個人に合わせた情報が手に入る「新しいメディア」
テレビ、雑誌、ラジオなど、いわゆるマスメディアの衰退が叫ばれて久しく、その原因の一つとしてインターネットの普及が挙げられています。
一般の人々とマスメディアの間の情報格差が小さくなり、かつてなら情報収集をマスメディアに頼る他なかったのに、今ではインターネットで簡単に情報を受発信できるというわけです。
しかし、『スマートメディア』(中村滋/著、デコ/刊)によると、マスメディアの衰退はインターネット普及以前からはじまっていました。社会が成熟して人々の考え方や嗜好の多様化と細分化が進んだ結果、みんなが同じ情報では満足しなくなりました。1つの同じ情報を大量に配ることを得意とするマスメディアは、機能不全に陥ってしまったわけです。「ビーパル」「ダイム」「サライ」などの有力誌で編集長を務めてきた中村氏は、この「欲しいものに出会えない」という新しい時代を前にして、従来型のマスメディアに続く新しいメディアの必要性を痛感します。
この「欲しいものに出会えない」という事態は、現行のインターネットによっても解決できないと著者は指摘します。むしろインターネットによる情報大爆発が混乱に拍車をかけている。要するに、インターネットの限界は、「好き」は検索できても「好み」は検索できない。つまり、自分の目的や欲しいものがはっきりわかっているなら簡単に情報を手にすることができますが、漠然とした「好み」だけでは、膨大な量の情報の中から自分が本当に求めている情報を見つけ出すことがきわめて困難なのです。
例えば「いいレザージャケット」が欲しいと思った人が、「レザージャケット」というキーワードで検索をしても、あらゆる素材、あらゆるブランドのレザージャケットの膨大な情報が出てくることになり、本当に欲しい(であろう)情報に巡り合うのが難しい。
では、マスメディア衰退の後に続く新しいメディアとは、何か? どんなものなのか?
旧メディア崩壊についての書籍は、これまでも数多く出版されていますが、「次のメディアのかたち」については、まだ誰も明確な答えを出していません
著者は、本書で答えを出しています。
「欲しいものに出会えない」という現代人のフラストレーションを解決するために、著者が提案するのが「スマートメディア」です。アイフォンやアイパッドなどのモバイルPCを使った「その人の欲しい情報をその人へ届けるメディア」で、著者の大胆な予測によれば、テレビ、新聞、雑誌などの旧メディアはいずれこの新しいスマートメディアに吸収されていくことになる。
本書では、この新しいスマートメディアの具体的な作り方にも触れられています。
いうまでもなく、すべてのビジネスの基本は、情報です。メディア関係者、IT関係者、業界志望者ばかりでなく、ひろく一般のビジネスマンにも、本書は考えるヒントを与えてくれそうです。
一般の人々とマスメディアの間の情報格差が小さくなり、かつてなら情報収集をマスメディアに頼る他なかったのに、今ではインターネットで簡単に情報を受発信できるというわけです。
しかし、『スマートメディア』(中村滋/著、デコ/刊)によると、マスメディアの衰退はインターネット普及以前からはじまっていました。社会が成熟して人々の考え方や嗜好の多様化と細分化が進んだ結果、みんなが同じ情報では満足しなくなりました。1つの同じ情報を大量に配ることを得意とするマスメディアは、機能不全に陥ってしまったわけです。「ビーパル」「ダイム」「サライ」などの有力誌で編集長を務めてきた中村氏は、この「欲しいものに出会えない」という新しい時代を前にして、従来型のマスメディアに続く新しいメディアの必要性を痛感します。
この「欲しいものに出会えない」という事態は、現行のインターネットによっても解決できないと著者は指摘します。むしろインターネットによる情報大爆発が混乱に拍車をかけている。要するに、インターネットの限界は、「好き」は検索できても「好み」は検索できない。つまり、自分の目的や欲しいものがはっきりわかっているなら簡単に情報を手にすることができますが、漠然とした「好み」だけでは、膨大な量の情報の中から自分が本当に求めている情報を見つけ出すことがきわめて困難なのです。
例えば「いいレザージャケット」が欲しいと思った人が、「レザージャケット」というキーワードで検索をしても、あらゆる素材、あらゆるブランドのレザージャケットの膨大な情報が出てくることになり、本当に欲しい(であろう)情報に巡り合うのが難しい。
では、マスメディア衰退の後に続く新しいメディアとは、何か? どんなものなのか?
