だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1430回 「外資で結果を出せる人 出せない人」

世界で通用する人材になるにはどうしたらいいのでしょうか。日本オラクル、アップルジャパンなど外資系企業で30年近く生き抜いてきた著者が自らの経験をもとに、「外資系企業の人はいまどんな状況で働いているのか」「外資で働くとはどういうことなのか」「これからどんな人が生き残り、どんな人が脱落するのか」といったシビアな現実を紹介していきます。

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外資で成功する人の特徴とは

そろそろ大学生のみなさんは、就職先を真剣に考え始める時期ではないでしょうか? その中には、外資系企業を狙っている人もいるかと思います。

今日は、学生のみなさんや、転職先として外資系企業を考えている人、留学や海外生活を経験して外資系企業への入社を希望している人、そして、すでに外資系企業に勤めている人に読んで欲しい一冊をご紹介します。

● 著者プロフィール 山元賢治さんは、1983年神戸大学工学部卒業。日本IBM?に入社。1995年、日本オラクル?へ移籍。その後、イーエムシージャパン副社長を経て、2002年日本オラクル(株)取締役専務執行役員。 2004年には、アップルジャパン(株)代表取締役兼米国アップルコンピューター社セールス担当バイスプレジデントに就任。そして、2009年退社。 現在は、(株)myGengo(まいげんご)社長。コミュニカ有限会社代表取締役。

外資系企業と聞いて、どんなイメージが浮かんできますか? 「若くして責任ある仕事ができる」 「給料がいい」 「早く出世できる」 「世界を舞台に活躍できる」 「すべてが結果重視で評価される」 「実力主義である」 「世界で最先端の製品を作り出している会社で仕事をしたい」 「なんとなくカッコいい」

大方、こんなイメージではないでしょうか? しかし……。

崩れる外資系企業のイメージ

しかし、いまこんな外資系企業のイメージが崩れているというのです。 かつて日本が、すべての面において、“右肩上がり”で成長していて、誰の目から見ても市場として魅力を感じられていた時代には、外資系企業にとって最も進出したい国でした。

しかし、いま多くの外資系企業では、アジア地区統括本部の地位は、シンガポールや中国へと変わってしまったのです。 そのうえ、市場としての魅力も中国、インド、東南諸国へと移ってしまいました。

そこで、外資系企業に漠然と憧れている人をも含めて、外資系企業への就職・転職を考えている人のために、新しい現実に基づいた、いま本当に外資で必要とされる考え方や生き抜き方を伝えてくれるのが本書です。 外資系企業で30年近く生き抜いてきた著者が自らの経験をもとに、「外資系企業の人はいまどんな状況で働いているのか」、「外資で働くとはどういうことなのか」、「これからどんな人が生き残り、どんな人が脱落するのか」、といったことを具体的に紹介してくれています。

これまで日本では、外資系企業で働くことによって得られるメリットが大きい時代が長く続いていました。 海外企業からみても高度成長を続ける日本という市場は魅力的で、投資をする対象であると同時に、日本法人の社員もとても大切にされていたそうです。 しかし、日本の成長が鈍化してきて、中国やインドのようなより魅力的な市場が、加速度的に成長してくることによって、日本法人への期待や位置づけが厳しくなってきました。

外資で働くことの意味

そのことによって、これまで当然のように日本に存在してきたアジア地区統括本部が、シンガポールや中国へ。 製造部門や、研究開発部門も日本からどんどん離れていってしまいました。 広告宣伝にしても、以前は日本法人で独自のメッセージを作りだしていたものが、 世界共通のものを日本語に翻訳して使用するということが多くなってきたそうです。 そして、日本に残されたのは日本の顧客に売り込むための営業部門だけという寂しい状況に陥っています。 今後、大きな成長が期待できない日本の扱いはどんどん厳しくなっていくといえるでしょう。そのうえインターネットの普及によって世界中のどこからでも商品が購入でき、あえて外資系の日本法人つくる意味もなくなってしまいます。 コールセンターでさえも日本につくる必要性がなくなってきているのです。

だったら、外資系企業で働く意味はないんじゃないか? そう思ってしまいそうですが、著者の山元さんは、このような厳しい状況を前提としても、「外資系に勤めるメリットは十分にある」と、言い切ります。 なぜなら、意思決定やドキュメンテーションのスピードをはじめ、日本で著しく遅れている数多くのスキルを外資系企業では身につけられる、というのです。 それらを身に付ければ、たとえ外資系から離れることがあっても、起業や中途採用でいままでのキャリアを活かすチャンスがどんどんひろがっていくのだと。

本の中では、外資系の会社のしくみ、外資系企業の仕事の進め方、外資系企業での人事評価、人材育成といった、誰もが知りたかった外資系企業の全てが書かれています。 外資系の最新の状況、厳しさ、働き方、仕事の進め方、給与体制、生き残る人と脱落していく人との違い、最低必要スキル、外国人のボスに仕えるということはどういうことなのか、外資系企業が向いている人とは? といった細かいことまで知ることができます。

外資系企業に向いている人ってどんな人?

山元さんによると、外資系企業に向いている人は、

○とにかくいろいろなことに挑戦したい ○コミュニケーション能力が高い ○チャーミングさを感じる ○あまり被害者意識を持ちすぎない。毎日のように変化は起こると割り切ることができる ○伝道師としての匂い、雰囲気、知識、カリスマ性のようなオーラ ○心の中心部分では、日本や日本人の暮らしをよくしたいという気持ち

どうですか?みなさんは外資系企業に向いていそうですか? でもこれって、外資系企業だけでなく、成功する人の条件なのかも。

そして、山元さんは、こうも仰っています。 「向いているかも重要ですが、それ以上に外資系に入って働きたいという本人の強い思いが重要であることは言うまでもないでしょう」(P175より抜粋) 「外資系企業で勤めるということは、やはり厳しい道を選ぶということでしょう。成長、成功して当たり前という捉え方が基本です。すべてが結果重視であることも確かです。しかし、外資系企業で厳しい体験をすることによって「得るもの」は、その辛さの何倍もの大きさに匹敵すると思います」(P201より抜粋)

この本を読むと、外資系企業で勤める人ばかりでなく、国内企業で働く人にも同じように必要な考え、必要なスキルなのではないかと感じます。 働く人全てに読んで欲しい一冊です。

外資で結果を出せる人 出せない人

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外資で結果を出せる人 出せない人

外資で結果を出せる人 出せない人

世界で通用する人材になるにはどうしたらいいのでしょうか。日本オラクル、アップルジャパンなど外資系企業で30年近く生き抜いてきた著者が自らの経験をもとに、「外資系企業の人はいまどんな状況で働いているのか」「外資で働くとはどういうことなのか」「これからどんな人が生き残り、どんな人が脱落するのか」といったシビアな現実を紹介していきます。