住んでる人の性格は家と土地が教えてくれる
著者:平田 真義
出版:自由国民社
価格:1,650円(税込)
著者:平田 真義
出版:自由国民社
価格:1,650円(税込)
近所付き合いが昔と比べて希薄になったと言われる今の日本。
隣の家の住人との交流がないどころか、あいさつすらほとんどしたことがない。隣人の顔も知らない、といったケースもままある。ただ、無用なトラブルを避けるためにも、自分の隣にはどんな人が住んでいるのかは知っておいた方がいいだろう。
近所付き合いがなくても大丈夫。家を見れば住人の性質はある程度把握できるのだ。
表札、駐車場、窓、庭、ベランダ。これらはいずれも、住人がどんな人間かを類推するヒントになる。
心理学と、私の膨大なお宅訪問の経験をかけ合わせ、分析を重ねた結果、ある程度ではありますが、「ふた(玄関)を開ける前に住人のことがわかるようになってきました。(『住んでる人の性格は家と土地が教えてくれる』より引用)
『住んでる人の性格は家と土地が教えてくれる』(平田真義著、自由国民社刊)は、土地家屋調査士としてこれまで2000軒以上の住宅を訪問してきた著者が、家の外観と住人の性格との関連性を探っていく。
敷地内にゴミが散乱し、「ゴミ屋敷」と化した家の住民は、はたから見るといかにもずぼらでだらしなく、コミュニケーションがまともにとれなそうに思える。しかし、そのイメージは正しいのだろうか?
たとえば、本書で「住人の心がわかる」とされているのが庭。曰く「広い庭のある家に住む人は心に余裕がある」とのこと。
ここでいう「広い庭」とは単に面積を指すものではなく、「余白」の広さを示す。庭自体が広くても木や草が生い茂ってジャングルのようになっていたり、使っていないものがてんこ盛りになっている庭の家は、住む人の心にも余裕がない。著者の訪問先の一つに、庭にモノであふれた物置が3つもある家があったという。その家の住人は落ち着きがなく、バタバタと常に動き回っている、お世辞にも「心に余裕がある」とは言えない人物だった。
逆に一坪程度の庭でも、整然としていて「余白」がある庭であれば、そこに住む人も余裕があり、好感を持てる人が多いようだ。
また、マンションやアパートなど集合住宅の共有スペースも、そこにどんな人が住んでいるかを推し量る手掛かりになる。
エントランスや共用廊下、共用階段、外階段、ゴミ置場、敷地の庭といった共用部分に堂々と私物が置いてある家は要注意。具体的には共用廊下に自転車やベビーカー、傘などを置いている家である。
多くの集合住宅では共用部にものを置くことは禁止されているはず。こうした部分は災害時の避難経路として使われるからである。
物件のルールを無視して私物を置く住人はどんな人かは推して知るべし。共用部を他の住人も使うスペースだということをわかっていれば、本人なりの事情があろうとも、身勝手に私物を置いたりはしないものだ。
◇
家はそこに住む人の性質や気質を雄弁に物語る。
ベランダに洗濯物が干しっぱなしの家。
あまりにも塀が高い家。
表札が大きすぎる家。
これらの家にはどんな人が住んでいるのだろうか?
あなたが隣の家の人と交流がなく、どんな人が住んでいるかわからないなら、本書はきっとその人柄を知るためのヒントをくれるはずだ。そして、これから引っ越しをしたり家を買う人にとっても役立つ一冊である
■自宅訪問2000軒以上!土地家屋調査士が見た「家の外観」と「住人の人となり」の関係
平田: 私は「土地家屋調査士」というあまり知られていない国家資格を持っているのですが、日々の仕事の一つに隣接する土地の「境界線」を確認していく作業があるんです。その際に、依頼者とその近隣の方のお宅を訪問して、両者に立ち会っていただいたうえで境界を確認していくんですけど、日程の都合で依頼者や近隣の方が立ち会えないケースがあるんです。
そういう際に、けっこうお隣さんへの不平不満を聞かされるんです。たとえば、隣の家の木がうちの方までせり出してきていて、落ち葉の掃除が大変とか、お隣の車の停め方が悪くてこちらの敷地に入ってしまっている、といったことです。
本来、お住まいは憩いの場のはずなんですけど、そのお住まいがストレスの原因になっていることが多々あるということを仕事を通して経験しているので、それをお伝えしたいと思ったんです。
平田: たとえば一つの土地を兄弟で分けたり、一部を売ったりといった時に、「分筆」といって土地を切り分けていく作業をします。あとは建物の登記をやったりもしますね。
平田: そうですね。不動産会社を経由して依頼がくることが多いです。
平田: 先ほどお話ししたように、土地の境界を確認するために依頼者やその隣人の方に立ちあっていただくケースが多いのですが、となるとこの仕事は知らない人のお宅を訪問する機会が必然的に増えます。
