大震災後、資産を守り育てる秘術を公開
今回の大震災をきっかけに、「いつどんなことが起こっても生きていけるような備えをしておかなければならない」との思いを強く感じた人は多いでしょう。そして、非常時に対する備えとして真っ先にくるのはやはりお金です。
しかし、経営コンサルタント・投資家として活躍する岩崎日出俊さんは、大震災をきっかけにマネーの動きが変わったといいます。大震災前と後では、効果的な資産運用の方法に変化が出ているのです。
では、大震災後の不安定な現状でも有効な資産運用の方法とはどのようなものなのでしょうか。
■流動性・換金性を重視せよ
震災後、日経平均株価は一時8,200円台をつけました。このとき「買い」を入れておけばと思った投資家もいるでしょう。為替もぐんと円高が進み、ドルは一時76円台を付けています。「あの時、ドルを買っておけば」と思った投資家も少なくありません。
しかしこういった際にあなたの資産が流動性の乏しい債券やファンド・投信に投資されてしまっていたら・・。そうです。動くに動けないといった事態に陥ります。
市場が激しく乱高下する局面では、資産の流動性を高め、柔軟に対応しないといけません。へたをすると大火傷を負いかねませんし、逆に千載一遇のチャンスを見逃すことにもつながります。
不確実な時期には、ピンチをしのぐ意味でも、チャンスをつかむ意味でも、すぐ換金できる資産が大事であると岩崎さんは言います。
■投資とは「成長」に対して資金を提供して、その果実にあやかること
投資に対する最も基本的なこの原則を踏みはずさなければ痛い目に遭うことはなく、「あなたの資産は増えていく」と岩崎さんは言います。
残念ながら過去20年以上にわたり日本はあまり成長してきませんでした。GDPの伸長率をとっても日経平均株価の推移をとってもしかりです。
一方、最近急ピッチで成長してきているのは新興国。
この1年間に岩崎さんは、中国、トルコ、ブラジル、アルゼンチン、韓国、ベトナム、カンボジア、タイの各国を出張で訪問してきたといいます。
本書には新興国のみなぎる躍動感を現地で実感してきた著者だけが言える数多くの投資のアドバイスが満載されています。
■流動性を確保しながら成長の波に乗る
たとえばベトナムやインドネシアの企業の株を買おうと思っても十分な情報がないし、買った結果、国によってはすぐに換金できないといった流動性のリスクをかかえてしまうことになりかねません。
だとしたら、これらの新興国で積極的な事業を展開しているグローバル企業の株式を買ったらどうでしょう、というのが岩崎さんの提案の一つです。
『マネー大激震 逆境下の資産運用術』には、未曾有の大災害に見舞われ、不安定な現状における資産運用のアドバイスやノウハウがたくさん紹介されています。
何かあった時に頼りになるのはやはりお金。今のうちにしっかり備えをしておきたいものです。
岩崎 日出俊 (いわさき ひでとし)
1953年、東京都生まれ。経営学修士。
早稲田大学政経学部政治学科卒業後、日本興業銀行に入行。スタンフォード大学に留学。ノーベル経済学賞受賞者のウィリアム・シャープ教授に学び、MBA(経営学修士号)を得た。
1998年よりJ・P・モルガン、メリルリンチ、リーマン・ブラザーズの投資銀行各社においてマネージング・ダイレクターを務め、2003年インフィニティ株式会社代表取締役。
インフィニティ株式会社にて投資業務・経営コンサルティング業務に従事する傍ら、2007年より大阪経済大学大学院にて毎年教鞭を執っている。主な著書に『投資銀行』(PHP研究所)、『リーマン恐慌』(廣済堂出版)、『サバイバルとしての金融』、『金融資産崩壊』(祥伝社新書)、『M&A新世紀』(小社刊)などがある。最新刊は『定年後 年金前』(祥伝社新書)。
http://www.iwasaki-japan.com/index.html
■岩崎日出俊さんブログ
http://hidetoshi-iwasaki.cocolog-nifty.com/
第1章 震災でマネーの流れが変わった
不動産地価マップが劇的に変化
「資産」だと思っていた不動産が「リスク」になった
老後への備えが崩壊した
もはや国際都市ではなくなった東京
震災後恐慌は来るのか
震災後の日本は買いか売りか
投資家ジム・ロジャーズからの警鐘
【コラム】それでも東京・都心部の地価は上がる?
第2章 資産がメルトダウンしていく
個人の資産がメルトダウンしていく恐怖
「退職金・持ち家・年金」――3本柱の目論見が狂った
年金についても見直しの動きが
空白の5年間
鬱病になるリスク
老後は、本当はいくら必要か
中高年はリスクを取るな
①老後の借金はタブー
② 1つのカゴに卵を盛るな
③ファイナンシャル・プランナー(FP)の言葉に惑わされるな
1. 不確実性に備えよ――流動性・換金性を重視せよ
2. 成長の波をつかめ――日本にこだわるな
3. 流動性を確保しながら成長の波に乗るグローバル企業株投資
4. バフェットに学べ
5. 投資信託の手数料は苛酷であることを認識せよ
6. セールストークに乗るな
7. これを機に塩漬け株と決別する「断捨利」を実施せよ
第4章 日本を超えたところに成長あり
―個別銘柄の検討―
1. バークシャー・ハサウェイ
2. 現代自動車(ヒュンダイ)
3. アップル
4. 三菱商事
5. コマツ
【コラム】新興国の躍動
第5章 「利回り」と「換金性」を狙う
―金、外貨、米国債、FXの検討―
1. 金(ゴールド)
2. 高利回り外貨(豪ドル、レアル)預金
3. 米国債
4. FX(外国為替証拠金取引)
終章(あとがきに代えて)死ぬ前にどう生きるか
――アップル社ジョブズ会長のスピーチより