社会事業というと、日本ではボランティアと同様の認識をされ、それらを担う組織もNPO、「非営利組織」と呼ばれることが多い。認知度は以前と比較してもずいぶん広がったが、それでも誤解をされていたり、自ら進んで業界に飛び込む人間はまだ少ないのが現状だ。
また、社会事業への参画者に対しても、清貧の生活を受け入れ、薄給でも社会への貢献を第一に考える人々というイメージが少なからず残っている。
確かに、社会事業=ボランティアという認識は間違えてはいない。しかし、それに当てはまらない組織も存在する。
本書は世界の食の不均衡の解消を目指すNPO法人「TABLE FOR TWO International(TFT)」の事務局長である小暮真久氏が、自身の活動やそれを世間に広めるための手法を記した一冊だ。
TFTの活動は、私たちが想像するNPOとは一線を画すものだ。
本書を読むと、彼らのマーケティングや営業の方法が実に緻密で、民間企業との共通点が多いことに気づくだろう。
ビジネスとして成立しうるものでないと、日本の社会事業に発展はない。このような小暮氏の考えと活動は、日本における今後の社会事業のあり方や経営方法を大きく変えるかも知れないインパクトがある。
自己犠牲ばかりが目立つ社会事業からの卒業を。
国内に起きているさまざまな変化を知るきっかけとして、読んでみてほしい一冊だ。
■著者プロフィール
小暮真久(こぐれ・まさひさ)
1972年生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、オーストラリアのスインバン工科大で人工心臓の研究を行う。1999年、同大学修士号取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニー東京支社入社。ヘルスケア、メディア、小売流通、製造業など幅広い業界の組織改革・オペレーション改善・営業戦略などのプロジェクトに従事。
同社米国ニュージャージー支社勤務を経て、2005年、松竹株式会社入社、事業開発を担当。経済学者ジェフリー・サックスとの出会いに強い感銘を受け、その後、先進国の肥満と開発途上国の飢餓という2つの問題の同時解決を目指す日本発の社会貢献事業「TABLE FOR TWO」プロジェクトに参画。2007年NPO法人・TABLEFOR TWO internet ionalを創設し、理事兼事務局長に就任。社会起業家として日本、アフリカ、米国を拠点に活動中。
■TFTプロフィール
NPO法人・TABLE FOR TWO International
社員食堂でカロリーを抑えた食事を提供し、食事代の一部20円をアフリカの学校給食支援にあてることで「先進国の肥満」と「開発途上国の飢餓」を同時に解決することを目指す。2007年の活動開始後、約2年で企業・官公庁・学校など約100団体に導入された。コンビニエンスストア・外食産業などと提携したビジネスも拡大しており、実施国も増加予定。日本発の本格的社会事業として注目度が高まっている。