旧メディア崩壊についての書籍は、これまでも数多く出版されていますが、「次のメディアのかたち」については、まだ誰も明確な答えを出していません
著者は、本書で答えを出しています。
「欲しいものに出会えない」という現代人のフラストレーションを解決するために、著者が提案するのが「スマートメディア」です。アイフォンやアイパッドなどのモバイルPCを使った「その人の欲しい情報をその人へ届けるメディア」で、著者の大胆な予測によれば、テレビ、新聞、雑誌などの旧メディアはいずれこの新しいスマートメディアに吸収されていくことになる。
本書では、この新しいスマートメディアの具体的な作り方にも触れられています。
いうまでもなく、すべてのビジネスの基本は、情報です。メディア関係者、IT関係者、業界志望者ばかりでなく、ひろく一般のビジネスマンにも、本書は考えるヒントを与えてくれそうです。
中村滋(なかむら・しげる)
1944年、東京都生まれ。1966年、株式会社小学館入社。『ボーイズライフ』『ビッグコミック』『サンデー』編集部を経て、『BE-PAL』『DIME』『サライ』の創刊編集長を歴任。1993年5月、取締役就任。コンビニエンスストア専用コミック(『My FirstBIG』)、ケータイ・コミック配信、電子辞書のデジタルネット配信等に携わる。2009年、専務取締役を退任。オンデマンド印刷のコンテンツワークス取締役を経て、現在、メディアプロデューサー。
NPO法人むしむし探し隊会長。財団法人植村記念財団理事。趣味はフライ・フィッシング、ワールドミュージック、アクアリウム。
■株式会社デコHP
http://www.deco-net.com/
http://www.deco-net.com/works/shuppan.html
■ウクレレ雑技団HP
http://www.uzd.jp/
■ブログ「ウクレレ的スラッキーライフマガジン」
http://www.uzd.jp/blog_life.html
http://www.deco-net.com/
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■ウクレレ雑技団HP
http://www.uzd.jp/
■ブログ「ウクレレ的スラッキーライフマガジン」
http://www.uzd.jp/blog_life.html
はじめに
1章 雑誌が売れなくなった理由を考える
不景気や書店の減少が原因ではない
インターネットの普及が雑誌衰退に拍車をかけた
「フラット化」によって〝読者力〟がアップ
新しいメディア「ケータイ」の登場
好きなマンガの好きなところだけ好きなときに読みたい
マスメディアはもはや表彰台から落ちている
マスメディアのあとに続く次世代メディアはなにか
デパートと雑誌はよく似ている
2章 多様化と細分化にマスメディアは対応できない
十人いれば聴いている音楽は十色
社会が成熟するほど多様化と細分化が進む
雑誌はどう対応してきたか?
「多様化・細分化」の時代が生み出したライフスタイル誌
口コミ雑誌『POPEYE』の登場/『BE‐PAL』
― 書き手は著名人じゃなくていい
大人の生活誌『サライ』―〝知的ミーハー〟に徹する
ニッチ化あるいは大特集化する雑誌
雑高書低から書高雑低へ― 本はこれからも残る
書籍は売り方次第でベストセラーになる
書籍の出版点数はなぜ激増したか
〝百坪書店〟の限界―欲しい本に出会えない
あらゆる店は「脱・デパート化」が必須
ニッチショップ大増殖の波―東京・吉祥寺の場合
セレクト書店と超大型書店は元気がいい
カテゴリー型書店にこそチャンスがある
「多様化・細分化」に対応できる企業だけが生き残る
「売れるものをつくれ」だけでは時代遅れ
1章 雑誌が売れなくなった理由を考える
不景気や書店の減少が原因ではない
インターネットの普及が雑誌衰退に拍車をかけた
「フラット化」によって〝読者力〟がアップ
新しいメディア「ケータイ」の登場
好きなマンガの好きなところだけ好きなときに読みたい
マスメディアはもはや表彰台から落ちている
マスメディアのあとに続く次世代メディアはなにか
デパートと雑誌はよく似ている
2章 多様化と細分化にマスメディアは対応できない
十人いれば聴いている音楽は十色
社会が成熟するほど多様化と細分化が進む
雑誌はどう対応してきたか?
