新刊ラジオ第1784回 「夏の雷音」
アメリカのオークションで落札された幻のエレキギター・ギブソン『58』。
1億2000万円という破格の値で落札されたその名器は、神保町のギターショップから消えてしまう。
被害者の高校時代の先輩である吾妻幹は、愛する街で起こった事件、その裏に潜む悪意に迫る――。
著者の土地愛がつまった史上初の神保町ミステリー、ここに開幕!
読む新刊ラジオ 新刊ラジオの内容をテキストでダイジェストにしました
概要
こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。
今回ご紹介するのは、神保町を舞台としたミステリー小説。
「キッチン南海」や「さぼうる」、「共栄堂(きょうえいどう)」など実在する名店が多数登場しており、著者である堂場さんの神保町への愛が感じられる作品となっています。
個人的にですが、東京近郊にお住まいの方は、聖地巡礼をしながら本書を読むことを強くおすすめしたいですね!
さて、それではさっそく本書の内容を見ていきましょう。
主人公は、明央(めいおう)大学法学部准教授・吾妻幹。
彼は生まれも育ちも神保町、果ては仕事場までも神保町という筋金入りの地元好きで、大きな出来事はないものの、平穏な毎日を過ごしていました。
しかし、ある日、彼が神保町のソウルフードである「キッチン南海」でカツカレーを食べている時に事件は起こります。
神保町で楽器屋を営んでいる高校時代の後輩・安田が青い顔で吾妻の元を訪れ、相談事を持ちかけてきました。
曰く、店で一番高いギターが盗まれてしまった、と。
吾妻の記憶では、安田の店で一番高いのは400万円のギター。
しかし、ガラスケースにはそのギターが鎮座しており、疑問を投げてみると件のギターには値段が付けられないといいます。
要領を得なかった吾妻は詳しく話を聞いてみると、安田はアメリカのオークションに出品されたギブソン『58』という幻のギターを1億2000万円で落札し、盗まれてしまったということでした。
大学時代の先輩であり、ベテラン刑事の敦賀。
大学の教え子の杏子。
飲み仲間である古書店の店長、馴染みの雑貨屋のおばあさん、中古レコード店を営む元教え子……。
身近な人たちと神保町全体を巻き込んだ盗難事件の行方は――?
それでは、物語の一部をドラマにしましたので、本編をお聴きください。
◆著者プロフィール 堂場瞬一さんは1963年、茨城県生まれ。青山学院大学卒。 2000年に『8年』で第十三回小説すばる新人賞を受賞。著書に、警視庁失踪課シリーズ、『執着 捜査一課・澤村慶司(さわむらけいじ)』『ターンオーバー』など。 小学館文庫として『二度目のノーサイド』『異境』。 現在、『堂場瞬一の100冊』というプロジェクトが進行しており、本書は93冊目となっています。
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