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結局、ひとりで勉強する人が合格する

ノートも授業も予備校もいらない。「そこそこ」から脱却する一生役立つ勉強法
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解説

独学で難関試験をクリア! 超効率よく結果を出す勉強術の新常識

インプットがなければ、アウトプットできないのは当然のこと。

しかし、大量にインプットをしても(勉強時間を増やしても)、うまくアウトプットできずにもがいている(結果に結びついていない)人は少なくありません。

勉強術について書かれたビジネス書のコーナーを見てみると、効率よくインプットするための方法が書かれている本ばかりですし、ネット上でも効率的なインプット術に関する記事がたびたび話題になります。

また、資格試験の合格という明確なアウトプット先を設けて、学校に通ったり、通信教育を受けたりする人もいます。

ではなぜ、なかなか効率の良いアウトプットができないのでしょうか?

「アウトプット」に重きを置いた、超実践的な勉強術

資格試験対策をオンラインで提供する「資格スクエア」の代表で、弁護士でもある鬼頭政人さんの著書『結局、ひとりで勉強する人が合格する』(幻冬舎刊)は、開成、東大、司法試験と難関試験を通ってきた著者ならではの、インプット&アウトプット術が書かれた一冊。

「試験対策のプロ」というべき鬼頭さんならではの、いかに効率よく結果を出すかという点にしぼられた内容が明かされています。つまり、アウトプットに重きを置いた超実践的な勉強術なのです。

本書を読むと、それまで当たり前だと思っていた勉強法の常識が覆るかもしれません。目からのウロコのポイントを2つ、ご紹介しましょう。

まず教科書を一度読み込もう。のんびりしていても知識は身に付かない!

鬼頭さんの「資格スクエア・リアル」では、予備校が通常1年以上かけてすべての科目を学習するのに対して、まず3ヶ月ないしは6ヶ月という短期間で一周してもらうといいます。

というのも、科目の中には全体像が見えて初めて理解できる分野も多く、他の科目との比較を通じて身に付く知識もあるため、とにかく早く1周することが不可欠なのだとか。

そして実際、最初から丁寧に一つ一つ勉強していくよりも、まず教科書を一周読んでおおまかに概要をつかんでから、分からない部分を集中的に勉強するという方法を実践している人のほうが、効率よく合格を勝ち取っているといいます。

勉強のための勉強にならないように工夫することが、インプットの効率アップにつながるのですね。

また、2周目以降、つまり復習のスパンはどんどん短くなります。例えば2周目が1ヶ月半だとすると、次は1ヶ月になり、そしてさらに2週間といった具合に。こうして知識の定着を促すのだそうです。

早く結果を出したいなら丁寧に勉強するな。テストをどんどん受けろ!

テストを受けるときは、ある程度知識を定着させてから。そう思う人もいるでしょう。しかし実際には、知識があやふやなうちにテストをどんどん受けた方が、知識の定着は早まると著者は述べます。

ある実験では、同じ教科書を同じ時間で2回読んだ場合と、1回読んだ後にその教科書に関する問題を解いた場合とでは、すぐにテストを受けた方が、知識が圧倒的に身に付いたそうです。

もちろん本番の試験はちゃんと知識を身に付けてから受けるべきでしょう。

ただ、司法試験の場合において、合格する生徒は試験半年前の確認テストで8割程度の点数をとっているデータもあり、早めの知識定着が合格の近道といえる以上、どんどんテストを受けることは結果を出すためにも必要だといえます。

 ◇    ◇    ◇

これらは「資格試験の合格」という目的が前提の上での勉強術ですが、それ以外のスキルアップや自分の知識アップの勉強でも充分に活用できます。

また、『結局、ひとりで勉強する人が合格する』というタイトルの通り、独学でできてしまうところも大きなポイント。

勉強をしているけれどまったく結果がついてこないと悩んでいる人は、この鬼頭さんの勉強法をすぐに始めてみてはいかがでしょうか。

(新刊JP編集部)

インタビュー

結果を出せる人は結局自分で勉強を続けられる人。では、なぜ続けられないの?

