希望・勇気・愛情
ネットワークで仕事をすること
高い給与水準
人は仕事を通じて学ぶ
プレイングマネジャー
まず周囲に自らを語ること
数字に強いこと
努力の継続
脅威と思われる事態の中に隠された発展の機会がある
リクルートは社会とともにある
【一】. 当然だが一人では大きな事業はなし得ない。気力と体力のある若い人材を集め、目標を共有して事業を推進すること。
【二】. 人がついてくることが大切だが、そのためにはまず自らを磨くこと。
必ずしもカリスマ的な魅力がなくても、人がついてくるやり方を身につけることはできる。
重要な事はメンバーの誰よりも優れた仕事を熱心にしていて、それを継続していることである。
【三】.
”企業は人なり”と言う。
優れた経営者の条件は、構成メンバーの人物をよく知り、誰にどの仕事をどのレベルまで要求するかである。
自分と同じことをするようにメンバーに求める人がいる。考え方を同じにすることはできるが、
起業家と同じことはできない。できる人がいればその人は新たな起業家になる。
【四】. 日本で初めての事業、創業者利益が得られる事業がいい。
人の成功を真似した成功も不可能ではないが、とても難しいことである。
【五】. 変貌している産業社会の新しい要請に応える事業家かどうかを自ら問いかけ、 周囲の人にも聞くことから始めること。 社会の要請に応えていない事業では、一時的に成功することはできても続かない。
【六】. 多くの資本を要さない仕事から出発すること。 多くの資本を要する事業は大企業が担当する新規事業である。
【七】. 人に平等に与えられたものは時間である。時間の有効な使い方を知らないと大きな成功は難しい。 仕事は受付順にするのではなく大事なことを優先することが重要である。
【八】. 失敗を恐れぬ勇気をもつこと。人は起業すれば途中で必ずといっていいほど失敗する。 しかし、ピンチはチャンスでもある。ピンチにどう対応するかが成功するか否かの鍵である。 部下の失敗にも寛容でなければならない。部下の失敗からも学ぶことが多いことを知っておくべきである。
【九】. 若くかつ就職しないで起業すること。人はその人がその時までに経験した延長線で物事を考えがちである。 サラリーマンから見る経営者とその実像には大きなギャップがある。 また、年をとってからではやり直しは難しいが、若ければやり直しがきく。 ビジネスの経験がない白紙の方がいい。無知からくる無謀が人にできないことを成し遂げさせる。 また企業には体力と気力が漲っていることが重要である。その面でも若い方がいい。
【十】. 大学の成績や学歴は関係がない。ただし、その人の知識とスキルは成否の重要な鍵である。 それを学び身につけることは必須条件である。 数多くの本を読むこと、事業計画を書き、それを人に見せて人の意見や助言を聞くこと。 書く事で自分の計画を確認できる。
【十一】. 経営哲学を社員と共有すること。 そのためには自らの経営理念を周囲に熱く語り、社員と議論を重ねなければ理念の共有は難しい。理念なき経営者のもとでは社員心が一つにならない。
【十二】. コミュニケーション能力を高めること。昨今はメールやインターネットが普及した。 経営者には受け手に理解される文章でメッセージを送る能力が求められる。 メールは何度も書き直しができる。書く事で自分の考えを確認できる。 コミュニケーション能力は学習によって高められるものである。
【十三】. 優れた経営者は話し上手であり、かつ聞き上手である。一方的に話す人を時々見かける。社員に話すときは、社員が何を聞きたがっているかを知った上で、分かりやすく話さなければ、正確に伝わらない。
【十四】. 起業家に求められるのは倫理観である。倫理観のない起業家は、いずれ破綻する可能性がある。
【十五】. ”健全なる精神は健全なる肉体に宿る”という。起業家は、常に健康に留意する。例えば暴飲暴食をしないとかタバコは吸わないなど、健康をセルフコントロールしなければならない。
【十六】. 経済と政治は密接に関係している。起業家が政治に関心を持つことは必要だが、私の経験から言えることは、政治家と一定の距離を保っておくことも重要なことである。
【十七】. 起業家として成功した人で、例えばの話だが自らの事業と関係のない趣味でゴルフやレストランを経営したりする人がいる。今の仕事が将来に向けて有望な事業であれば、その仕事をコアビジネスとして一つの事業でシェアを拡大し、他の追随を許さないよう専心しなければならない。
