「売上を増やすことができない」という企業の多くに共通点は、従来の営業スタイルや既存先へ依存した営業戦略が機能しなくなってきていることです。
特に長引く不況から日本型経営システムが崩壊し、これまで贔屓にしていた取引先もそう簡単には金を出してくれなくなりました。しかし、同じことしかできないのが私たちだったりします。そうであれば、新しい顧客を増やすための新規開拓営業を積極的に行い、新しい方向からの受注数を増やすことが大切です。
本書は、経営コンサルタントの冨田賢さんが世の経営者や営業マンたちに喝を与え、“10回中8回は成約できる”メソッドを伝授する一冊です。
営業をガンガン行って売上を増やせる人は、どんな会社も喉から手が出るほど欲しい人材であり、フリーランスで活動するにしても営業能力は必要不可欠です。つまり、どんな立場にあっても身に付けているべき重要な能力といえるのです。
ここでは本書から、新規開拓営業が上手くいくためのコツを3つ紹介します。
■ 初めての面談でもすぐに契約書の文案を出す
営業で成績をあげるために絶対に必要なのが、契約書を取り交わすこと。何を当たり前のことを言っているんだと思っている方もいると思いますが、早いタイミングで契約書を確実に取り交わせるかがポイントです。何度も面談した上で「では契約書の話を…」という話になったとき「やっぱり…」と言われては、どうしようもありません。
まずは、自分と相手の共通のゴール=「契約締結」ということをしっかりと共有するために初回の面談で契約書の文案をすぐに出すのです。こうすることで、お互いに無駄な時間や面談、メールのやりとりを減らし効率を高めることができると冨田さんはいいます。相手との共通のゴールを確認するために、躊躇せずに思い切ってやってみることが大事です。
■ 世界が広がる“交流会”の魅力
新規開拓営業のために大切なのが人脈作り。そのため、本書では交流会に参加し、たくさんの人と交流することを勧めています。
「交流会なんて訪問先のないダメ営業マンが行くところ」と斜めに見ている人もいるかも知れません。しかし、「人と会うのがビジネスの基本」ということを忘れてはいませんか。まずは人に会ってひたすら名刺交換をすること。それがビジネスの基本だと冨田さんは言います。その中で、自分を売り込み、商談につなげていきます。もちろんここで要求されるのがスピード。終わってからアポ設定のことを考えるのは遅いくらいで、交流会の場で相手を仕分けし、その場でアポ設定をしてしまうくらいがちょうど良いのです。
■ ソーシャルメディアは自分の信頼を高める
企業によっては社内でインターネットの利用を制限したり、情報漏えいのリスクからソーシャルメディアを使わないように呼びかけたりするところもありますが、営業にとってソーシャルメディアを活用しない手はありません。
ソーシャルメディアは、情報発信のツールとして、リアルでの相対の営業やWebメディア、紙媒体の営業資料を補完してくれます。自分の情報を発信することで、怪しさを払拭して信頼感を高めるのです。情報の量が多ければ多いほど、怪しさは減っていきます。また、ほとんどが無料で使えるというのも利点。自分のブランディング作りなどでも大切なツールなので、ソーシャルメディアは活用すべきでしょう。
冨田さんは「足しげく通う営業はもう古い!」と断言します。
この不況下、多くの会社が業績を落としている中で、危機から会社を救えるのは営業です。いくら物やサービスを作っても売ることができなければ意味はありません。また、売上が伸びることで、設備投資や新たな人の採用もできますし、社員にとっては昇給につながる可能性もあります。
本書には、新規開拓営業のノウハウが詰め込まれています。どんな時代、どんな立場であっても、営業の能力は重要です。これから就職を控えている学生からフリーランス、経営者まで、ビジネスに関わる全ての人は、本書のスキルを身につけておくべきではないでしょうか。
(新刊JP編集部)
第1章 あなたの営業スタイルは謙虚すぎませんか?
~営業スタイルを変化させる!~
1 これからの時代の営業では、「謙遜は美徳だ」という考えを捨てる!
2 あなたは、契約書案をすぐに出していますか?
3 営業では空気を読み過ぎるな、あえてKYになれ
4 「恥も失敗もかき捨て」と考える!
5 営業に引け目を感じない!卑下は不要!
6 営業で売上を伸ばせば、会社の問題の8割は解決する!
7 獲物を仕留める「ハンターの心得」を持て!
第2章 営業力をアップする前向きなメンタル・コントロール
~メンタル管理がすべてだ!~
1 営業はメンタル面のコントロールが非常に大事!
