だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1562回 「君の眠っている力を引き出す35の言葉」

有森裕子さん、鈴木博美さん、高橋尚子さん等、多くのトップアスリートを育て上げてきた小出義雄監督。本書は、小出監督が選手たちにかけてきた言葉と、その背景にあるストーリーが、等身大の言葉で綴られた一冊です。エピソードにぐいぐい引き込まれて読み進めるうちに、ふつふつと込み上げるものを感じたり、元気が出てきたりする、あたたかい一冊です。

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概要

こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。

ロンドンでオリンピックが開催中ですが、皆さんご覧になっていますか?

テレビで生中継を見ていると時差が8時間もあるので、コアタイムがずれて寝不足になってしまいますよね。最近、暑い日が続いていますから、寝不足で会社に行って体調など崩さないように気をつけて下さい。

さて、今日はオリンピックの本……ということではないんですけど、陸上競技の監督が書いた一冊をご紹介します。

***

◆今日の一冊

『君の眠っている力を引き出す35の言葉』 (小出 義雄/著 すばる舎/刊)

◆著者について

小出義雄さんは佐倉アスリート倶楽部代表。マラソン・中長距離選手の指導者です。女子マラソン選手の指導にあたり、有森裕子さん(バルセロナ五輪 銀メダリスト)、鈴木博美さん(世界陸上アテネ大会 金メダリスト)、高橋尚子さん(シドニー五輪 金メダリスト)など、多くのトップアスリートを育て上げ、世に輩出されてきました。

小出監督の言葉を2つ程ご紹介します。

本書は、「君の眠っている力を引き出す35の言葉」というタイトルの通り、小出監督が選手たちにかけてきた言葉と、それに対する数ページの解説、そして言葉の背景にあるストーリーが語られている構成になっています。本としてはよくある形式ですが、言葉の背景にあるストーリーがどれもおもしろく、ぐいぐい引き込まれます。

大上段に構えて“指導とは何たるか”を語るわけでもなく、とにかく前向きでポジティブな言葉を投げつけてくるというわけでもありません。小出監督が培ってきた等身大の言葉がエピソードとともに語られていて、ストーリーに引き込まれて読み進められます。そうするうちに、なんだかあったかい気持ちになったり、ふつふつとこみ上げる気持ちを感じたりできる、あたたかい一冊です。

今回の新刊ラジオでは、そんな本書から・・

「今は山を下りよう。次にオレが、もっと大きな山に登らせてやるから……」

という言葉の背景にあるストーリーを朗読しました。

ぜひ音声版をお楽しみ下さい。

テキスト版では、2つの小出監督の言葉をご紹介しましょう。

「出口のないトンネルなんてないんだよ。」 スランプに陥り、苦しみもがいている選手にかけた言葉です。 心にのしかかっている重石を取り除いてほっとさせ、そして奮い立たせる小出監督です。

「負けは負けだよ。もう後ろを振り向くな。」 小出監督がリクルートで指導した選手に、アトランタ五輪のメダル候補として期待を寄せられていた吉田直美さんというランナーがいました。 五輪への切符をかけた1995年の東京国際女子マラソンでは、38キロ地点までトップ集団の中にいましたが、不運にも転倒アクシデントに巻き込まれてしまうんです。 周囲からは「もしあの不運なアクシデントがなければ吉田が優勝していた・・」などといわれつつも、小出監督がかけた言葉はこれでした。

本書に掲載されている小出監督の言葉は、このような飾らない等身大の言葉です。 「君の眠っている力を引き出す35の言葉」というタイトルではありますが、自己啓発的に読むというよりは、プレーンな気持ちでまずは本書のストーリーを楽しんでほしいと思います。

特に、学生さんや、20代くらいの若い世代の方はぜひお手にとってみてください。 読み進めるうちに、小出監督のあたたかい言葉や、上手に発破をかけてくれる言葉に、なにかふつふつと感じるものがでてくるかもしれません。

君の眠っている力を引き出す35の言葉

君の眠っている力を引き出す35の言葉

君の眠っている力を引き出す35の言葉

有森裕子さん、鈴木博美さん、高橋尚子さん等、多くのトップアスリートを育て上げてきた小出義雄監督。本書は、小出監督が選手たちにかけてきた言葉と、その背景にあるストーリーが、等身大の言葉で綴られた一冊です。エピソードにぐいぐい引き込まれて読み進めるうちに、ふつふつと込み上げるものを感じたり、元気が出てきたりする、あたたかい一冊です。