へと、高木さんはひたむきに歩みました。そういう彼の生き方はどこから生まれたのでしょうか。
人間への愛から、現代文明への見通しからでした。(略)
この著作集は、市民科学者・高木仁三郎の生き方と思想と業績を、とくにこれからの世界と日本を担う次の世代がまなび、研究できるようにととのえるという思いで編まれています。
高木さんの志を受け継ぎ、希望を組織化する人々がさまざまな分野に現れることを願って、この著作集を刊行します。(花崎皋平「刊行の辞」より)
高木 仁三郎
理学博士。核化学専攻。原子力の研究所、東京大学原子核研究所助手、東京都立大学理学部助教授、マックス・プランク研究所研究員等を経て、1975年「原子力資料情報室」の設立に参加。
1997年には、もうひとつのノーベル賞と呼ばれる「ライト・ライブリフッド賞」を受賞。
原子力時代の末期症状による大事故の危険性を、放射性廃棄物がたれ流しになっていくことに対する危惧の念を最後のメッセージに記し、2000年10月8日死去。
1 食品の放射能汚染とは
2 チェルノブイリの放射能―その教訓
3 食卓にあがった放射能
4 輸入食品と放射能汚染
5 日本で原発事故が起こったら
6 放射能にどう備えるか
2 チェルノブイリの放射能―その教訓
3 食卓にあがった放射能
4 輸入食品と放射能汚染
5 日本で原発事故が起こったら
6 放射能にどう備えるか
国際原子力事象評価尺度において最悪のレベル7と認定され、原発史上最悪の事故といわれるチェルノブイリ原発事故の現場で起こっていたことを詳細に解説。周辺環境への影響にも触れ、核文明が不可避的に抱える問題を鋭く突いた一冊です。
書籍名:新装版 チェルノブイリ原発事故
作者名:高木 仁三郎
出版社:七つ森書館
価格: 1,470円
ISBN-10:4822811301
ISBN-13:978-4822811303
作者名:高木 仁三郎
出版社:七つ森書館
価格: 1,470円
ISBN-10:4822811301
ISBN-13:978-4822811303