資格スクエアイメージ画像

「勉強について悩んでいる人全般に読んでほしいですね。社会人だけではなく、学生さんにも。社会に出たら自分で学ぶ力が絶対に必要ですが、一度誰かに頼る癖がつくとなかなか治らないんです。答えはなんですか? テストないんですか? そういう風になっている人は少ないと思います」

難関資格試験の講座をオンラインで配信する「資格スクエア」の創業・代表者であり、『開成→東大文Ⅰ→弁護士が教える超独学術 結局、ひとりで勉強する人が合格する』(幻冬舎刊)を上梓した鬼頭政人さんは、本書のターゲットについてこう述べる。

本のタイトルの通り、鬼頭さんは開成中学・高校から東京大学に進学、そして司法試験を突破し、弁護士としても活動を行っている、まさにエリート街道まっしぐらの人生を歩んできた。

その鬼頭さんが「結局は自分で勉強をする力がなければ頭は良くならないし、結果も出ない」と訴え、独学が継続する方法を教えるのが本書なのだ。

なぜ人は勉強を続けられないのか?

―― 本書は一人で勉強を継続してできるようになるための方法を指南する一冊です。確かに独学を続けるのはすごく難しいことです。

鬼頭:そうだと思います。資格スクエアというオンラインに特化した資格試験講座を2013年から2年半やってきた中で分かったのが、8割くらいの人は勉強が続かないという悩みを持っているということでした。

そこで私たちは、「資格スクエア・リアル」という一人で勉強するための方法を教えるサービスを立ち上げました。詳しくは後ほど説明しますが、一人ひとりにメンター的な役割の人がついて自主学習をサポートしています。

勉強が続かない理由は人それぞれありますが、よく聞くのが「忙しい」という声ですね。ただ、それも言い訳にしか過ぎないところがあって、仕事が終わらないから、飲み会があるから、家族がいるから、というのは自分の正当化に他なりません。

そのような状況でも頑張って、資格試験をパスしている人がいるわけですから。

―― 独学力が身についている人はどんな特徴があるのでしょうか。

鬼頭:じっと耐える経験をしたことがある人、我慢をしたことがある人はこういう力を持っていますね。マラソンをしているとか、中学高校で体育会系だったとか、受験勉強もそうです。

だから、中学受験をしている人は大学受験も強いですし、司法試験にも強かったりするんですよ。

―― 鬼頭さんご自身は中学受験で開成に進学し、大学受験で東京大学に合格し、超難関の司法試験も突破しているわけで、独学をしっかりこなしてこられたわけですよね。

鬼頭:そうなんですよ。だから「資格スクエア」を立ち上げたときは、みんな同じ授業を受けていれば合格できると思っていたんです。

ところが、実際そうではなかった。もともと「資格スクエア・リアル」を立ち上げる予定はなかったわけですが、これはそういうニーズがあるんだと思いました。

鬼頭政人さん写真

―― 「資格スクエア・リアル」はどのようなサービスなのですか?

鬼頭:簡潔に言えば、「独学力を鍛える塾」です。

「資格スクエア」は人気講師の講座をオンラインで低価格で提供するサービスで、効率性を追求するにはすごく良いツールなのですが、一方でパソコンに向かって勉強し続けるのはすごく難しいわけです。

続けないと意味がないので、自学自習が継続するためにどうすればいいかと考えた時に、それを脳科学を参考にして4つの要素に分解してみたんですね。

それが「監視」「競争」「危機感」「承認」の4つです。

「監視」と「競争」は外圧的な要因で、誰かに見張られていたり、競っているということがモチベーションをあげます。

一方、「危機感」「承認」は内圧的な要因です。「危機感」は「これを終わらせないと試験に受からない!」と思えるかどうか。

「承認」は「自己承認」と「他己承認」に分かれていて、「自己承認」は自分で自分をほめてあげることですね。「他己承認」は家族や恋人、友だちからほめてもらう、認めてもらうことでモチベーションを上げます。