【十八】.一つものを二にも三にも拡大して活用できる経営資源は人的資源である。 起業家は人の能力を精一杯引き出す力を持たなければならない。
【十九】.起業家は自分の考えは正しいから必ず成功するというところから出発するが、 それが正しいかどうかを決めるのは顧客である。 顧客と常に接して顧客の声を常に聞いていなければ、一時的には成功するが長続きしない。
【二十】.若くなくても起業して小さな成功を収めた人は私の周囲にいくらでもいる。 私の秘書をしていたT君と、リクルートの役員だったS君は長年の夢だった手打ちそば屋で成功している。 また料理好きで割烹店をオープンし成功している人、私の中高の同級生でピアノバーを10年続けている人もいる。 定年後自宅で碁会所を開業している。このような起業家も社会は必要としている。
営業マンが留意すべき3つのポイント
1,時間を有効に使う
2,機会を生かす
3,「目標設定」
1.時系列、仕事別の計画をあらかじめ立てておくこと
2.毎日の時間をどのように使ったかについて分析する(予定よりも分析がさきでなければならぬ)
3.きょうできることを明日に延ばすな。「明日また」というのが時間を食う最大のガン(他社、他部門の人が時間をそれだけ有効に使える)
4.機械化をはかれ(電気カミソリ、電動鉛筆削りなど)
5.ムダ足をなくせ(原稿を受け取りの際に、写真はまた明日…ということのないように― 一回処理主義)
6.地理を研究しろ。距離でなく時間で考えろ
7.時間を金で買える唯一のケース―交通費アップ=移動の時間短縮、交通費をケチるな
8.トラブルを先に片づけよ
トラブルを解決するために必要な時間は、あとになればなるほど大きくなる。その間の心理負担も大きい
9.1回の訪問を多重的に使え(原稿を受け取りにいったついでに別の商品の営業活動をしてくる)
10.時間を多重的に使え(電車の中でモノを読む、歩きながら考える)
11.訪問の際は、必ずまえもってアポイントメントをとれ、訪問の要件も伝えておけ(不意に訪問するのは、留守をねらって上役に会うことを試みる場合のみ)
12.面談に入る前に要件を整理しておけ。会社から出発する際にカバンの中味をあらためておけ
13.人の時間つぶしのために割を食うな(世の中には「なるべく一つの仕事に多くの時間をかけたい」と考えている人種もいる、そういう人種にふりまわされるな)
14.次のことを知るべきだ
イ)「R.B.」 1グループ5社より、5グループ1社の方が現実的利益が大きい
ロ)今月の集金の方が来月の集金よりありがたい
ハ)明日の受注より今日の受注の方がありがたい
ニ)最終〆切日の受注はもっとも利益の少ない受注
ホ)最も仕事の少ない時期の受注は最も利益の多い受注
15.仕事には常に優先順位をつけておけ
16.会議は朝か夜に、会議の時間を有効に
(思いつきの話し合いといったような会議ほど生産性の低い時間はない。あらかじめテーマを決め、資料を用意しろ)
17.ムダな仕事、ムダな時間を積極的に削れ(さしあたっての仕事がなければ本でも読んでいる方がよい)
18.ムダな荷物をすてろ、片づけろ、整理、整頓(モノや情報を探すための時間は意外に長いものだ)
19.朝の1時間を有効に使え(先様は必ず在社だ、そして比較的暇な時間だ)
20.人を待つな、待たせるな
1.探客法をマスターすること、ホットユーザーを探す方法を身につけろ
どこの会社に力を入れてあたるか、そこで何を売るかが重要。業界についての十分な知識、会社訪問の際の予備知識、商品についての十分な知識、これらを組み合わせて、将来を見通す力、山崎パンの500名の採用よりCACの50名の採用の方が商売になることを知らねばならぬ。
2.はじめに経営者に会うべし
ダイエーの中内社長に「私は、人の話をもってくるか、金の話をもってくるか、品物の話をもってくる人には会うことにしています。リクルートさん、いつでも私が会いますからいい話をもってきて下さい」といわれたことがある。
人、金、物は経営の三大要素だ。「事業は人なり」という言葉もある。優秀な人材を確保することは、経営者にとって最も重要なことの一つである。そのお手伝いをしようというのだ、われわれがはじめに経営者にあって悪いはずはない。業種にもよるが一般的にいって製造業であれば従業員500名、サービス業であれば従業員300名程度までの会社なら社長が人事権限をもっているのが普通だ。したがってこの程度以下の会社では一度社長に会っておいた方がよい。500~3,000名の会社なら専務、常務、部長、3,000名以上の会社なら課長が適当と思う。
