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一瞬で体がポカポカになる、ふるえトレーニング ぷるトレ

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本書の解説

「冷えは万病のもと」という言葉があるが、冷えによる体温の低下によって血流が悪くなり、内臓の働きが低下し、免疫力が落ちて様々な体の不調に見舞われやすくなる、ということはよく知られている。

だからこそ、体を冷えから守るために手足の末端を温めたり、入浴を工夫したり、食事を見直してみたりといったことを実践している人は多いはずだ。もちろんすでに不調を抱えており、その改善のためにやっている人もいるだろう。

こうした取り組みは無駄ではない。しかし、冷えの予防や冷えからくる体の不調の本質的な解決法ではないとしているのが『ぷるトレ』(飛鳥新社刊)の著者、高林孝光氏だ。

人間には熱を生み出す機能が備わっている

寒さを感じた時、私たちはブルブルと体を震わせる。これは、体が寒さに対抗して体内で熱を生み出そうとする反応である。

高林氏によると、人間の体には「産熱機能」があり、体の内部で熱を作ることできるという。上述のふるえはその一例だ。しかし、この「産熱機能」が衰えてしまうと、季節問わず冷えやすく、体温が上がらないということが出てくる。

体内で熱を生み出す役割を主に担っているのは筋肉である。つまり、もしなかなか解消しない冷えに悩んでいるのなら、原因は筋肉量の低下や筋肉が使われずに固まった状態になっていることが原因として考えられる。

冷えにくい体を作るために必要なのは「筋肉」

ならば、冷えにくい体を作るためには筋肉を活発に動かすことが必要になる。
高林氏は本書の中で体の「ふるえ」を利用した、簡単に体を温められる方法を紹介している。

その一つが「忍者ぷるぷる体操」というもの。
忍者が呪文を唱えるときのように、胸の前で両手を合わせ、人差し指を立てる。そのまま両手を目いっぱいの力で押し付け合い、胸や腕の筋肉がぷるぷると震え始めたら終了となる。

忍者ぷるぷる体操のイラスト

筋肉がふるえるということは、その筋肉が使われているということ。やってみるとわかるが、終わった後は体がぽかぽかと温まっていることが感じられるはずだ。仕事中にトイレに行った際や、朝晩のちょっとした隙間時間にこのように筋肉を震わせる習慣をつけることで、体の発熱力を高めていけるという。

冷えた体を温めるのではなく、冷えにくい体を作る。
これが「冷え」への根本的な対処だろう。

本書では、体の表面だけでなく、深部にある筋肉も使うことができるという「ぷるぷる体操」のレパートリーが多く紹介されている。試してみると、これまでの冷え対策とは違った「体内からのあたたかさ」を感じることができるかもしれない。
(新刊JP編集部)

インタビュー

わざと震えて寒さを撃退!「ふるえトレーニング」とは

―― 高林さんの著書『ぷるトレ』は、冷えや冷えによる体の不調を改善するために、人間の体が本来持つ産熱機能を強化するノウハウが紹介されています。普段鍼灸院を営まれている高林さんが今回「冷え」をテーマに本を書かれた理由についてうかがえればと思います。

著者、高林孝光さん写真

高林:体温を上げると健康になるということがしきりに言われていて、それについての本もたくさん出ているのですが、ほとんどは食事などの生活習慣の改善にまつわるもので、その場で体温を上げられる方法について書かれた本は私が調べた限りではなかったんです。

意識されている方は多くないでしょうが、体温というのは自分である程度コントロールできるものです。そのことを伝えたくてこの本を書きました。

―― 自分で体温を上げる方法として、本書では意図的に体を震えさせる「ふるえトレーニング」というエクササイズが紹介されています。この体操はどのように生み出されたものなのでしょうか。

高林:私は「アスリートゴリラ」という、アスリートから趣味で楽しむ方までスポーツをされる方がよくいらっしゃる鍼灸接骨院を運営しているのですが、話を聞くとアスリートがケガをする原因はたいてい「アップ不足」なんです。

どんなスポーツでも試合前にアップはするのですが、全員が試合開始から出るわけではなくて、試合途中に急に呼ばれることがどうしてもあるわけです。野球のピッチャーでいえば肩ができるまでに「ここで行ってくれ」ということがある。

選手に話を聞いても、体が冷えたら手に息を吹きかけたり、体を擦るくらいしかしないと。ストレッチをするにしても、全身やるほどの時間はないことが多い。そういう時のために、曲げる筋肉も伸ばす筋肉も同時多発的に短時間で温められる方法があればケガを防げるんじゃないかと考案したのが「ふるえトレーニング」です。

―― 代表的なのが「忍者ぷるぷる体操」ですが、これは両手を力いっぱい押し合うなどして体の広い範囲の筋肉を同時に使い、震えを生じさせることで体の内側から熱を生じさせるというものです。この原理を教えていただけますか?