この4つを確保することで人間は何でも続けられるのではないかと考えて、その確保する方法を仕組み化したのが「資格スクエア・リアル」です。

―― なるほど。勉強法の個別指導のような感じでしょうか。

鬼頭:ダイエットの「RIZAP」のような感じですね。指導といっても「ティーチャー」より「メンター」なので、受講者を導いてあげるような。

まずは勉強計画を指定して、それに沿って自主学習を進めてもらう。そして週1でテストを行います。そこで分からなかったことに対して個別に指導をしていくという形です。

その指導もゼミのような形式を取っているので、監視や競争の要素が含まれますし、危機感も出てきます。もちろん問題が解けたら承認します。

 ◇    ◇    ◇

この後、難関試験を突破し続けてきた鬼頭さんだが、勉強に本格的に目覚めるきっかけとなった、ある「事件」について語ってもらった。それは一体どういう「事件」だったのか? インタビュー後編でそれが明かされる。

開成・東大・司法試験 難関試験をクリアした男が初めて味わった「挫折」とは?

鬼頭政人さん写真

―― 難関資格試験の講座をオンラインで配信する「資格スクエア」の創業・代表者であり、自身も開成中学・高校、東京大学、そして司法試験と難関試験を突破してきた鬼頭政人さん。

勉強のプロともいえる鬼頭さんは、「結果を出せるようになるためには自主学習、つまり独学力が必要だ」と考える。その鬼頭さんの考えを凝縮したのが『開成→東大文Ⅰ→弁護士が教える超独学術 結局、ひとりで勉強する人が合格する』(幻冬舎刊)である。

勉強は効率と継続、その2つがほとんどだ。ところが継続できない人が多いのだという。

インタビュー前編では「なぜ人は続けられないのか」「続けるために必要な4つの要素」についてお話をうかがったが、後編ではまず鬼頭さんの「挫折」的な経験が、勉強を学ぶ楽しさに目覚めていくという子どもの頃のエピソードから話を聞いていく。

衝撃だった四谷大塚でのエピソード 頭の良い人と一緒に勉強することの意味

―― 超難関試験を突破し続けてきた鬼頭さんですが、本格的に勉強に目覚めるきっかけのエピソードはありますか?

鬼頭:中学入試のときでしょうか。当時の自分にとってすさまじく勉強しました。

というのも、もともと私は小学6年生の8月まで大手の塾に通っていなかったんです。地元の個人塾でそれこそゼミ形式の授業で勉強をしていて、でもその塾の中では圧倒的にできるわけですね。

だから天狗になっていたところがあったんです。そうすると勉強がつまらなくななる。それを壊したのが、8月から行き始めた四谷大塚でした。開成に受かるための選抜コースに入ったんです。

そのコースは、生徒は30人しかいないんですが、とにかく頭の良い人ばかりで、そこで初めて自分はたいしたことがないということを知ったんです。フィードバック面談という父母面談があるのですが、そこでも「頭の良い子ではないですね」と言われたりとか。

私はそこで腐ることなくて、逆に「こんなに頭の良い奴らと一緒いられるのが面白い」と思っていました。競争というかモチベーションになりましたね。

―― 書籍でも頭の良い人と勉強することが、自分を引き上げていくと書かれていますよね。

鬼頭:まさにそうですね。算数でも問題を見た瞬間に計算せずに答えが分かってしまう人とかいましたから。でも、逆にそういう子は国語が苦手だったりするので、総合なら勝てるかも、と思ったりしていました。

よく、運動系の部活ですごく上手い人が一人いると、その部活の全体のレベルが上がるという話がありますよね。日本のテニスも錦織圭選手の強さに引っ張られて、若手も成長してきているということがあります。

―― 四谷大塚ではどのように勉強をするのですか?

