新刊JPトップ > 特集 > 新刊JP FEATURING 茂木健一郎「脳を活かす勉強法」

プロフィール

茂木健一郎(もぎ けんいちろう)
脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、 東京工業大学大学院連携教授、早稲田大学国際教養学部非常勤講師。

1962年、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。 理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。

主な著書に、 『脳とクオリア』(日経サイエンス社)
『心を生みだす脳のシステム』『脳内現象』(以上、NHK出版) 『意識とはなにか』『「脳」整理法』(以上、ちくま新書) 『脳と仮想』(新潮社) 『感動する脳』『脳を活かす仕事術』『すべては音楽から生まれる』(PHP研究所) 『脳と創造性』(PHPエデイターズ・グループ)『クオリア降臨』(文塾春秋) 『プロセス・アイ』『やわらか脳』(以上、徳間書店) 『ひらめき脳』(新潮新書)などがある


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目次

● はじめに 入学当初の僕は「できない子」だった
● 第1講 脳は「ドーパミン」と「強化学習」が好き
● 第2講 「タイムプレッシャー」が脳の持続力を鍛える
● 第3講 「瞬間集中法」で勉強を習慣化させる
● 第4講 茂木健一郎流「記憶術」
● 第5講 茂木健一郎の「読書のススメ」
● 第6講 脳のコンディションを把握しよう
● 第7講 自分を変える「一回性」に巡り会うには
● 第8講 偶有性がさらなる脳の発達を促す
● おわりに 知の「オープンエンド」時代がやってきた!

書評

昨年12月に出版されて以来、飛ぶように売れ続けている本書。
PHP研究所のウェブサイトを見てみると、7月の段階で65万部を突破したとのことである。 これまでも「脳」をテーマとした書籍がベストセラーとなることは多くあった。

例えば養老孟司氏の『バカの壁』(新潮社)やマインドマップ関連、最近では佐藤富雄氏の 『脳が悦ぶと人は必ず成功する』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)などが挙げられる。 こうしたベストセラーとなった「脳」本の多くに共通することは、 まず「脳の中で何が起こっているのか」を解明した上で、各々の掲げるテーマについて処方箋を与えると いう手法を取っているということだ。

さて、本書は「勉強法」というタイトルがついている。 「勉強法」とは勉強が出来ない、もしくはもっと頭が良くなりたいと思う人々に向けた「方法」の処方箋である。 故に、最初から具体的な方法論のみに陥りがちである。
しかし、本書はそうではない。「頭が良くなるためにはああしなさい、こうしなさい」 というように勉強法を押し付けるものはなく、 まず「頭が良くなる瞬間」に脳の中で起こっているメカニズムを説明した上で、 そうなるにはどのような経験をすべきかを教えてくれるのである。

本書の最初のキーワードは「ドーパミン」だ。

一生懸命やっていた問題がやっと解けた。あなたは「やった、できた!」と喜ぶ。 このとき、脳内には「ドーパミン」という物質が分泌されている。
この「ドーパミン」は神経伝達物質のひとつで、「快感」を生み出す脳内物質として知られている。 人間はこの「ドーパミン」が分泌されたとき、どんな行動をとったかを克明に記憶し、 ことあるごとにその「快感」を再現しようとする。

そして、この「やった、できた!」という 快感がくせになって繰り返し続けていくことでその行動が上達していく。 また、試行錯誤をすれば脳内には強固なシナプスが形成され、やがてひとつの行動に熟達される。 著者の茂木健一郎氏はこのサイクルを 「強化学習」と呼び、「脳を活かす勉強法」のひとつめの極意と言う。

本書ではこのひつとめの極意を皮切りに、「タイムプレッシャー」や「瞬間集中法」など様々な勉強法を展開する。 また、読書法の章では「インターネット」の使い方について細かく説明している部分が特に印象深く、 「インターネットだけで勉強してノーベル賞をとる人がそのうち出てくると思っています」 という指摘は衝撃的である。
脳科学の第一人者である著者の考え方が詰まった一冊だ。

(新刊JP編集部)

