だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1407回 「グリーン・オーシャン戦略 ―「恩」を次の世代につなぐ経営実学」

環境ジャーナリストおよびコンサルタントとして多くの実績を持つ中野博さんが、現代社会におけるCSRのあり方や「共感」経営について纏めた一冊。「グリーン・オーシャン戦略と題し、「環境事業」と「企業活動」をつなげる戦略について書かれています。多数の企業のCSR実践例も掲載されており、CSR担当者や経営者は必読の一冊です。

新刊ラジオを購読する方はこちら

読む新刊ラジオ 新刊ラジオの内容をテキストでダイジェストにしました

企業が考えるべき「エコ」とは?

あなたは「エコ」っていうと、どんなイメージですか?

矢島さんは、大学時代、「環境保全」「環境保存」「エコ活動」「地球環境」「環境社会学」などなど、エコに関するアカデミックな授業を受けてきたそうです。

しかし、実際に社会に出てみると、「利益追求」的なビジョンを目にする事が多く、「エコ=地球のために必要だけど、資本主義とは相反する」ものなのかなぁ? なんて思ってしまい、結果として、企業のCMなどで「環境に配慮しています」と聞くと、「そういうイメージ戦略なのか〜」と懐疑的な目で見てしまうクセがついてしまったのだとか。

今回、紹介する「グリーンオーシャン戦略」は、エコと企業活動を上手く組み合わせた主張した本。学者的な「地球環境への配慮」と、企業的な「戦略思考」がミックスされているのが特徴的な一冊です。

● 著者紹介 中野博さんは1964年愛知県生まれ。計7回の転職を経て1998年にエコライフ研究所を設立、1999年以降、本日まで500社を超える企業に環境事業の指導にあたる。 環境と建築、健康問題などを軸にした環境ジャーナリスト、及び、環境事業を主眼においたコンサルタントとして多くの実績を持つ方です。

本書ではとりわけ、中野さんが環境の専門家として取材・分析してきた企業のCSRについて多く触れられています。

グリーンオーシャン戦略とは?

●本書で中野さんが主張している、グリーン・オーシャン戦略の定義は次の3つです。

1.自然との共存共栄 自然の恵みに感謝して、節約または代替可能なものは出来る限り早期に対策を講じて、限りある地球の資源を有効活用する。自然を守るとともに、企業や個人の力で未来への恩送りとして、積極的に森を育てるなど「自然を育むこと」を実践し、自然と共存共栄していくことをミッションとする。

2.環境への悪影響の削減に努める 未来に起こりうる可能性をさまざまな角度から予測し、最悪のシナリオまで想定したリスクを計算し、企業または個人としてできうる限りリスクの削減に努める。ここでいうリスクとは、因果関係が明らかに認められる場合を指すだけでなく、人間および地球環境への影響が可能性として考えられることも含む。「疑わしきは製造しない、使用しない、売らない」という姿勢が重要である。

3.「人と地球にやさしい」社会を作ることを根幹とする 企業は使用している自然の恵みや地球の資源、エネルギーなどの活用について包み隠さずに情報公開を行い、消費者とともに愛情を持って、持続可能なモノづくりやサービスを推進する。この情報公開により多くのステークホルダーとともに、「人と地球にやさしい」社会を作ることを企業活動および個人のライフスタイルの根幹とする。

● CSR=社会貢献ではない。

本書の3章から4章で語られている、CSRについて。

中野さんは、世の中ではまだ、「CSR=企業による善行」と捉えられていて、本業とは別だという意識が根強く感じるといいます。また、あるいは、ただの社会貢献はCSRとは認めない、という両極端な意見もあるそうです。

しかし、そうではなく、CSRとは、一定の方針に基づき戦略的にすすめるべきもの。企業の強みや特徴を活かしたもの。そして、ステークホルダーとのコミュニケーションを大切にすること。NPOなどとの協働を働きかけながら進めるべきもの。 つまり、社会にとっても企業にとっても価値のある社会貢献活動だといいます。

グリーン・オーシャン戦略 ―「恩」を次の世代につなぐ経営実学

※クリックで移動します

グリーン・オーシャン戦略 ―「恩」を次の世代につなぐ経営実学

グリーン・オーシャン戦略 ―「恩」を次の世代につなぐ経営実学

環境ジャーナリストおよびコンサルタントとして多くの実績を持つ中野博さんが、現代社会におけるCSRのあり方や「共感」経営について纏めた一冊。「グリーン・オーシャン戦略と題し、「環境事業」と「企業活動」をつなげる戦略について書かれています。多数の企業のCSR実践例も掲載されており、CSR担当者や経営者は必読の一冊です。