経営者に会う利点は――
A) 結論が早く出る
B) 断られたとしても、その理由が明確につかめる(商品、サービス改良のヒントがえられる)
C) 自分の勉強になる(いろいろ教えてもらえる)
D) 取引の可能性が大きい(質と量の面で)
3.二回目の訪問をおえて会社を出たときに「状況が一回目からまったく進展していない」と感じたら、三回目からは別の方法をとれ。
セールスに関する本には、「電通の光永星郎がタバコ王といわれた岩谷天狗に広告の売り込みにいって、百三十何べん通ってやっと注文をもらった」とか「リコーの市村清社長が保険のセールスマンをしていた時代にある家に99回通っても家の中に入れてもらえなかった、100回目に名刺のはしに“100回目です”と書いて出したら、やっと応接間へ通してくれて、その場で保険に加入してくれた」というような伝説が紹介され、勇気を失わずに何回も足を運ぶべしと書いてある。しかし、これらは、人的資源が豊かでありすぎた時代の話だ、現代には通用しない。何十回も通って取ってきた仕事ほど貴重なものはない。それはよほど大きな価値の認められるものでなければならない。
反復的試行において成功する確率は、試行を重ねるたびに実際は小さくなるのである。時間と勇気は貴重な資本なのだ、大切に使え。
4.自分の強みを生かせ、弱みをカバーしようとするな早起きが苦にならない者は朝がけをやれ、手紙を書くのが好きな者は、手紙を書け、スーパーに強ければスーパー中心に仕事しろ、テストに強ければテストで勝負しろ、強みを仕事に生かすことを考えよ。
5.マナーをマスターすべしマナーを知らないために機会を失うことが多いことを知らねばならない。きわめて重要な思いつくままに注意すべきポイントをあげてみると
A) 服装に気をつけること。(白カッター、背広上下揃い、黒短靴、短髪等々)
B) 注文をもらったら礼状をかくこと
C) もてなしをうけたら礼状をかくこと
D) 約束の時間に遅れるときは、必ず連絡すること
E) 使いを出すときは、あらかじめ電話を入れておくこと
F) 新しい見込み客を紹介してもらったら、その後の状況の報告と礼状を忘れないこと
G) 名刺を出すときは、声を出して「○○と申します」と自分の名前を読みあげること
6.面談のコツは、「相手がなにを求めているかを知ること」と「相手の利益に視点をおくこと」である
7.顧客に次の顧客の紹介を受けろ
現在の顧客からの紹介によって信用をそのまま引きつぐことができる。
信用獲得のためのエネルギーが少なくてすむ。
8.上役や他部のメンバーの強みを生かせ
モノの本によれば「組織の中の人間は、上司にどのように対処するかについて疑問を抱いている人が多い」ということだ。「上司」を「他部門の人」に置き換えても同様のことがいえるだろう。ここで機会を逃している人が多いように思う。もっと上司の強みを自分の仕事に生かすことを心がけるべきだ。上司と部下との能力の差は総合的にみればワズカノコトだ。しかもお互にきわめて個性的なのだ。上司の強みを自分の仕事に生かさない手はない。必要だと思ったときは遠慮せずに上司の助けをかりろ、その代り上司の弱みを自分の強みでカバーしてやればよい。他部門のメンバーに対しても同様のことがいえる(人が会社という組織を作る最も基本的な目的は、各人が自分の強みを提供して、より大きな力にして個人では追求できないより大きな利益を追求しようということなのだ)
肩書を利用する、役割を使いわける等、上司や他部門の社員の利用方法は他にもいろいろある。
9.最後のツメに全力を傾注すべし
最後の5分間をトップコンディションにもっていかねばならない。イヨイヨハラヲキメルという段階で注文の量は2倍にも1/2にもなる。
ナポレオン曰く「戦いの勝利は最後の5分間にあり」
10.営業活動にはリズムとタイミングが重要
リクルートの営業マンはムード作りには強いが、タイミングの捉え方が下手のようだ。いわゆる「ツメが甘い」ということを聞くことがある。一般論だがどうも検討のための期間を長くとりすぎているように思う。あまり期間をおくと印象がうすれるし、説明は最初からやり直しになる。1回目で強烈な印象を与えることができたら、その場で発注するように持っていくこと、さらにその場で原稿の打合わせをし、2回目の訪問で原稿を受けとるようにしたい。
