だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1518回 「ボクものがたり」

家族として過ごしてきたペットが捨てられてしまう。そんな残酷な現実が後をたちません。捨てられたペットがその後、どうなるか知っていますか?辛くて悲しい物語は現実に起こっていることなのです。『「今日から家族だよ」っていってくれたきみが、おおきくなったぼくを捨ててしまう』。捨てられた犬の目線でペットの悲しい現実を訴える、命の尊さを考える絵本です。

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概要

◆今日の一冊

『ボクものがたり』 (And yu・舞坂ゆき子/原案 いもとようこ/文・絵 主婦の友社/刊)

◆この本をひと言でまとめると  「ペットを最期まで大切にしていますか?」

◆著者について  And yu(アンド・ユー)さん  1977年生まれ。シンガーソングライター。作曲家。独自の世界観の言葉をつづ りライブ活動も行っています。

 舞坂ゆき子さん  宝塚歌劇団、雪組退団後、舞台やドラマのほか、父・坂本九の歌を歌いつぐた め、母・姉とのユニット「ママエセフィーユ」としても活躍中。8歳でおとずれ た突然の父親との別れの直後、母からプレゼントされた一匹の犬に悲しみを癒さ れた経験を原点に「人と動物のきずな」のために活動をされています。

 いもとようこさん  金沢美術工芸大学油画科卒業。「ねこのえほん」「そばのはなさいたひ」で、 ボローニャ国際児童図書展エルバ賞を2年連続受賞。「いもとようこの絵本1」 で、同グラフィック賞受賞。

◆おすすめの読者  ◎ペットを飼っている人、飼っていた人

可愛くも悲しい物語

 ペットをとりまく辛い現状を音楽で伝えるために、舞坂ゆき子さんが考えて、 それをもとにAnd Yuさんが作詞・作曲した「ボクものがたり」という曲がありま した。舞坂さんの透明感ある歌声と、犬の目線でつづられている哀しくて切ない 歌詞が話題を呼んで、静かなヒットとなっています。本書は、この曲がもととな ってつくられた絵本です。 

☆ 音声版では、絵本の一部を朗読でお届けしました。

※引用

  『ボクものがたり』   はじめてきみとあったひ  きみはぼくをだきあげて  「きょうからきみは ぼくのかぞくだよ! っていってくれた

  そして、ぼくに「ちび」って なまえをつけてくれた。   ぼくがいたずらすると、きみはおこるけど、かぞくになれたきがして・・・   うれしいな!

 「ちび、 そんなに しっぽを ふったら ちぎれるぞ!」   って きみは わらうけれど・・・かってに しっぽが うごいちゃうんだ!

  ぼくを なでる きみの て、なんて あったかいんだろう・・・   なんて しあわせなんだろう・・・

  ぼくは なでられるたびに おおきくなっていくみたい。   きみが げんきが ないとき、ぼくは なにも できないけど・・・   ずっと そばに いて きみを まもるからね   だって きみは ぼくの たったひとりの かぞくだもの。

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  このごろ きみは ぼくのなまえを よんでくれなくなった。   ぼくが もう ちびでなくなったからかなぁ・・・   おおきくなってしまったからかなぁ・・・

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      ぼくは へんな おりに いれられた。   「ねえ、 どうしたの? どうして ぼくを おいてかえっちゃうの?」

※引用ここまで

 本書の一部を紹介しました。  以前、保健所に連れて行かれ、殺されてしまう動物(ペット)の話を聞きました。 酸素を抜いて窒息させる方法を取るようですが、非常にショッキングな話でした…。 僕は犬が好きなので、いつか飼いたいと思っていたこともあり、こういう最期を迎 える犬がいるのは、とても悲しい気持ちになります。

いもとさんのあとがきより

 いもとさんがあとがきに綴っている内容を紹介します。

  「捨て犬、捨てねこが毎日、毎日あとをたちません。    どうして捨てるのでしょうか?    動物がきらいな人は、はじめから飼っていません。すきな人が捨てるのです。    家族のようにかわいがっていたのに・・・・・・捨てるのです。    人間としては許されないことです。    わたしはおもうのです。    いま、飼っている人が捨てなければ、    今後、一匹もこんな悲しい動物はでてこないのです。        いもとようこ」

 この文章にはハッとさせられました。ペットを飼うということは、もちろん動物 が好きで飼ったということですよね。だけど、それを捨ててしまうのはどういうこ となのだろう……。どうすれば、なくなるのだろう……。そう思ってしまいました。

◆まとめ  絵本としては、とても可愛らしいイラストがいっぱいで、犬好き、動物好きの方 におすすめしたいと思います。動物が好きな方であれば、それだけに、内容のショ ッキングさ、悲しさに、なんともいえない気持ちになるかもしれません。  しかし、大切なことでもあります。目を背けないで、実際に起っている事実を、 この絵本を通して知ってほしいなと思いました。

ボクものがたり

ボクものがたり

ボクものがたり

家族として過ごしてきたペットが捨てられてしまう。そんな残酷な現実が後をたちません。捨てられたペットがその後、どうなるか知っていますか?辛くて悲しい物語は現実に起こっていることなのです。『「今日から家族だよ」っていってくれたきみが、おおきくなったぼくを捨ててしまう』。捨てられた犬の目線でペットの悲しい現実を訴える、命の尊さを考える絵本です。