だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1725回 「こむぎねこ 小さな君が教えてくれる、大切なこと」

―毎日が宝物―
まんまるお目目の「こむぎ」は心臓疾患を抱え発作に苦しみながらも、ご主人と一日一日を大切に生きています
その小さくも力強い命が過ごす、普通の日々の幸せ。
インスタグラムで27万人フォロワーを超える大人気アカウントが待望の書籍化!

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概要

こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。

今回紹介する書籍「こむぎねこ」は、著者のtomoさんが画像・動画共有SNS「インスタダグラム」にアップした写真の他、新たに撮り下ろした写真をタップリと掲載しており、小さくも力強い命「こむぎ」との出会いから現在までが語られているフォトエッセイになります。

また、この書籍の売上の一部は、一般社団法人ランコントレ・ミグノンに寄付され、処分対象の動物の保護をはじめとした活動のために使用されます。

◆著者プロフィール 2011年より、無料の画像共有SNSアプリケーションソフトウェアの、インスタグラムの@tomochunbaのアカウントにて、猫の「こむぎ」の写真をアップロード。 その世界観とこむぎのかわいらしさが日本国内のみならず海外でも人気を博し、2014年7月時点で27万人を超えるフォロワーを誇っています。

猫の「こむぎ」

ここで本書籍の主役である猫の「こむぎ」を紹介しましょう。

「こむぎ」はもと野良で、茶トラのちょっとやんちゃな男の子。

シッポは短く、鼻と肉球はピンク色、目は少し緑がかった黄色です。

性格は好奇心旺盛で、甘えん坊で、抱っこ好き。

警戒心がなく、誰にでも甘えてしまう、猫というより犬みたいな子です。

ちょっぴりドン臭いところもあり、階段から飛び降りて着地に失敗することも。

チャームポイントはとっても大きくてまんまるな目。

とっても表情豊かで、ふと面白表情をしているそうです。

こむぎは2014年の7月で頑張って3歳になりました。

「頑張って」というのは、こむぎは先天性の「心室中隔欠損症」という心臓病を患っており、されに「肺高血圧」という病も併発してしまっているからです。

2012年5月、生後10ヶ月ごろ、こむぎは初めて発作を起こしました。

その時はお医者様に余命半年と言われたそうです。

その後も、2013年12月と2014年2月に大きな発作を起こし、その際は食べたものを全て吐き出し、おしっこもうんちももらし、呼吸をするのが精一杯の状態になったそうです。

tomoさんは内心「もうダメかもしれない」と涙を流しながらも、それでも諦めずに「大丈夫だよ、大丈夫だよ」とこむぎに叫びかけたといいます。

そんな大きな発作を乗り越え、こむぎはtomoさんと共に今を生きています。

今でも、調子が良い時でも週に一回、調子が悪い時には毎日のように軽い発作を起こしてしまうんだそうです。

でもtomoさんはもう泣くことをやめました、今は「こむぎなら大丈夫」と信じ、こむぎの看病を行っているのです。

tomoさんはとても強い方なんだなと思います。

今回の収録ディレクターも病気の猫を2匹飼っているそうなんですが、自身の猫が発作を起こしたことを想像するだけで血の気が引いてしまうそうです。

おそらく、tomoさんとこむぎにとっては、毎日が戦いで、何気ない毎日が宝物で、本当に一日一日を大切に過ごしているのだなと思いました。

皆様は毎日をそんな風に過ごせていますでしょうか?

「こむぎ」との出会い

こむぎとtomoさんの出会いは偶然でした。

tomoさんの同僚の女性が出勤途中に公園を通り抜けた所、子猫がヨロヨロと寄ってきて、足下で動かなくなったんだそうです。

彼女は子猫を放っておくことができず、思わず抱きかかえて動物病院へ連れて行きました。

それがこむぎでした。

実家で猫の飼っていたこともあり、自他共に認める大の猫好きなtomoさんは一緒に動物病院へ行きました。

その時の第一印象は「ぶさいくだなー(笑)」だったそうです。

こむぎは猫風邪を引いていて、鼻血が止まらず、やせこけ毛並み悪く、絵に書いたようなボロボロな状態だったんだそうです。

それでもtomoさん達に気がつくと、体が辛いはずなのに必死に起き上がって、tomoさん達に近づこうとしました。

小さなこむぎを指でなでてあげると安心したような表情をしたそうです。

その時tomoさんは「あぁ、人が好きなんだな……」と思い、「人間に拾われたからには、野良ではなく飼い猫として幸せになってもらいたい」と、こむぎの里親を探すことにしたんだそうです。

しかし、やはりというか、誰もが健康な子猫を飼いたいと思うもので、こむぎの里親さがしは思うように進みませんでした。

一方そんな中、tomoさんには「自分が引き取りたい」という気持ちも芽生えてきました。

ですがtomoさんは一人ぐらしで仕事をしていて、ペット不可の借家ぐらし。

自身のライフスタイルで、一人で命を預かり育てていく自身がすぐには持てなかったと言います。

それでもtomoさんは里親を探しながら、自身の引越し先を探し始めました。

ほどなくして、新築でペットOKのマンションが見つかったんだそうです。

新しいマンションは、旧自宅から近く生活リズムを変えずにすみ、ロフトや階段もあり高低差を好む猫にとってはピッタリな物件でした。

この物件が見つかったことにより、こむぎを飼う決心が固まり、出会ってから約半月でトントン拍子で事が進み、晴れてこむぎとの生活がスタートしたんだそうです。

因みに一般的な賃貸の場合、犬は可でも猫は不可という物件が非常に多く、ディレクターも引っ越しの際は苦労したんだそうです。

そんななかトントン拍子で進んだこむぎとtomoさんはある意味で運命の出会いだったのかもしれませんね。

この「こむぎねこ」やインスタグラムに乗っている写真も、新しいマンションでの写真がほとんどです。

このマンションの内装は白とオレンジで非常に明るく、tomoさんも最初は落ち着くかな?と心配だったそうですが、この部屋の内装やインテリア、こむぎの柔らかい雰囲気、それを切り取るtomoさんのセンスがマッチし、独特な世界観が出来上がっているように感じます。

「こむぎねこ」

この書籍の魅力はなんといってもこむぎの愛らしさです。

tomoさんも書籍内で綴っているように、とにかく表情が豊かで、人間臭いんですね。

猫ってこんな表情をするの?と、思わず笑みを作ってしまったり、プッと吹き出してしいます。

インスタグラムに掲載されている写真は、コダックのインスタマチック、ポラロイドのインスタントカメラの両方に敬意を払い、画像はすべて正方形に加工されるそうです。

この「こむぎねこ」の写真も全て、ポラロイドカメラのように正方形になっています。

普段見慣れていない写真の形が、こむぎの魅力と相まって、とてもかわいらしい世界観を創っています。

また、難病を患っているにも関わらず、それらの写真からは一切暗い感情が見えないんです。

これはおそらく、tomoさんとこむぎが互いに互いを支えあって築かれ信頼の結果なんでしょうね。

皆様もお手にとって「こむぎ」の可愛さと力強さにふれてみてはいかがでしょうか?

こむぎねこ 小さな君が教えてくれる、大切なこと

こむぎねこ 小さな君が教えてくれる、大切なこと

こむぎねこ 小さな君が教えてくれる、大切なこと

―毎日が宝物―
まんまるお目目の「こむぎ」は心臓疾患を抱え発作に苦しみながらも、ご主人と一日一日を大切に生きています
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