- 書名:
- ミラーニューロン
- 著者:
- ジャコモ ・リゾラッティ、コラド・シニガリア
- 翻訳者:
- 柴田裕之
- 監修:
- 茂木健一郎
- 価格:
- ¥2,415(税込)
- 出版社:
- 紀伊國屋書店
- 発行日:
- 2009年5月19日
- ISBN(13桁):
- 9784314010559
- ISBN(10桁):
- 431401055X
- はじめに
- 1 運動系
- ・一杯のコーヒー
- ・前頭運動野の構成
- ・頭頂-前頭の回路
- ・最初の結論
- 2 行動する脳
- ・動きと運動行為
- ・視覚-運動特性
- ・把持回路
- ・視覚経路
- ・行為の語彙
- ・手で見る
- 3 周りの空間
- ・物へ手を伸ばす
- ・体の座標
- ・近くと遠く
- ・ポアンカレの決闘
- ・空間の動的な概念
- ・さまざまな行為で届く範囲
- 4 行為の理解
- ・標準ニューロンとミラーニューロン
- ・摂食とコミュニケーション
- ・上側頭溝・下頭頂小葉との連絡
- ・ミラーニューロンの機能
- ・行為の視覚表象と運動理解
- ・行為のメロディと意図の理解
- 5 ヒトのミラーニューロン
- ・初期の証拠
- ・脳画像の研究
- ・近くと遠く
- ・ヒトのミラーニューロンによる他者の意図の理解
- ・語彙の違い
- 6 模倣と言語
- ・模倣のメカニズム
- ・模倣と学習
- ・身振りによるコミュニケーション
- ・口、手、声
- 7 情動の共有
- ・情動の役割
- ・ライル島で嫌悪感を共有する?
- ・共感と情動の彩り
あなたがパソコンの前でモニターを見つめながらキーボードを叩いているとしよう。
どうしてあなたがキーボードを叩くことができるのか。
ざっくばらんに言えば、それは、脳がキーボードを叩くように筋肉を動かす命令をしているからである。
私たちが目や耳や触覚で見て、聞いて、感じることができるのも全て脳がそれらを「認知」し、処理するからである。
近年、そうした人間の行為のメカニズムを解明する「脳科学」への注目が集まっており、その中でも最近世間を騒がしているのが「ミラーニューロン」という存在である。
ニューロンとは神経細胞のことで、情報処理と情報伝達に特化している細胞だ。本書において、外部からの刺激を受け止め、実際に行動を起こすための命令を体の各部位に出力する細胞として、頻出する単語である。
では「ミラーニューロン」とは何だろうか。
「真似る」という行為。実はこの行為において、ミラーニューロンが重要な役割を占めているのではないかと考えられる。つまり、「学習」や「共感」といった人間のコミュニケーションの本質に、ミラーニューロンが関わっているとされるのだ。
本書は、ミラーニューロンの秘める可能性を発見者自らが科学的に解き明かしたもので、まさに「ミラーニューロンを知る上での教科書」となるものである。
この「ミラーニューロン」を解明できれば、より親密なコミュニケーションや、効果的なビジネス戦略を立てることなどへの応用も十分に可能なのだ。
監修者である茂木健一郎氏の解説も本書の読みどころの1つだ。
脳科学の恐るべき可能性、そして人間の行動の原点を知りたい人にはうってつけの一冊だと言えよう。
(新刊JP編集部)
ジャコモ・リゾラッティ
1937年生まれ。世界的に有名な神経生理学者。パルマ大学の人間生理学教授、神経科学科長。その指揮の下、同大の研究チームが1990年代初めにミラーニューロンを発見。大脳皮質の運動系とミラーニューロンに関する研究は、「サイエンス」誌など権威ある科学専門誌に掲載され、認知科学の議論に重大な影響を与えてきた。
コラド・シニガリヤ
1966年生まれ。ミラノ大学科学哲学准教授。数年にわたってルーヴァン、パリ、ケルンで知覚の現象学と行為の哲学を研究。
柴田裕之(訳者)
1959年生まれ。主な訳書に、マックス『眠れない一族』、ハンフリー『赤を見る』、ジェインズ『神々の沈黙』、クラップ『シバの女王』、ノ-レットランダ-シュ『ユーザーイリュージョン』(以上、紀伊國屋書店)、ダイソン『叛逆としての科学』(みすず書房)などがある。
茂木健一郎(監修者)
1962年生まれ。脳科学者、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。主な著書に『クオリア入門』『意識とはなにか』(筑摩書房)、『脳を活かす仕事術』『脳と創造性』(PHP研究所)、小林秀雄賞受賞作『脳と仮想』(新潮社)、『心を生みだす脳のシステム』(NHK出版)などがある。