本書の解説
自分の夢や目標に向けて着々と近づいていく人と、いつまでも夢は夢のままという人。
両者の違いは才能だけではなく、目標に対する取り組みを続けられる継続性があるかどうかも重要な要素となる。だが、物事がなかなか長続きしないという人は多い。
本書は、夢や目標、願望、欲望はあるものの実現していない人に助け船を出す一冊。どんなに物事が続かない人や忙しい人でも、毎朝1分早く起きることならできるはずだ。その1分から人生を変えていこうと訴える。
「なりたくない自分」を思い描こう
「1分早く起きて、何をすればいいのか」を考える前にやるべきことは、今一度自分の将来像を明確にすることだ。
本書の著者、後藤勇人氏は、まず「なりたくない自分像」を想像することを提唱している。
「お金に困っている自分」
「毎日の楽しみが見つけられない自分」
「キャリアアップができていない自分」
「孤独な自分」
など、それぞれに「これだけは避けたい」という自分像があるはず。それを書き出してみることが第一歩となる。
これができたら、次は「なりたい自分」である。「なりたくない自分」を想像した後であれば、「なりたい自分」は思い浮かびやすくなる。こちらも書き出してみよう。
このステップにルールは特にない。「なりたい自分像」は「収入を上げたい」のように抽象的なものでも、「30万部売れる本を出したい」というような具体的なものでもいい。ただし、大事なのは自分の可能性を限定しないこと。今の自分の力量は考慮せずに、やりたいことやなりたい自分を素直に書き出すことがポイントだという。
朝の1分で生活サイクルが蘇る
朝の1分を使って行うべきは、こうして把握した自分のなりたい像を実現するための取り組みだ。
1分で何が変わるのかという疑問は置いておいて、まずはこの習慣が根付くまで1週間ほど続けてみること。自分が本心から実現したいと思っている自分像を描けたのなら、「1分」は3分、5分と延びていき、やることの数も3種類、5種類と増えていくはず。1分は夢に向かって歩き出すきっかけにすぎない。
また、朝の時間を効率的に使うことで、その後の1日がいいサイクルで回るという効果もあるという。朝の1分の習慣づけは、自分の生活自体を夢の実現に向けた方向に舵を切るための試みでもあるのだ。
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本書では、朝の時間を使った取り組みの実例や、自身もこの習慣によって人生が好転したという後藤氏の体験談なども明かされている。
いつの間にか惰性的に、流されるままの毎日を送ってしまっているのなら、もう一度自分の目標を捉え直すきっかけとして、本書を活用してみてはどうだろう。
(新刊JP編集部)
インタビュー
夜型の生活はトラブルを引き寄せる?ある経営者の体験
――本の中で書かれていましたが、朝の時間を有効に使うと一日いいリズムで過ごせるというのは同感です。ただ「1分の早起き」がどれほどの違いを生むのかという疑問もあります。
後藤:「1分」というのはきっかけです。これまで何もやってこなかった人にいきなり10分や30分早起きして自分の夢のための行動を起こそうといっても最初から挫折してしまいます。
でも、いつもより1分だけ早く起きるということならできるはずです。1分で何ができるのかという点ですが、夢を書き出したものを眺めたり読み上げたりする「アファーメーション」は1分あればできますし、その日がいい日になるようにイメージを作ってもいい。
何かを始める「はじめの一歩」と捉えてもらえるといいと思います。それが定着すれば今度は1分では物足りなくなるなので。
――「もっとやりたいな」と思ったら時間を増やしていけばいい。
後藤:そうですね。3分5分と時間を増やしてもいいですし、やることの種類を増やすのもアリです。
――朝の取り組みを提唱されている後藤さんですが、元々は夜型だったと聞きました。
後藤:もう超夜型です。朝は苦手で、起きられない人間でした。元々ショットバーを経営していたんですよ。オーナーだといっても店に顔を出さないわけにもいかないじゃないですか。だから週に何回かはお店に出ますし、家にいてもお客さんに呼び出されることがある。そうすると寝るのは午前3時とか4時ですからね。
バーに加えてヘアサロンや日焼けサロンも経営していたので朝は朝でオフィスに行かないといけませんでした。そうすると睡眠時間は3時間くらいですからね。やはり昼間の時間のクオリティが落ちるんです。
――その生活はきついですね。
後藤:何か指示をするにしても精度が落ちますし、不思議と夜型は色々なトラブルを引き寄せていました。店長が店のお金を持ち逃げしてしまったり、スタッフがメール一本で突然辞めてしまったりといったマネジメント上のトラブルが多かったですね。やはり昼間目が行き届きにくくなっていたんだと思います。