高林:たとえば、おしっこをした後に体が自然にぶるぶるっと震えることがありますよね。あれは、おしっこを出したことで体から熱が奪われたために、震えることで体が産熱しているんです。風邪をひいて寒気がした時に震えがくるのも同じです。震えっていうのは体が冷えた時に体内で熱を作るための機能なんです。

それならば、体が冷えた時は自分の意思で体を震えさせてしまえばいい。自然にくる震えは自律神経の働きによるものですが、意図的に運動神経を使って震えを作り出すのも体の産熱機能を使うという意味では同じなので。

―― 『ぷるトレ』は、お話にあったようにスポーツ選手向けに考案された体を温める方法を、慢性的な冷えによる体の不調の改善に応用しようというものです。冷えは筋肉量の少なさや運動不足で筋肉を使っていないことが原因だとされているのですが、私は普段から運動をしているのに手足の末端が冷えてしまいます。これにはどんな理由があるのでしょうか。

高林:一ついえるのは、今は生活が便利になりすぎてしまって、使う筋肉と使われていない筋肉がはっきり分かれてしまっている人が多いんです。

今、生活の中で足の指を使うことってほとんどないでしょう。そうなると足の指からふくらはぎまでつながっている「長母指屈筋」が十分に使われず短くなって、運動をしていてもこの筋肉が使われなくなってしまうんです。

筋肉は、もんだりさすったりして外から温められるものばかりではありません。この長母指屈筋も、外からアプローチできるのはアキレス腱の付近だけです。何が言いたいかというと、普段使っていない、かつ揉んでもさすっても触れない筋肉があって、そこについてはいくら外からアプローチしても温まらない。これが運動をしていても冷えに悩まされる人がいる一つの理由です。

こうした普段使われず外から刺激するのも難しいおかげで冷えたままになってしまっている筋肉はどんな人にもあります。繰り返しになりますが、これらに対してしっかり機能させて温めることができるのが「震え」なんです。

―― 他にもこうした筋肉で代表的なものはありますか?

高林:腹横筋や腸腰筋といった体幹の奥にある筋肉もそうです。昔は掃除をする時に廊下を雑巾がけしてこの筋肉を使っていたのですが、今はまず雑巾がけなんてやりませんから使われないままになってしまっている人が少なくありません。

使われずに冷えたままになっている筋肉を使うことができれば体の産熱機能は高まりますから、冷えの根本的な改善につながるというのが今回の本で伝えたかったことです。

―― 逆に、普段特に運動していないにも関わらず冷えとは無縁という人もいるのでしょうか。

高林:子どもはともかく、大人は運動をしないと年々筋肉が減っていくので、やはり冷えるでしょうね。

「寒いから震える」から「震えて体を温める」へ 冷え改善に必要な発想の転換

―― 「冷え」は女性に多い印象でしたが、近年は男性や子どもでも冷えに悩む人が増えていると聞きます。これはどんな点に原因があるのでしょうか。

著者、高林孝光さん写真

高林:これは様々な原因があると思います。先ほどのお話にもあったように、生活様式が変わったことと運動不足によって使われない筋肉が増えたことがまずありますし、常にエアコンの風に当たることで自律神経が乱れ、体を自分で温めたり冷やしたりする機能が弱っている人も増えています。

お風呂をシャワーで済ませてしまって湯船に浸かる習慣がないことも冷えの原因になりえますし、朝ごはんを抜くという食事スタイルも「冷え」についていえばあまりいいことだとはいえません。

―― 「ふるえトレーニング」はどのくらいで体が温まるのでしょうか。

高林:体がぽかぽかと温まっていることを体感できるのは30秒から1分くらいです。実際に、やった後ではじわりと汗をかき、体温が上がっているはずです。

短時間で温まるので、冷えている場所をピンポイントで震えさせることでその場で冷えに対処することができるのもメリットです。

体質を変えるという意味だと人それぞれですね。1週間で冷えにくい体に変わったという人もいれば、3ヶ月くらいかかる人もいます。

―― この体操を続けるにあたっての注意点がありましたら教えていただきたいです。

高林:高血圧の方は注意していただきたいのですが、力を入れる時に呼吸を止めないことです。

あとは、実際に体温が上がるので、「熱を出して学校や仕事をサボる」というような悪用はしないでいただきたい、ということくらいでしょうか。どちらかというと、朝寒くて仕事に行きたくないという時に体を温めて動けるように、いい方向に使っていただきたいですね。

―― 最後に、冷えに悩む方々にメッセージをお願いいたします。

高林:繰り返しになりますが、やはり「体温は自分で上げることができる」「冷えは体の産熱機能を高めることで改善できる」ということをまず伝えたいです。

体が冷えたら手に息を吹きかけたり体をさすったり、ホッカイロを貼ったりするのではなく、体の産熱機能を使って内側から温める方法をぜひ身につけていただきたいと思っています。

そのためのポイントは広い部分の筋肉を同時に震えさせること。「寒いから震える」という考えから「意図的に震えることで体を温める」に思考を切り替えることが大切です。

冷えに悩んでいる方は試してみていただければ、すぐに体が温まることを体感できるはずです。もし効果的だと思ったなら、回りの困っている方に教えてあげていただきたいですね。

「ふるえトレーニング」についてはGoogleで「忍者ぷるぷる体操」と検索していただくと情報が出てくるのでぜひ調べてみてください。
(新刊JP編集部)

書籍情報

目次

  1. はじめに
  2. 第1章 あなたの不調は「発熱力」の低下が原因だった!

