書籍名:プレイングマネジャーの教科書―結果を出すためのビジネス・コミュニケーション58の具体策
著者名:田島 弓子
出版社:ダイヤモンド社
価格:1,575円
ISBN-10:4478012113
ISBN-13:978-4478012116
コミュニケーションは意外とカンタンだ!
「プレイングマネジャー」といえば、元東京ヤクルトスワローズの古田敦也氏が選手兼任のまま監督になったときに話題になった言葉なので、イメージはなんとなくつくだろう。
選手(プレーヤー)としてチーム内の機能を果たしながら、マネジャー(管理者)としてチーム全体を管理する。この二束のわらじを上手くこなすのは極めて難しく、1年目はかろうじてAクラス入りできたものの、2年目は最下位に落ち込むという結果になった。さらに古田氏自身も成績が全く奮わず、監督解任とともに選手としても現役引退をした。
自分自身の数字を気にしながら、リーダーシップを発揮して部下の管理も行う。板ばさみになり、業務量も増える。野球に関わらず、ビジネスの世界でも「プレイングマネジャー=中間管理職」は熾烈だとされる。
本書の著者である田島弓子氏はかつてマイクロソフト社に在籍し、営業やマーケティングで活躍。当時数少ない女性営業部長として自身のチームを育て上げ、社長賞を2回受賞するほどの成績をあげるチームに導いた。
成果主義をモットーとする外資系企業。才能も個性も強いメンバーたち。田島氏のおかれた環境は苛酷である。その中でどのようにチームをまとめあげてきたのか。
■コミュニケーションを変えることでチームは変わる
プレイングマネジャーに求められるのはリーダーシップよりもハブ型マネジャーシップだ。つまり複数のパソコンをつなぐ“ハブ”のような役回りである。
そこでは話を聞いて状況を理解したり調整をしたりと、部下とコミュニケーションをとり、適切に動かす力が求められる。
さらに、本書の一番の肝はそのコミュニケーションを「仕組み化」することにある。それが出来てしまえばもうこちらのもの。例えば、難しいとされる根回しや場回しもこんな風に手順化してしまえば、やり方がよく分かるだろう。
①根回し:関係部署の協力をとりつける(コンセンサスをとる)
②突破口になる:まず自分が先陣を切って突破口になる(クライアント訪問)
③情報共有:クライアントの反応などを、他部署とシェアする
④筋道をつける:アプローチ方法がわかれば、自然とチームメンバーが動き始める
本書は人を動かすためのキラーワード集、クセモノや苦手な人の対応方法、トラブル時のFAQなど、58のビジネスコミュニケーションの具体策が載っている。
コミュニケーションの技術は一朝一夕に身に付くものではなく、粘り強く覚えていく必要がある。しかし、その「型」を覚えてしまえば実は非常に上手く回りだす。
コストカットによる人員削減などによって、中間管理職の業務環境はさらに苛酷になりつつあると言われる。自分自身が仕事に殺されないために、本書を読んでおくのは一つの手だろう。
(新刊JP編集部)
田島弓子(たじま・ゆみこ)
ブラマンテ株式会社代表取締役。
1967年生まれ。成蹊大学文学部卒業。
IT業界専門の展示会主催会社などにてマーケティング・マネジャーを務めた後、1999年マイクロソフト日本法人に転職。
約 8年間の在籍中、Windows 2000、Windows XP、Windows VistaなどWindowsの営業およびマーケティングに一貫して従事。当時営業・マーケティング部門では数少ない女性の営業部長を勤める。在籍中、個人および自身が部長を務めた営業グループでプレジデント・アワード2回受賞。また社内幹部候補としてリーダーシッププログラム等への参加経験を持つ。
2007年キャリアおよびコミュニケーション支援に関する事業を行うブラマンテ株式会社を設立。
個人および企業向けキャリアやコミュニケーションについて、特に若年層向け働き方論、女性向けキャリア支援、女性の部下を持つ男性管理職のコミュニケーションなどをテーマに、コンサルティング、社員研修、セミナーなどの活動を行っている。
著書には『ワークライフ アンバランス の仕事力』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。
〝四重苦"の中で日々奮闘している中間管理職のあなたへ
Part1
気が弱い人ほど「課長業(プレイングマネジャー)」はうまくいく!
01
やりたくない・自信がない・やる気がない。〝3ない上司"ほど、マネジャーの素質あり
02
持つべきは、引っ張るリーダーシップよりも、回すマネジャーシップ
03
プレイングマネジャー経験は、自己成長の〝ステージ2"
04
コミュニケーションは、結果を出すためのビジネススキルである
05
コミュニケーションは、たった5秒あれば改善できる
06
コミュニケーションは、仕組み化できる
07
最強のコミュニケーション・ツール① 話しかけられ上手↓引き出し上手
08
最強のコミュニケーション・ツール② 観察力
09
最強のコミュニケーション・ツール③ ハブ力
10
最強のコミュニケーション・ツール④ 根回し+場回し
PART 2
5秒でできるコミュニケーション!
