NYの有名図書館で「一番借りられている本」トップ10にあの作品が
■トップ3にはあの名著が
ここまでを見ても、さすが世界有数の大規模図書館という貸出回数だが、トップ3はもっとすごい。
3位の『1984』(原題:1984/1949年、ジョージ・オーウェル著)は、刊行から70年余りが経った今も、大きな社会変化(多くは悪い変化)が起きるとみなこぞって名前を出す。「全体主義」に「歴史の改ざん」と、今後起こりうるくらい未来を予見した小説として今も読み継がれている。貸出回数は44万1770回。
唯一、日本語版が出ていないのが2位の『The Cat in the Hat』(1957、ドクター・スース著)で、貸出回数は46万9650回。『ハットしてキャット』という名前で2003年に実写映画化されているが、日本では上映されず。
そして、栄えあるNYPLの歴代貸出回数第1位は『ゆきのひ』(原題:The Snowy Day/1962年、エズラ・ジャック・キーツ著)で、実に48万5583回も貸し出されている。
雪が降った日の黒人少年のよろこびを鮮やかなイラストとともに描いたこの作品は、刊行から半世紀以上を経た今でも、もっともよく貸し出されている本の一つとなっている。
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ラインナップを見ると、絵本や児童文学の歴史を超えた根強い人気が印象づけられる。自分が子どもの頃に読んだ本の記憶が、自分の息子や娘、そして孫たちにも受け継がれていくと考えると感慨深いものがある。
人類の叡智の集積と伝播に大きな役割を果たしてきた図書館。「最近行っていないな」という人は、休日や仕事帰りにふらりと立ち寄ってみると、子どもの時とはまたちがった発見があるかもしれない。
(山田洋介/新刊JP編集部)
参考ページ:Top 10 Checkouts of All Time(The New York Public Library)
https://125.nypl.org/125/topcheckouts