2 前向きな方向性を大切にする!
3 割り切りをよくして、切り替えを速くする3つのフレーズ
第3章 人と会うことが営業の基本!
~なるほど!目からウロコの交流会の徹底活用術~
1 とにかく人と会うことが、ビジネスの基本!
2 交流会をバカにしていませんか?
3 東京なら毎日行ける異業種交流会
4 交流会では遠慮せず、どんどん自分のことを話せ!
5 交流会は仕分けの場で、その場でアポ設定をしてしまう!
6 名刺の管理や御礼メールにも工夫が必要
7 なるほど!目からウロコの「交流会の徹底活用術」
8 ビジネスマッチングの感覚で、無駄な名刺を減らせ!
9 「ディール・フロー」(案件の流れ)の構築の大切さ
10 イヤな人とも会う覚悟を持つ!
第4章 法人営業でのシュートの決め方はこれだ!
~シュートを決める営業メソッド~
1 シュート力(刈り取る力)を高める!
2 稟議書の文章を提供しろ!社外稟議担当者になれ!
3 シュートを決めるためにしてはいけないNGアクション、NGワード
4 相手の担当者が褒められるようにしろ!
5 大義名分を与えろ!景気に合わせた提案を!
6 リスクのアロケーション(分担)をしてあげよう!
7 「挟み撃ち戦法」、案外使えるぞ!
8 相手のランクに合わせて、メリットのある情報を!
~早くやって相手の期待値を下げる!~
1 相手の期待を上回る。ただし、ちょっとだけで良い
2 先制カウンター・パンチ!言いにくいことは先に言え!
3 気が重い電話やメールほど早く処理してしまう!
4 ダメと思っても、もう一回だけ頑張ってみる!
5 ファイル名の付け方やメールの作法でも気を配れ!
6 契約書文案はできるだけシンプルに!
7 契約書の文案の説明はメールではなく面談で!
8 相手との複雑な関係性や実力者との関係を知らせるようにする!
9 一つひとつの交渉の大切さを肝に銘じる!
第6章 自社の強みと自分の強みを活かして、営業効率を上げよう!
~会社と個人の強みの見つけ方~
1 どんな会社でも誰でも強みはある!
2 強みで戦うことの大切さ~勝てるところで、勝ちに行く~
3 強みの見つけ方【会社編】9のポイント~自社の強みを見つけ出そう~
4 個人の強みで勝負することも大切!
5 強みの見つけ方【個人編】6のポイント~自分の強みを見つけ出そう~
第7章 自分のアピールの仕方を徹底的に考える!
~エレベータ・ピッチで、自分をアピール!~
1 自己アピールを徹底して考える!文字数ごとにパターンを作れ!
2 紙媒体をおろそかにするな!
3 「デザイン・クオリティ」と刺さるキャッチが重要!
4 ソーシャルメディアを活用していく!
5 情報発信の大切さ
6 ウェブやソーシャルメディアの活用~それぞれの長所・短所~
7 今から始めるならフェイスブックだけでも
8 時間が経ったら、デザインやタイトルをリニューアルしよう!
9 ソーシャルメディア活用のポイントは時間をかけ過ぎないこと!
第8章 営業が進む人間力を身につける!
~人との距離を縮めるスピードを上げる~
1 相手との距離を縮める人間性が大切!
2 多趣味人間が最高の武器!
3 「福顔化」と「シャキット化」勢いのあるオーラを出せ
4 服装は、個性を出し過ぎるより、万人受けすることを意識!
5 休むことも仕事の一つと思え
6 躁鬱のコントロールに気を配ろう!
7 レベルの高い人と会えないのは、自分のレベルが低いからと思え!
8 素直さがやっぱり大事!
おわりに ~ヘジテイト(躊躇)せず、一歩を踏み出そう!~
石川県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部(SFC)卒業。京都大学大学院経済学研究科修士課程、修了。経済学修士。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマン・アンド・カンパニー、独立系ベンチャーキャピタル、大阪市立大学大学院・専任講師、住友信託銀行等を経て、株式会社ティーシーコンサルティング代表取締役社長に就任。約3年で、100社以上のコンサルティング契約を受託し実施。営業先や提携先の紹介による売上アップや新規事業立ち上げを得意とする。中小・ベンチャー企業と大企業を”コネクト”することに注力!「冨田賢のシュートを決める営業メソッド」が好評を博している。経営セミナーや交流会を主催。訳書『ベンチャーキャピタル・サイクル』、日本金融学会会員。