「初期投資ゼロ」の即効フレーズ
11
「おはよう!」――あいさつは、部下からではなく上司から
12
「最近どう?」――部下に「いつでも話に来てくれていいよ」という〝空気"を作る
13
「今はダメだけど、15時からなら5分とれるよ」
――手が離せないときでも、「話を聞く用意はある」と伝える
14
「良い話? 悪い話?」――悪い話を即座にキャッチできる、さりげないフレーズ
15
「お客さまのことを一番知っているのは、あなただからね」
――部下に「自分が主役」だという自覚を持たせる
16
「どうしてお客さまはウンと言ってくれたの?」
――部下に手柄を披露させ、成功プロセスを評価する
17
目をキラキラさせながら「うん、面白いね、それで?」
――あいづちで「引き出し力」をつける
18
「どうしたの? あなたらしくもない」
――人格を傷つけずに部下を叱る方法
PART 3
19
緊急事態だから、何かあったらいつでも声をかけて」
――一粒で二度おいしい、失敗対処のキラーフレーズ
20
ため息をついて「まいったな……(困)」
――弱った姿をさらけ出して、部下の自尊心をくすぐる
21
「ごめん、ちょっと5分だけ集合~」
――情報の「垂れ流し」で、部下との信頼関係も深まる
22
「お帰りなさい、おつかれさまです」
――上司に「自分に話をするきっかけ」を提供する
23
「先生~」――上司に苦言を呈するときの和らげ表現
24
「最近、何がキテますか?」――年上の部下は〝軍師"と心得る
25
「すみません! ちょっと困ったことが」
――専門職の人に有効な「頼る」コミュニケーション
26
「ありがとうございます+さすがですね」
――ほめ言葉とお礼は二段活用で完結する
27
「うちの○○は、ご迷惑をかけていませんか?」――社内調整の先回りフレーズ
28
ネコパンチ<パンダエルボー<ウマキック
――怒りの感情の3段活用~オブラートに包んでソフトに、でも確実に伝える
コミュニケーションを仕組み化する
29
コミュニケーションのための手帳術① ――コミュニケーションTO DOリストを作る
30
コミュニケーションのための手帳術② ――「部下のための30分」もスケジューリングする
31
コミュニケーションのための手帳術③ ――部下のデッドラインも手帳に書く
32
パソコン上のスケジュールを公開しておく
33
デットラインは「あいさつ」でリマインド可能
34
デッドラインの2日前報告を仕組み化する
35
ゴールのあとの「ねぎらい」も仕組み化
36
相手の「マイブーム語」を意識的に使う
37
どんなに忙しくても「話しかけないでオーラ」だけは出さない
38
コミュニケーションの「場」は会議室だけではない
39
メールの仕組み化でパフォーマンスが2倍に!
PART 4
クセモノ&苦手な人対策「問題解決コミュニケーション」
40
伝書バト部下を育てるのは、「解きほぐし」コミュニケーション
41
プライドの剣には、ロジックの盾で返す
42
年上の部下とうまくやる「マイルドな理詰め」
43
他部署には「落としどころ持参」でアプローチ
44
「人の部下」に、直接コンタクトしてはいけない
45
やりにくい相手には「不甲斐ないほど」下手に出る
46
1対1なら、時にはケンカしてもいい
47
とっつきにくい人には「プロ意識」に訴える(真摯に甘える)
48
提案は「タイミングがすべて」
49
「朝令暮改上司」の指示は2、3日寝かせてみる
50
シマウマでもできる!「断る力」コミュニケーション
51
鬼軍曹上司を鬼にしない4つのポイント
PART 4
プレイングマネジャーのためのトラブル時のFAQ
52
クレームが熱いうちに部下を叱る
53
日常の〝ゆるみ"をトラブルに育てない方法
54
時には〝あえて"キレてみせる
55
クレームは、相手の良心に訴えるもの
56
負けないための「冷静コミュニケーション」
57
上司に叱られたあとは、すぐ〝謝り直し"に行く
58
たとえ自分が悪くなくても、第一声は「すみません」
PART 5
おわりに これからの時代のプレイングマネジャーを目指して
コラム 外資系企業のコミュニケーションのツボ
外資の知恵① あえて下手な英語で話す
外資の知恵② 相手のフレーズをどんどん真似する
外資の知恵③ 英文メールはシンプル・数字・ストレート