さよならジュード
著者:SAKURA
出版:幻冬舎
価格:1,430円(税込)
著者:SAKURA
出版:幻冬舎
価格:1,430円(税込)
いけないことだとわかっているのに既婚者に惹かれてしまう。
既婚者なのに、パートナー以外の誰かに恋をしてしまう。
結婚制度は強力だが、制度で人の感情まで縛れるわけではない。不倫が原因で仕事を失ったり、慰謝料その他で大金を失ったりと、不倫の怖さを示すエピソードには事欠かない昨今であっても、不倫はけっしてなくならないのだろう。
「惚れた弱み」という言葉があるように、恋愛関係では惚れたと惚れられた側で立場に微妙な上下がついてしまうことがある。不倫関係も同様。大変なのは「既婚者に惚れてしまった側」だ。
『さよならジュード』(SAKURA著、幻冬舎刊)は既婚者であるイギリス人との不倫関係の始まりから終わりまでをつぶさに描いた物語。あまりに赤裸々で生々しい描写に目を背けたくなるのだが、続きの展開も気になる、不思議な作品だ。
シングルマザーとして9歳の子どもを育てていた「私」は、子ども同士の交流を通じて、友人の一人の父親だったジュードと知り合う。ジュードは日本で暮らして12年目になる国際弁護士。妻との間に3人の子どもがいたが、浮気を繰り返す妻に愛想を尽かし、愛情を失っていた。そんなジュードに「私」はのめり込んでいく。
「離婚して一緒になりたい」
そんなジュードの言葉を信じて、仕事で多忙をきわめる彼の都合に極力合わせる形で交際が進んでいく。私はたしかな幸福感を抱いていたのだが、相手から連絡がないことに不安をおぼえたり、LINEのやりとりでのちょっとした一言に傷ついたり、徐々に精神的に不安定になっていく。その意味では、「私」は恋愛の上下関係の「下」である。
かすかにひっかかりを覚えるできごともあった。妻に対して愛情を感じていないようだったジュードだったが、付き合い始めて少し経ったある時、実は妻が妊娠中であることを告げられた。4人目の子どもである。
「私」は徐々にジュードが信じられなくなっていく。あろうことか「5人目」を計画していると知った「私」はついに、ひそかに避妊をやめ、ジュードの子どもを身ごもることを決意。やがて妊娠した「私」だったが、そのことを告げてもジュードが喜ぶはずもない。慌てふためき、「それが二人のため」という理屈で強硬に中絶を勧めるジュードに「私」はさらなる不信感を募らせる。出産を頑として譲らない「私」に、ジュードは驚愕の行動に出る……。
不倫で苦しむ人に対して「さっさと別れればいい」と口で言うのは簡単。本人もわかっているが、それができないからこそ苦しいのである。そして独身者と交際する既婚者は、身勝手にならざるをえない。どんなに優しかろうと、気遣いができようと、家庭を捨てていない以上、身勝手であることから逃れられる既婚者は存在しない。その身勝手さに相手は傷ついていく。
不倫は未来のない不毛な恋と言われる。報われることが期待できない恋はつらいが、だからこその輝きも、おそらくあるのだろう。不倫の恋の蜜の味も、その何倍もある苦味も、両方を堪能できる一冊だ。
(新刊JP編集部)
■愛人だからこそ伝えられること
SAKURA: いえ、実は実体験なんです。
SAKURA: それが創作の部分はなくて、全部実話です。既婚者の男性とお付き合いしていたのですが、その当時のメッセージのやりとりを本にしたようなものなので。
SAKURA: 履歴を残していたから書けたというのはあります。膨大すぎてまとめるのが大変でした。
SAKURA: 見てくださっている方はほとんど女性なのですが、当時の私と同じように既婚者と不倫していて悩んでいる人とか、復讐を考えている人もいます。相談してくださったりもします。
