だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1461回 「20代でムダな失敗をしないための「逆転思考」」

偏差値30から東大に合格し、ベンチャー企業の経営を経て成功を手にした著者の成功ノウハウをまとめた一冊。「普通の方法では、圧倒的に不利な状況を打開することはできなかった」と語る著者の成功の秘訣は、“逆転思考”というものでした。今、難局にいる方には、状況を打開する発見があることでしょう。

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逆境を見方にする“逆転思考”の使い方

 “ピンチ”を“チャンス”と捕らえる経営者といえば、松下幸之助ではないでしょうか。今日紹介する本の著者・上田渉さんも、逆転の発想で、圧倒的に不利な状況から、一歩一歩、着実に成功体験を積み重ねてきた方です。その秘訣を一冊の本にまとめたのが本書です。

●著者プロフィール  上田渉さんは、オトバンク代表取締役社長。政治家を志し、東大を目指した当時(高校3年生)の偏差値が30。しかし、そこから独自の勉強法を駆使しての東大合格。 また、ベンチャー会社を立上げ、100人に聞けば100人が、「そのビジネスは無理だ」と口を揃えて言うオーディオブック事業を軌道に乗せるなど、“圧倒的に不利な状況を打開して、成功体験を積み重ねてきた人”なんです。

 なぜ上田さんは、誰もが諦めるような状況や多くの知識人が「それは無理だ」というような困難な状況からでも、自分を信じ、挑戦し、そして成功できるのでしょうか? その秘密は、『逆転思考』にありました。

●プロローグ「失敗から学んだ成功する思考法」  本書の冒頭では、上田さんの過去の失敗を振返っての反省が綴られています。  例えば、現実を考えずにNPOを設立しようとしたことや、通用しないビジネスモデルで会社を始めたこと。実は上田さんは、同じ失敗を何度も繰り返してきたのです。

 本編では、失敗から学んだ思考法を紹介しています。「普段の仕事に、逆転思考を取り入れたい」という方や、「弱い立場から大きな成功を手にしたい」という方が知って役立つノウハウです。

志は大きく持つ!

● Chapter1.まずは“志”を立てる!  何事を成すにも志なければ、初志貫徹はむずかしいものです。まずは、志を立てようということが書かれていますが、志を立てるとは、なかなか難しいものです。そこで、Chapter1では、上田さんからの“志を立てる”ためのアドバイスが書かれています。

 例えば、「志は、今の状態を無視すると考えやすい」とあります。何を無視するかというと、社会状況や慣習など、自分の思考を邪魔するものすべてです。こうすることで、発想を自由に広げることができますし、本来あるべき姿が見えてきます。それが、目指すべき理想の状態であり、達成すべき志になりえるのだと、上田さんは言います。

 矢島さんの実家は青果店ですが、「お店の顧客を増やす」という課題を考えるとすれば、いっそのこと商工会や組合の慣習は無視して、「矢島青果食品店を世界企業にするにはどうしたらよいか?!」くらい自由な発想をした方が、大きな志や、戦略が見えてくるのかもしれません。

● Chapter2.基礎知識を身につける!  ここでは、4P、3C、ファイブフォースといった、実用的なフレームワークの解説です。物を考えるためには、武器を揃えようということで、一読してみてください。

一週間で業界通になるための秘訣

● Chapter3.業界知識を学んでみる!  コンサルティング会社のマッキンゼーでは、「一週間で専門家になれ」といわれるそうです。なぜなら、例えば繊維業界から仕事の受注があったら、近々に、繊維業界の専門家として交渉しなければならないから。

 コンサルに限らず、フリーで仕事をするにしても、会社に所属して仕事をするにしても、自分が携わっている業界についてよく知っていなければ、良い仕事はできません。ここでは一週間で業界通になるノウハウが書かれています。

● エピローグ 後悔が残らないように全力で走り抜け!  本書の締めくくりは、本編で伝えてきた、「志」と「基礎知識」と「業界知識」を手に入れたら、次はどうするのか? について、最後のアドバイスが書かれています。最後のアドバイスとは、もちろん、志の達成のため、成功するまで全力でやり抜け!というものです。

 本書全体として、普通思考だと「こう」。しかし逆転思考だと「こう」という、一言アドバイスがトピックスごとに書いてあって、一読したあとはここを読み返すだけでも、頭を柔らかくしたり、柔軟な発想をする助けになりそうです。

20代でムダな失敗をしないための「逆転思考」

再春館製薬所 社員食堂の秘密(ひとつ前の新刊ラジオを聴く)

20代でムダな失敗をしないための「逆転思考」

20代でムダな失敗をしないための「逆転思考」

偏差値30から東大に合格し、ベンチャー企業の経営を経て成功を手にした著者の成功ノウハウをまとめた一冊。「普通の方法では、圧倒的に不利な状況を打開することはできなかった」と語る著者の成功の秘訣は、“逆転思考”というものでした。今、難局にいる方には、状況を打開する発見があることでしょう。