やっぱり3時4時に寝て朝起きて会社に行ってもまともな仕事はできないですよ(笑)。社員は社長をちゃんと見ていますから、眠そうな顔ばかりしているとやっぱりだらけます。
――それが生活を朝型に変えるきっかけになった。
後藤:そうですね。トラブルが続出したので「これはまずい」となって対策を考えるために色々なマネジメントの本を読んだら、どうも成功者は朝型の人が多いようでした。朝の3時4時に帰ってきて昼間の仕事もうまくやろうなんて甘いんじゃないかと思いましたね。
もともとバーの方は趣味で買い取ったようなものでした。そっちにかまけて本体のヘアサロンや日焼けサロンの事業を揺るがすのはもってのほかですから、なんとか体勢を立て直そうと考えた時に、自分も生活を朝型に変えるべきじゃないか、となったんです。
夢実現は「朝の1分」から 継続と成功へのアドバイス
――生活を夜型から朝型に変えた後藤さんですが、その後どのような変化があったのでしょうか。
後藤:単純にバーには顔を出さなくなりましたから、寝る時間が早くなって睡眠時間が確保できました。そして朝早めに起きてクリエイティブな仕事をするようにしたら、ビジネスがうまく回り始めました。売上も伸びていきましたし、人的なトラブルも減っていきましたね。
――朝型の生活に変えた時、起きてから仕事に行くまでの時間をどう使っていたのでしょうか。
後藤:僕も「1分」から始めました。最初は自分の目標を紙に書いてアファーメーションするところからですね。はじめはただそれだけです。
それが定着すると、今度は瞑想をしたり筋トレをしたり、ちょっと読書をしたり、数分で済む小さな取り組みが増えていった感じです。なにぶん夜型の時間が長かったのではじめはうまくいかなかったのですが、徐々に慣れて起きる時間がどんどん早くなっていきました。
――夜型から朝型になると人付き合いが変わりそうです。
後藤:飲みに行くことは減りました。今もゴルフに行ったりすると飲みに誘われますけど断っています。最近はもう誘ってこないですね。
だからといって人間関係が悪くなったということもないです。それにセミナーの後の懇親会などは行っていますから、飲み会に一切行かないというわけでもないですしね。
――朝の1分で何をすればいいのかわからないという人にアドバイスをお願いしたいです。
後藤:最初は起きるのが辛いはずです。だから、まずは目を覚まして1分間、横になったままでいいので瞑想したり、その日やることをイメージしたり、何か考える習慣をつけるといいと思います。
――現在の後藤さんの朝の過ごし方を教えていただきたいです。
後藤:僕は最近は2時半くらいには目を覚ましてしまうのですのですが、とりあえず3時までは起き出すのを我慢して、布団の中でアファーメーションをしています。
起きたらまずパソコンを開いてメールを見たりSNSをチェックしてから、頭が冴えてきたらブログやメルマガを書いていますね。やはり朝の方が何か書いたりクリエイティブな仕事がはかどりますし、インスピレーションが降りてくることも多いです。
――これから生活を朝型にしたい人に向けて、朝の1分を継続する秘訣を授けていただきたいです。
後藤:「三日坊主OK」です。人間は、たとえどんなに好きなことであっても義務化すると苦痛になってしまいます。まして、それまでやってこなかったことであればなおさらです。だから、眠かったら寝てもいい。最初は週に2日しか早く起きられないかもしれません。でもそれで落ち込むことはありません。自分の体調とモチベーションが合う日にちょっと早く起きて、未来のための取り組みをする。それができる日を少しずつ増やしていってください。
――今回の本をどんな人に読んでほしいとお考えですか?
後藤:夢を本気で叶えたい人。あとは朝型の生活に切り替えたいと思っていながら挫折したことがある人。そして人生を自分でコントロールしたい人に読んでほしいと思います。
――最後にそういった方々にメッセージをお願いします。
後藤:人生は環境で決まるものではなく、自分次第です。人生で起きる現実は、自分の頭の中で生まれます。未来は自分でいかようにもコントロールできる。だからこそ、その仕込みを朝の時間でやりましょう、というのがこの本で伝えたいことです。
人生は100年の映画みたいなものです。監督も主演も脚本も自分なのですから、自分でゴールを決めていい。「夢」という言い方が馴染まないようなら自分の「欲望」を探しましょう。そして、その欲望を叶えるためにアファーメーションをして、必要な情報を入手して、行動すれば、必ずそこに辿り着くということを言いたいですね。
(新刊JP編集部)