関連本紹介

すべれは音楽から生まれる
書評

以前行ったクラシックコンサートで、震えるような感動を味わったことがある。
そのとき演奏されていたのが、ベルリオーズ作曲の「幻想交響曲」だ。 その瞬間は、「断頭台への行進」という名がつけられた第4楽章で訪れる。 夢の中で恋人を殺め、死刑となった芸術家がその断頭台への道を進む様子を描写しており、 鎌が落ちる瞬間、恋人の回想が脳裏に浮かぶのだが、その「旋律」はギロチンで一瞬にして絶たれる。

荘厳でありながら轟音で迫り来る絶望的なその旋律に、私はいつの間にか身を乗り出し、 目を涙で薄っすらと湿めらせながら聞き入っていたことを記憶している。 本書は茂木健一郎氏によるクラシック音楽の解説書だ。 茂木氏はシューベルトからベートーヴェン、ワーグナーなど誰もが一度は聴いたことのある作曲者を出し、 「クオリア」(質感)という概念を通して音楽を解釈していく。

そして、「音楽はすべての芸術をつかさどるとともに生命原理と創造性の本質にも通じている」述べるのだ。 脳が素晴らしい音楽に接したとき、そこで何が起こるのか。そして、その「感動」はどう影響するのか。 私のあの「感動」は確かに私の土台として現在も生きている。 音楽から生み出される「感動」を味わうための指南書とも言える一冊だ。

ひらめきの導火線
書評

トヨタが世界に誇る「カイゼン」。
これは、個々人が仕事をしていて気づいたことをもとに、 現状を「改善」するためのアイデアを1枚の紙にまとめ、それをもとに問題を改善していくというものである。
そこで重要なのは、それを書く人は「全員」であるということだ。金の卵も、 大学院卒のエンジニアも、期間従業員も、そこでは全ての社員が平等に提案書を書く。
著者は、そんなトヨタ式生産方式を見て、こう指摘する。
「トヨタは・・・とりわけ特異な会社だと見られてきたようである。 ・・・しかし、実際に取材してみると・・・ 日本企業に共通する「日本的な原理」とでもいうべきものに、忠実に沿っていることがわかった」

「日本的な原理」―これが「ひらめき」の導火線なのである。
「お互いさま」や「~のおかげです」という謙遜の気持ち、そこから生まれる 「影響の連鎖」こそがひらめきを生む原点なのだ。

日本人は海外から「個性」や「創造性」がないと言われるが、それは本当なのか? ―否。日本の根底をなす「和」の文化が最高の「ひらめき」をもたらすのであり、 それは一人の天才によって作られるものではないのだ。
日本人に勇気と解放をもたらす一冊だ。

脳を活かす仕事術
書評

「頭では理解しているのに実際にやろうとするとうまくできない」という経験をしたことはないだろうか。
例えば私は、中学、高校、大学と10年間も英語を勉強してきたにも関らず、英語が苦手だ。 文法や単語の問題は解けても、実際に英語で話そうとすると全く言葉が出てこない。

中学校1年で学んだ100単語くらいを必死に使いまわしている感じがする。知識があったとしても、その使い方が分からないのだ。 本書は、そんな誰もが経験しているであろう「知識はあるのに、実行に移すとうまくいかない」、 「何が良くて、何が悪いか分かるのに、実際にうまくできない」といった悩みを解決してくれる。

本書は、そういった事態に陥る原因は脳のバランスが悪いからであり、 知識を身につけるインプットとそれを実行するアウトプットのバランスをよくすれば、実際に手足を動かしたり、 表現したりという能動的な行動の精度が上がるという。

本書に書かれている行動術はすぐにでも実践できそうなものばかりだ。 自分に置き換えてイメージしやすいので、「ちょっとやってみようかな」とやる気が出てくる。 日常生活から仕事まで、幅広く応用できる一冊である。

茂木健一郎「脳を活かす勉強法」

書誌情報

  • 書籍名:脳を活かす勉強法
  • 出版社名:PHP研究所
  • 著者名:茂木健一郎
  • 価格:1,155円
  • ISBN:4569696791