吉本佳生氏 プロフィール
南山大学経済学部准教授。専門は金融経済学。1963年三重県北牟婁郡紀伊長島町で生まれる。名古屋市立大学経済学部経済学科卒業後、株式会社住友銀行入社。89年に退社し、名古屋市立大学大学院経済学研究科に進学、広島市立大学国際学部専任講師を経て現職。主著に『金融工学 マネーゲームの魔術』(講談社+α新書)、『ニュースと円相場から学ぶ使える経済学入門』(日本評論社)など多数ある。
まず、この本はどういった内容の本なのでしょうか。
いろいろなモノやサービスを『コスト』の観点から説明しています。消費者が生活する上で、買い物などの経済活動を楽しむための1つの視点として、ときどきコストを考えながら買いものをしたりとか、そういった姿勢が身についてくれたらいいのかな、と思ってこうした内容にしました。
吉本先生はこれまで金融経済学、金融工学的な視点から書かれた著書を多数出版していらっしゃいますよね。でもこの本はそうした内容ではなくて、もっと生活に身近なものを題材としていますが、この本を書くきっかけはなんだったのでしょう。
うーん、それは答えるのが難しいご質問ですね。1つは大学の講義でこうした内容を教えているからというのがあります。『生活経済入門』や『生活経済学』という講義なのですが。だから、そこで教えた内容をまとめてみようというのがありました。ただ、他の講義で教えている内容などで、本を書きたいと思っているテーマはたくさんあります。そうしたなかから、たまたま今回これを選んで書いたというところですかね。本当になんとなく選んだという感じですね。
私のこの本の読んでの感想を言わせて頂くと、とても読みやすい文章、分かりやすい内容だなというのが第一印象でした。経済学の本だけど、それまでの経済学のイメージ、つまり、少し敷居が高いという先入観があったのですが…。
そういってもらえるとありがたいですね。実は書いている側から見てみると、今まで書いてきた金融などの本の内容と難しさが違うかといえば決してそうではないんですよね。この本にも難しい内容を結構入れていますが、ただ、出来るだけ学問的な感じは消したかったし、実際読まれている方もあんまり経済学の本だと意識せずに読んでいる方はいらっしゃると思うんですが、そういう風に読める感じにしたかったので。説明をしやすい題材、みんなが面白いと思う題材をいかに選ぶかということをすごく考えましたから、読みやすかった、分かりやすかったという感想は著者としてはすごく嬉しいですね。
吉本佳生氏おすすめ書籍
- ナニワ金融道
大学の研究室に学生貸出用に2セット用意してあって、家にも1セットあります。この漫画は何とを言っても一押しですね。こんな良い本ないと思います。何か買い物をするにしても、この本に書いてあることを理解していれば、大抵の変な話にはひっかからないと思いますよ。
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- 株式市場――資本主義の幻想
もう絶版になっているので、図書館などでお読みいただくしかないのですが、これは私が最も影響を受けた本です。いわゆるブラックマンデー、今から20年前ですけど、1987年のブラックマンデーの直後に出たので88年か89年、88年だと思うんですけど、その頃に出版されています。株式市場ってどういう風に動いているのかって話が書かれています。もちろん、ブラックマンデーがなぜ起きたかも最後の方に書かれていますが、今でも通じるような話が書かれているんですね。書かれた時代背景を考えてみると、あのときにこんな本が書けるってすごいな、と思います。
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