「鉄は熱いうちに打て」
「巧遅より拙速」重んずべし。
11.客に忘れられるな、常になにかを送れ
見込み客リストのうちから、いつもリクルートのことを知ってくれている採用責任者のいる会社を100社もったら、向う1年以内にそのうちの10社以上から注文が電話でとびこんでくるはずだ。
12.先手をとれ、自分のペースでやれ
機先を制することはきわめて重要。
「仕事とは先手先手と働きかけていくことで受身でやるものではない。周囲をひきずりまわせ、引きずるのと引きずられるのとでは長い間には天地の開きができる」電通鬼十則
13.初めて注文をとったとき、担当者と上司に挨拶しておくこと “初めての発注を受けたとき”はその見込み客が顧客となる瞬間である。歴史的な意味がある。当社対見込み客と当社対顧客の関係は全く違う(ダ社を今年おそれる理由の一つはダ社対就職ガイド参画会社にもこの法則があてはまるからである)というわけで、はじめての仕事をもらったときは、必ず挨拶するように、(大口の仕事をもらったときも同様)上司にあえる絶好の機会だ。
14.遅刻をするな
「出社8時30分」というタイトルの本が最近ベストセラーになった。社長のサラリーマン時代のことを紹介したものだ。現代の大企業の社長はそのサラリーマン時代に30分早く出社していたという話だ。「早起きは三文の得」という言葉もある。朝の10分は午後の30分よりねうちがある。
15.健康管理に気を配れ
休んだときに機会を失う原因が発生していることが少なくないことを知らねばならない。会議を休んだために情報が不足した、かわりに仕事を代行したものがいて、その者との連絡がうまくいかなかった。etc
16.イマジネーションを豊かにするための努力をしろ
日常も大切、A芸術に親しむ B社外に友人を持つ C子供と遊ぶ Dマンガを読む Eいろいろなことを空想してみる
17.わが社とわが社のサービスについて充分の情報を持て
「そういうこともわが社でできるのですか?」といって営業マンに驚かれて、こちらが驚いたことがある。これでは営業活動はできない。また「できないことを引き受けてくる」のはもっと悪い。社内で教育を受けていない、オリエンテーションを充分に受けていないと感じたら、すぐに相手に問いかけること。
コミュニケーションのパイプは常に太くしておかねばならない。それが細くなったとすれば相互の責任である。ただちに解決すべし。
18.種まきの仕事と収穫の仕事とのバランスを考えないといけない
「号外は二度目に行った方が売れる―ベテランの号外売りは競争会社の号外売りのあとから走ったそうだ―」このように競争会社が存在することを考えると、啓蒙の仕事にあまり力を入れすぎるのは考えものだ。
19.用談の際は電話でアポイントメントをとれ
初アタックでエライ人に会おうと思ったら、直接予約なしの訪問をしたのではまずムリ、いずれの場合にも相手の時間を予約することは必要。
20.はじめに大きな話をしろ。先方の既成概念を破れ
先方が「昨年は50万円で社内案内を作った」といったら、「今年はひとつ300万円かけましょう」というように。結果的に、もとの50万円に決まってもその方が良い成果がえられる。
1.目標は大きく
「志を立つるには高きを欲す。小にして低きを欲せず。小にして低ければすなわち小成に安んじ、大にして高ければすなわち大成す」荻生徂来
「人はその掲げる目標までしかのびない」P.ドラッカー
2.危険のきわめて高い目標を立ててはいけない
“運”に期待しなければならないほどの目標は正しい目標ではない。逆に100%実現できると考えられる目標を立てることも正しくない。100%実現可能なものは目標ではない。目標とは適当の危険の伴なうものでなければならない。いいかえれば「目標達成したときに大きな満足感の得られるもの」でなければならない。
3.目標は達成の程度が測定できるようなものでなければならない
「一生懸命やる」とか「でっかい仕事をやる」というようなのは目標ではない。目標は具体的でなければならない。そして達成の程度がいつも明らかであるようなフィードバック機構を持つものがのぞましい。
4.目標は、大目標と小目標、主目標と副目標というように、細分化され項目化されていなければならない。そして項目間で優先順位が決められていなければならない。
5.目標はスケジュールである
時系列的に細分化されていなければならない。
