新刊JPトップ> 特集 > 新刊JP FEATURING 立花胡桃『ユダ上・下』

「伝説のキャバ嬢」と呼ばれた女性がいる。彼女の名は立花胡桃。栄華を極めたはずの彼女が昨年、業界からキッパリ足を洗い、上・下巻にわたる大作を上梓した。自身のキャバ嬢人生を振り返り、過去を包み隠さず綴ったリアル・ストーリーである。

 今や、若い女性の人気職業ランキングの上位に躍り出た「キャバ嬢」。かつてキャバ嬢といえば、そのファンは圧倒的に男性であった。しかし、もはや男女問わず、というよりもむしろ女性主導で「憧れの対象」の位置を確立している。
 来る日も来る日もメディアを賑わせ、タレントなみの扱いを受ける「人気キャバ嬢」たち。彼女たちの支持層は「きれい、かわいい」と称賛し、「私もキャバ嬢になりたい」と堂々と口にする。まるで「水商売」という言葉の響きが持っていた「ある種の後ろめたさ」は消滅してしまい、今や輝きを増しているかのようである。

 しかし、“光”の陰には必ず“闇”が存在する。

「夢を売る仕事」である「キャバ嬢」たちは、今まで決してその“闇”の部分を見せることはなかった。そのタブーを破り、自らを「ユダ」(裏切り者)と称してまで、彼女を執筆に駆り立てたものとは一体何だったのか?

 客に何千万円も貢がせる心理戦、極太客のつかまえ方、買い物依存、妊娠・中絶、ドラッグ、過食嘔吐、整形、生々しい色恋・枕営業……本書で綴られる赤裸々な物語。著者が闇を破り去ったことで、人間の真の姿を見せつけられた気がした。
 キャバ嬢たちが覆い隠してきた闇とは、すなわち「人間の抱える闇」と同一なのだ。
 主人公「胡桃」は18歳からの8年間を、闇の中を走り抜けるように過ごした。そんな彼女の足跡が本書に結実している。著者の果敢な行動に教えられること、気付かされることが必ずあるはずだ。

このページのトップへ