鬼頭:テストがすごく多かったですね。しかも抜き打ちで、難問ばかり出るような。しかもテストを返されるときは、点数の良い子から呼ばれるという(笑)。でも、30人全員開成中学に合格しました。

私はそのクラスの中では成績が良い方ではなかったけれど、点数よりも勉強をして新しく知ることの楽しさが勝っていましたね。おそらく一番勉強を楽しんでいた時期だと思います。

―― この『開成→東大文Ⅰ→弁護士が教える超独学術 結局、ひとりで勉強する人が合格する』は東洋経済オンラインで連載されていたものを加筆・再構成した本になりますが、その連載では悩み相談をされていましたよね。そこで掲載しているもの以外にどんな悩みがありましたか?

鬼頭:いろいろありましたよ。このまま資格試験を受けようかどうか悩んでいるとか、自分はその資格に向いていないんじゃないかとか。

―― 向いているかどうかってあるんですか?

鬼頭:結局は試験ですからね。試験そのものに向き不向きはあまりないと思います。ただ、その後の職業に向いているかどうかというのはもちろんあります。数式を使う試験もありますが、特に文系の資格はそこまで出てこないので。

―― では、そういった相談を受けたときに、どのように回答されるのでしょうか。

鬼頭:向いているかどうかの前に、どれだけ勉強をしたか教えてもらいます。ほとんどの場合、勉強していないか、方向性が間違えているかどちらかですね。

授業のイメージ画像

―― 方向性を間違えているというのは?

鬼頭:いろんな本や参考書を片っ端から読み漁っているケースが多いです。特に参考書は一つにしぼるべきで、それをマスターすることが大事です。何冊も読み漁っていると、効率が悪くなります。

資格試験の予備校も同じことがいえますね。この手の場合は、選ぶときは迷ってもいいけれど、決めたら信じることが大事です。

また、過去問を解いていない人は上手くいかないですよね。過去問は傾向と対策を知る上で、一番良いテキストです。

―― では、悩みに触れる中で新たに気付かれたこともあったのではないですか?

鬼頭:そうですね。モチベーションが下がり方とか、現実逃避の言い訳とか…。上手くいかない人ってほとんど「体調が悪い」って言うんです。

それも風邪とかではなく、2、3週間くらいずっとグズってるような体調の悪さですね。おそらく精神的な部分にも原因があるのだと思いますが、それを言い訳にしちゃっている人は多いと感じました。

―― 気持ちが切れてしまうときってあると思います。そのとき、無理にでも勉強すべきでしょうか。

鬼頭:いや、しないほうがいいと思います。よりメンタルに負荷をかけてしまうから。それに集中力が保てないので効率も悪い。だったら、勉強を一度手放して、自分の勉強したい欲を醸成したほうがいいでしょうね。

 ◇    ◇    ◇

勉強をはじめても、なかなか続かなくて…と思っている人は多いだろう。そんな人はいつもどんな言い訳を自分の中でしているだろうか?

『開成→東大文Ⅰ→弁護士が教える超独学術 結局、ひとりで勉強する人が合格する』はそうした言い訳を封じて独学で勉強する方法を教えてくれる一冊。参考にしてみてほしい。

書籍情報

目次

  1. 第1章 勉強の本質は自学自習にあり
  2. 第2章 100点とる人は合格できない!?
  3. 第3章 教科書と参考書 徹底活用学習術
  4. 第4章 予備校には非効率・ムダが多すぎる
  5. 第5章 やる気が長続きするアウトプット勉強法
  6. 第6章 自学自習を気持ちよく続けるための7箇条

著者プロフィール

鬼頭 政人

1981年生まれ。開成中学、開成高校を経て、現役で東京大学文科Ⅰ類(法学部)に合格。卒業後は、慶應義塾大学法科大学院に進学し、在学中に司法試験に一発合格。司法修習を経て都内法律事務所に弁護士として勤務。ベンチャー企業を支援したいとの思いから投資ファンドに勤務した後、2013年12月、資格試験対策をオンラインで提供する「資格スクエア」を創業。