6.目標は個性的であるはずだ
自分自身の目標を設定するための参考に同僚を利用することはよいことだ。しかし真の基準は自己以外のなにものでもない。(過去と未来をつなぐ現在の自分自身の、関心、能力、意志、欲求、etc―――人間は、その顔つき、声、骨格などがそれぞれ異なるように、内面的なものもきわめて個性的である。)
自分の意思をはなれて他人との関係においてのみ目標を決定することは発展的でない。
7.適切な目標をたてるためには、自己をよく知らねばならない。そのためにときどき自己の限界をテストしてみる必要がある。
人間は、自分の能力を思いのほか知らないものだ。(私の経験では、自分のすぐ近くにいる他人の能力をよく理解していながら、自分のこととなるとそれほどには理解していない人が多い)多くの場合、能力を過小評価し、業績を過大評価している。
8.自分の仕事の程度を知るための手段として他人を利用することは有効なことだ
この場合課内の人間より課外の人間と、部内の人間よりは部外の人間と、社内の人間よりは社外の人間と比較することを心がけるべきだ。
9.会社の目標と個人の目標とを調和させることに関心をはらわねばならない
個人の目標を会社の目標に全く一致するように修正しなければならないとしたら、それは権威主義的組織か全体主義的組織である。逆に個人の目標に組織の目標を従属させるとすれば、それは友好団体か、サークル組織になってしまう。
会社の目標は個人の目標に優先するものではあるが、個人の目標に対し硬直的なものではない。会社の目標と個人の目標とは相互に影響しあうものである。社員、経営者、管理者のそれぞれの目標が統合されて会社の目標が決定されるのだ。
10.そのためには当然のことだが現在の会社の目標をよく知らねばならない。同時に現在の自分の任務についてもよく知らねばならない
会社の目標と合致しない目標の追及を試みる人は不幸だ。私の経験では社員の不満のうちの多くは、会社の目標と自分の任務を十分に理解してないことから生じると思う。
「個人の目標と経営の目標とを合致させること」これが管理者のもっとも重要な仕事だ。(お互いにもっと雄弁にならなければいけないと思うが・・・・・・)
11.目標は情勢の変化や目標の達成の程度によって常に修正を加えていかねばならない
困難な目標を達成すればつぎの目標により一層むずかしいものを狙う。失敗すればより危険の少ないものを選ぶ。目標は情態的なものではなく動態的なものだ。
12.目標を決定するにあたっては、手段の選定が同時に行われなくてはならない
手段、方法が明確化されていなければ実質的な目標にはならない。
13.目標達成のためには一つ以上の手段、戦略がある。
手段の拡充、戦略の強化なくしては大きな目標は達成されない(手段の拡充についても目標を立てるべきだ。)
14.人事考課の結果(昇給、賞与、昇“職”)は目標達成の一つの尺度である。その原因、理由について上司によく聞かねばならない
「上司には上司の考えがあるのだろう」「メンドウダ」「ハシタナイ」などという理由で自分を納得させてしまうのはよくない。昇給、賞与の金額は目標達成の重要な尺度の一つであり、経営の目標と個人の目標との継手なのだ。
15.現在の目標の達成の程度についていつも正確に知っていなければならない
16.仕事に熟達することを目標にすべし。才能にたよるよりは自己の技能や専門的知識、経験を生かしのばすように努力すること
つまり目標の達成が職務遂行能力の向上につながるような目標でなければならない。
17.予想される問題点を明確化しておくこと
困難なことは何か、障害を解決する方法は?
18.目標を決める際には、問題を解決するよりは機会を生かすこと、「障害となる問題は何か」ではなくて「自分にとって機会はどれほど大きいか」に視点をおくべきだ。
19.目標を決めたら、なるべくおおぜいの人に公表した方がよい
目標達成のために(主として刺激を与えるという形で)周囲の人が協力してくれるだろう。
20.目標を設定することは、個性を殺すことではなく、これを強化しようとする試みである。自分の強みを生かせるような目標を決めたい
くり返すが目標は自分で決めるものではあるが、自分一人で決めるべきものではない。上司との協力によって決められた目標が実際的な目標である。
企業において目的のない仕事はない。目標を決めることの意味を知り、高い目標を掲げ限りない自己の拡大をめざしたい。