だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1521回 「一歩前に踏み出せる勇気の書」

人材育成トレーナー青木仁志が贈る「勇気の素」。主体的に行動し、パフォーマンスを発揮できる人間になるために、とてもやさしい文体で「勇気」や「意欲」を出す方法を教えてくれる一冊です。現状を打破したい、自分の限界を突破したい、もっと自分らしく生きたいとお悩みの方は、ご一読下さい。

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概要

 こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。

 「あなたは今、本当にやりたいことをやっていますか?」とは、よく聞くとい かけですが、自分が本当にやりたいことをやっているときは、意欲って自然と沸 いてくるものですよね。

 僕も今、自分の好きな仕事をしていますが、それでもずっと未来、先のことを 考えると「自分は今の仕事を通して、将来的に何がしたいのか?」と、悩んでし まいます。

 今日は、そんなことを考えていたときに出会った本をご紹介します。  この本は、思わず、“人に語りたくなる”一冊でした。

***

◆今日の一冊

『一歩前に踏み出せる 勇気の書』 (青木仁志/著 アチーブメント出版/刊)

◆この本をひと言でまとめると  「勇気を発揮して自ら主体的に行動できる人間になる方法」

◆著者について  1955年、北海道函館市に生まれ札幌で育つ。  1972年、高校を中退し、東京へ上京(溶接工見習いに)。  ブリタニカのセールスマンとなる(後に、トップセールス、セールスマネージ ャーへ)。  1987年、アチーブメント株式会社を設立、代表取締役社長に就任。  研修講師として述べ28万人以上を担当。  現在は、法政大学大学院 政策創造研究科の客員教授も務める。

◆おすすめの読者  ◎変わりたい!と思っている人  ◎主体的に行動をしたい・自立した人間になりたいと思っている人

能動的な人間になる

 本書の著者・青木仁志さんは、現在50代半ばですが、このうち20年くらいは、 「苦労の時代だった」と言っています。その苦労の日々が、今の青木さんを作っ てきたといえますね。

 青木さんの理念としては、

 「自立型人材を社会のリーダーとなる人材を数に多く輩出すること。   それによって、いじめ差別のない明るい社会をつくる」

 ということを目指されているそうです。

 それでは本書からの引用ですが、まずはこの一文をご紹介します。

  同じ環境下でも、情熱をもって取り組める人と無気力な人、主体的に行動  できる人と義務感で動く人がいます。嫌々やってあとで愚痴を言ったり、  つまらそうな態度で白けていたり、他人と比較して自分を卑下したり……  こう した人々のあいだには、意欲の差があります。(P2より)

 いかがですか? 身の回りを振り返ってみてもよくあるシチュエーションです。 世間一般では「やる気の有無」と言われがちな問題ですが、青木さんはこの本で、 「意欲の差」と表現していました。

 つまり、「受動的な人間ではなく、能動的な人間になろう」というのが、この 本で語られている大きなポイントです。他の本などでは、たとえ受動的でもまず やる事、とか、とにかくやりたくない事でも行動を起こす事、という教えもあり ますが、青木さんは「興味のあるもの、好きなもの対して行動を起こそう!」と 言っています。そして主体的に行動するためには、なすべきことが頭にイメージ できなければいけないのだそうです。

 そのためには「経験」が必要になってきます。

 これはつまり、

  「頭の中でイメージできる」       ↓   「集中力が高まり自分の能力を発揮できる」

 ということで、たとえば僕の場合、今、急にラジオ番組のオファーが来ても、 この新刊ラジオの経験をイメージして「ここは新刊ラジオと同じ、ここは違う」 と、能動的にパフォーマンスを発揮できますね。

 でも、これが、舞台出演のオファーだったりすると……?  僕は、舞台を踏んだ事がないので「台本を全部暗記できるだろうか」「舞台の 声の出し方って、確かマイク前と違うんだよな」などと、不安に駆られてしまい ます。だから、必要なのは「経験」なのですね。

 では、その「経験」はどうやって培うのでしょうか?

「挑戦」して「経験」を積むということ

 初めての事に挑戦するのは誰でも怖いですよね?  でも、その恐怖を乗り越えないと、「経験」をつむ事はできません。

 ですから、「不確実な未来に対する恐れをいかに乗り越えるか」というが、 本書のもうひとつの重要なテーマとなっています。そのために、青木さんは本書 で、“はじ初めの一歩を踏み出す”ためのさまざまな方法を述べています。

 本書の内容を僕なりにまとめたので、いくつかご紹介していきましょう。

   世の中のほとんどのことが、実際にやってみないとわかりません。   行動に移せない理由が「何をしたらいいのかわからない」のであれば、   周りから何を求められているかを考えて実行してみて下さい。(P20より)

 まず最初に印象に残ったのはこの教えです。「何をしたいかわからない」なん ていうのは、僕もよく相談を受けました。たまたま、僕はやりたい事が決まって いたので悩まなかったのですが、「自分は何をしたいんだろう?」そう悩んでし まった時は、「自分は何を求められているんだろう?」と考えを切り替えてみて 下さい。誰かに対する貢献をベースに目的・動機・志を立てると、初めての挑戦 への恐怖は払拭できます。

  将来の見通しをもっているか?(P77より)

 やる気が出ない、意欲がでない、という時。もしかしたら、それが将来への明 確なイメージに繋がっていない可能性があります。青木さんは本書で計画性の重 要さを折に触れて説いています。これをしたら、こうなる、これが得られる、と いう将来の見通しは大事にしましょう。でも、いきなり、大きな事を考えるのは 難しいと思うので、まずは最初は「小さな見通し」を持つ事を目標にするのが、 オススメです。

 たとえば。  「今日の午前中にこれとこれをやる」(P78)  →上手くいけば、次の見通しにつながる。  →上手くいかなかったら、判断材料が増える。  →「次はもうちょっと時間的余裕を持とう」

 など。

 このように、事前に計画や予定をデザインして、その結果を受けた反省や改善、 フィードバックが重要です。この繰り返しで、あなたはちょっとずつ、夢や目標 に近づけるんです! ちょっと意欲が湧いてきたでしょう?

行動力の前に断る力を高めよう

  行動力の前に断る力を高めよう。(P88より)

 僕にはちょっと意外に聞こえたんですが、読むとなるほど、という教えです。 努力は尊いが、「努力よりも正しい選択を優先する」のが青木さんの考え。それ はつまり、決断力を鍛えることにもつながります。自分の目的・目標達成に役立 たないのであれば、「ノー」という事も重要です。この能力を鍛える事で、逆説 的に「イエス」という決断力も鍛えられます。

 あなたは今、何に集中していますか?

 それはあなたが本当に求めているものですか?

 時には「ノー」という事も重要ですよ。

◆まとめ

 「主体的に行動をしたい人」「自立した人間になりたい人」は、文字通り勇気 を与えてくれる一冊ですので本書を参考にしてください。高校生でも、全く苦な く読めるやさしい文体です。「変わらなきゃ!」と思っている人にはオススメです。

一歩前に踏み出せる勇気の書