    • 人は「熱」をどれだけ生み出せるかで強くもなれば弱くもなる
    • 熱は「悪者」ではなく「正義の味方」だった!
    • 日本人の8割は発熱力を低下させてしまっている!
    • 夏も冬も「冷えているのが普通」の状態になっていませんか?
    • 女性と高齢者がとくに冷えやすくなる理由
    • 「熱を生みだすはずの工場」が「冷えた工場」に変わってしまっている
    • 筋肉がちゃんと使われているかどうかを知る3つのチェックテスト
    • 「冷えを訴える子ども」「熱を生みだせない子ども」が増えている
    • 筋トレよりもずっと簡単で効率のいいトレーニング方法があった!
  3. 第2章 「ふるえ」を利用すれば、ポカポカの体に生まれ変わる!

    • おしっこをしたあとにブルブルッとふるえるのはどうして?
    • 「ふるえ」は、体を守り、健康を守る「究極の切り札」だった
    • 「ふるえ」の効果は自発的・意図的に生み出すことができる
    • 「体内電子レンジ」を利用して体をスピーディーに温めよう
    • 「さわれる筋肉」と「さわれない筋肉」
    • 腰をマッサージしても腰痛がよくならない理由
    • 「低体温筋」を「発熱筋」へと変えていこう
    • 「ふるえ」による発熱力アップがもたらす5つの効果
  4. 第3章 「ぷるトレ」で体温を上げれば病気にならない!

    • 「努力」も「根性」も「意志力」も必要のないトレーニング
    • 「ぷるぷるサイン」が現れるまで持ちこたえるのがコツ
    • 7つの「ぷるトレ」~発熱力を目覚めさせる筋肉ぷるぷるトレーニング
    • [メニュー1]忍者ぷるぷる体操
    • [メニュー2]ペットボトルぷるぷる体操
    • [メニュー3]壁ドンぷるぷる体操
    • [メニュー4]空気椅子ぷるぷる体操
    • [メニュー5]人間ヒコーキぷるぷる体操
    • [メニュー6]おひざでサンドイッチぷるぷる体操
    • [メニュー7]電車内つま先立ちぷるぷる体操
    • [さらにプラスα]忍者ぷるぷる体操<足バージョン>
  5. 第4章 毎日の生活のちょっとした工夫で「熱活」を行う10のコツ

    • 「熱活」をして生活の中でしっかり熱を生みだしていこう
    • [熱活のコツ1]肝臓マッサージで体を温める
    • [熱活のコツ2]水分の摂り過ぎに注意する
    • [熱活のコツ3]脂肪はほどよく蓄える
    • [熱活のコツ4]腸を冷やさないようにする
    • [熱活のコツ5]しょうがには頼り過ぎないほうがいい
    • [熱活のコツ6]「風邪を治すためにたくさん汗をかく」のは筋違い
    • [熱活のコツ7]「足の冷えが不調と老化を呼び寄せる」と心得る
    • [熱活のコツ8]長く座り続けない、小まめに体を動かす
    • [熱活のコツ9]入浴を工夫して効率よく体を温める
    • [熱活のコツ10]肌のぬくもりを大切にする
  6. 第5章 熱を生み出せる体になれば、寿命が延びる! 人生が変わる!

    • ヒポクラテスはすべてを知っていた
    • 「ひとつひとつの細胞の力の衰え」が病気や老化を進ませる
    • 「筋肉」と「細胞」を目覚めさせれば寿命が延びる
    • 人生の幸せは「熱」によってつくられる
    • 「熱を生み出す力」を目覚めさせて自分の人生を変えていこう
  7. おわりに

プロフィール

高林孝光 (たかばやし たかみつ)

1978年5月12日(看護の日)、東京都生まれ。アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長。
『冷えない体』をアスリートに手に入れてもらいたい。そんな想いから、体温を自分でコントロールできる方法を考案。寒い時に、勝手に体がふるえて体温を上昇させる自律神経性の発熱に注目し、運動神経を利用して筋肉を『ふるえ』から『ふるえさせる』ことによって体温をコントロールする運動神経性の発熱法『ふるえトレーニング(ぷるトレ)』を考案し、その普及に努めている。
東京都足立区の院には、世界で活躍するアスリートから冷え症に悩む人たちまでが幅広く訪れている。
主な著書に、『腱鞘炎は自分で治せる』(マキノ出版)、『五十肩はこう治す!』(自由国民社)、『自分で治す!腱鞘炎』(洋泉社)など。
ホームページ http://www.hiza2.com