ただ、私自身ものすごい人見知りで、インターホンを押すのが怖かったんです。だから、押す前にご自宅の外観から、どんな人が住んでいるのかを一度想像してから訪問するのが習慣になって、それを積み重ねるうちに、お家をパッと見てどんな人が住んでいるのかが何となくわかるようになりました。
結構、精度高く予想できるようになったので、いろいろな人に話したら「それおもしろいね」と言っていただけるようになった、というのが経緯ですね。
■「ゴミ屋敷」の中から聞こえた音の正体は…
平田: いわゆる「ゴミ屋敷」に住んでいる人は、意外な人が多かったです。これまでに5軒ほど経験があるのですが、ゴミ屋敷から想像するような「クレイジーな方」というのは案外少なくて1軒だけでした。あとの4軒はまったく普通というか、常識的な方ばかりでした。
平田: 庭が廃品だらけという感じですね。生ごみが放置されているというのではなくて、いわゆる「不燃物」で散らかっているという。
たとえば乗れなくなった自転車だとか、物干しざおや物干し台とか、あとは使わなくなったボードゲームだとか。不用品が捨てられずに庭いっぱいに放置されているという感じです。
平田: 庭を見るともう手の付けようがない状態なんですけど、お話すると、自分より他人に一生懸命になってしまったり、あまりに多忙そうだったり、自分を犠牲にしてでも他人に尽くしてしまう人なんじゃないかと思わせるものがありました。まじめな方が多い印象ですね。
平田: すごかったですね。インターホンを押しても全然出てきてくれなかったんですけど、耳を澄ますと家の中で大音量で何かを聴いていて、それがよくよく聞くとアダルトビデオなんですよ。
すいません、と呼びかけたら出てきてくれたんですけど、顔を合わせるなり「帰れ!」と。家の中もゴミだらけですさまじい状態でした。その後も何度かうかがったんですけど、結局お話することができずじまいでした。
平田: そうですね。訪問する日時は事前に書面でご案内していますし。ただ、今年に入って強盗事件が多発したこともあって、居留守を使われることもあります。
平田: 家の古さや新しさ、大きさにかかわらず、家や庭を大事にされていて、手入れが行き届いている人は、訪問してもやはり丁寧に対応してくださいますね。特に庭は心の中を投影すると思っています。
平田: 一度だけ経験があるのですが、監視カメラがやたらとあちこちについていて、塀に有刺鉄線が張られているお家を訪問したことがありまして、どんな人が出てくるのかと思ったら、見るからに“その筋の人”らしき方が出てきた時は怖かったです。
事情をお話ししたら「ああ、そういうことね」と了解いただいて、立ち会っていただけたのですが。
平田: 集合住宅の場合は共用部分を私物化している方は注意した方がいいかもしれません。程度の問題だとは思うのですが、露骨にスペースをふさいでいるようだと、住んでいる人は自己中心的な方だと考えられます。
戸建てについても基本的には同じで、庭の木があからさまに自分の家の方にはみ出していたり、廃品が度が過ぎるレベルで捨てられていたりといった家ですね。「自分さえよければいい」という考え方は不動産にあらわれるんです。そういう家の見た目から得た印象というのは大事にした方がいいと思っています。
平田: 自宅はやはり憩いの場であるべきで、ストレスなく過ごせるのが一番ですが、そのためには隣にどんな人が住んでいるのかっていうのは大事な要素ですし、知らず知らずのうちに自分がお隣に迷惑をかけている可能性もあるわけです。そういったことにこの本を通じて気づいていただけたら、著者としてはうれしいですね。
(新刊JP編集部)
平田 真義
平田登記測量事務所代表。土地家屋調査士。住環境プロファイラー。日本メンタルヘルス協会心理カウンセラー。
人見知り、小心者、コミュニケーション下手を自覚していたことで失敗を重ね、上司との不仲やパワハラなど、落ち込んでばかりの社会人生活を経験。測量事務所などで実務研鑽後、2005年、土地家屋調査士として独立開業。
開業後、依頼者の土地と近隣との境界線を確認していく作業の中、ご近所同士の不仲、不平不満等に巻き込まれ、軽度の対人恐怖症に陥る。近隣と自分自身のコミュニケーション術をマスターするには「心理学を学ぶしかない!」と思い立ち、日本メンタルヘルス協会の心理カウンセラー資格を取得。人間性を中心とした心理学を学び、近隣関係者との土地境界確認業務に取り入れる。
延べ2,000人以上から依頼を受け不動産を測量する中で、訪れる物件ごとに「どんな人が住んでいるのか」の考察と答え合わせを繰り返し、住人の特徴がわかるようになる。累計20,000枚以上の土地・建物に関する測量図面の作成に尽力。
著者:平田 真義
出版:自由国民社
価格:1,650円(税込)