「多様化・細分化」の時代が生み出したライフスタイル誌
口コミ雑誌『POPEYE』の登場/『BE‐PAL』
― 書き手は著名人じゃなくていい
大人の生活誌『サライ』―〝知的ミーハー〟に徹する
ニッチ化あるいは大特集化する雑誌
雑高書低から書高雑低へ― 本はこれからも残る
書籍は売り方次第でベストセラーになる
書籍の出版点数はなぜ激増したか
〝百坪書店〟の限界―欲しい本に出会えない
あらゆる店は「脱・デパート化」が必須
ニッチショップ大増殖の波―東京・吉祥寺の場合
セレクト書店と超大型書店は元気がいい
カテゴリー型書店にこそチャンスがある
「多様化・細分化」に対応できる企業だけが生き残る
「売れるものをつくれ」だけでは時代遅れ
3章 インターネットには限界がある
2010年は電子書籍元年か?
紙か電子か、は問題ではない
電子書籍が増えたときどうなるか?
ネット書店が可能にした〝ロングテール〟
ネットでなければ、買えないもの
情報が増えるほど人々は選択的になる
インターネットは「出会い」の場になれない
「好き」がはっきりしていれば情報は手に入るけれど
消費者の「好み」さえわかればモノは売れる
新聞や雑誌をそのまま電子化してもはじまらない
電子雑誌のつくり方についての提案
4章 次世代メディアの三つの条件
iPhoneの衝撃
必要条件は「クラウド」「フロー」「1to1」
キーワード①「クラウド」=形で持たない
キーワード②「フロー」=時々刻々更新される
〝流れる情報〟を扱う
キーワード③「1to1」=その人に必要な、その人だけの情報を
スマートメディアのインフラを考える
スマートフォンと多機能携帯電話の大きなちがい
スマートフォンの役割は〝水先案内人〟
5章 スマートメディアのつくり方を考える
まずはシンプルなスマートメディアを考えてみる
スマートメディアの考え方・ベース
メニューづくりのサンプルはユーチューブ
スマートメディアの考え方①
……「スマート新書ストア」
スマートメディアの考え方②
……「スマート・ジャズクラブ」
出会いの決め手はユーザーがつけるタグ
スマートメディアで広がるアーカイブ・ビジネスの可能性
スマートメディアのつくり方③
……「スマート・マップ」
マスメディアの行く末はどうなる?
おわりに
マスメディア・IT関連年表~1975~2010年~
2010年は電子書籍元年か?
紙か電子か、は問題ではない
電子書籍が増えたときどうなるか?
ネット書店が可能にした〝ロングテール〟
ネットでなければ、買えないもの
情報が増えるほど人々は選択的になる
インターネットは「出会い」の場になれない
「好き」がはっきりしていれば情報は手に入るけれど
消費者の「好み」さえわかればモノは売れる
新聞や雑誌をそのまま電子化してもはじまらない
電子雑誌のつくり方についての提案
4章 次世代メディアの三つの条件
iPhoneの衝撃
必要条件は「クラウド」「フロー」「1to1」
キーワード①「クラウド」=形で持たない
キーワード②「フロー」=時々刻々更新される
〝流れる情報〟を扱う
キーワード③「1to1」=その人に必要な、その人だけの情報を
スマートメディアのインフラを考える
スマートフォンと多機能携帯電話の大きなちがい
スマートフォンの役割は〝水先案内人〟
5章 スマートメディアのつくり方を考える
まずはシンプルなスマートメディアを考えてみる
スマートメディアの考え方・ベース
メニューづくりのサンプルはユーチューブ
スマートメディアの考え方①
……「スマート新書ストア」
スマートメディアの考え方②
……「スマート・ジャズクラブ」
出会いの決め手はユーザーがつけるタグ
スマートメディアで広がるアーカイブ・ビジネスの可能性
スマートメディアのつくり方③
……「スマート・マップ」
マスメディアの行く末はどうなる?
おわりに
マスメディア・IT関連年表~1975~2010年~