SAKURA: 相談してくださる方の気持ちは痛いほど分かります。私も同じでした。なので 話を聞くたびに相手の男性に対して怒りも湧いてきます。良い事は言わず、私が思った事 をお伝えさせて頂いています。そしてただ「自分を大事にしてほしい」ということは伝えています。ボロボロになってまで我慢しないで、って。
SAKURA: 最初言っていたことからズレて、5人目が生まれてからは、離婚して自分の方 に来てくれる可能性なんてもうほぼないと分かりました、それでも相手が甘い言葉をかけてきたので数パーセントの希望にすがってしまうことはありました。
SAKURA: 自分のなかでは辛い経験だったのですが、衝撃的なこともありましたし、見る側としては、ハラハラ、ドキドキという感情で読んでもらえるのではないかと思って書きました。
またSNSを見ていると、いわゆる「サレ妻」みたいに、不倫されている側の情報発信は多いのですが「愛人側」の発信は少ないということもありました。たとえそれで嫌われることがあっても自分の体験を書いてみようかなと。
当時の私と同じような状況で悩んでいたり傷ついている人が、読んですっきりした気持ちになったり前向きになれたらいいなと思います。不倫の悩みはあまり人に相談できず、一人で抱えやすいので。
SAKURA: 途中から相手のことは信用できなくなっていたのは確かですが、それでもスパッと諦められないのは、やはり心の整理や相手の見極めがどこかでできていなかったのでしょうね。これまで誰もしてくれなかったことをしてくれたり、特別な思い出があったのも事実なので。
信用できる相手ではない。結婚するのも難しい。でも「このまま一生愛人でもいい」と思う瞬間もある。こういう気持ちの間で揺れていた気がします。
SAKURA: SNSを見るのはやめられなかったです…。毎日見てしまっていました。それをはじめたあたりから自分がおかしくなってしまったんですよね。
SAKURA: たしかにそうですね。子どもの活動を通して初めて会って、その後ばったり再 会して付き合い始めたのですが、その再会がなかったらどうなっていたのかなと思うこと はあります。男性の不倫をする瞬間とかきっかけってそんなに大きな事じゃないかもしれ ません。
SAKURA: 最初のデートの時は愛人で良いというか、あなたの家庭を壊す気はないとは言 いました。しかし、愛人以上になったのは早かったと思います。そして、その流れを当時自分が感じていた思いや気持ちを読者の方にも感じてもらえるように気をつけて書きました。
そしていつも「愛している」と言ってくる人がなぜこんなにひどいことをできるのか、どうしてこんなに精神的に不安定になるのか。結局最後は裏切られてしまうのですが、その時の気持ちもできるだけリアルに伝えられたらいいなと。
SAKURA: 相手次第と、こちらが相手に対する愛情の度合いと相手との関係性でしょうね。たとえば私がジュードの他にも何人かと付き合っていて、ジュードの優先順位が一番じゃなかったとしたら、もしかしたらジュードも私も不倫という関係性をずっと楽しめたのかもしれません。私は私で他の人もいるし、ジュードも家庭があるしということで、「お互いのタイミングがいい時に会えればいいや」と。
あとは、相手(既婚者)への愛情の割り切りができると長続きしやすいのかもしれません。割り切りができず、私の愛情が高まっているだけだと愛情が執着や嫉妬に変わってしまう。執着や嫉妬ってもはや愛情じゃないですからね。
SAKURA: そうですね。一方で、こっちに「愛している」といいつつ、家庭では幸せそうに過ごしているのも見えるんです。それを指摘すると「僕の気持ちなんてわからないくせに」と。そうなると「じゃあ別れてよ」という話になって。その繰り返しでした。
SAKURA: 実はInstagramで続きを公開する予定です。「sayonala_jude」で検索すると読めると思います。
■「不倫相手はあなたのことを本当には思っていない」という真理
SAKURA: 最初の2年間は彼のウソのおかげで天国でしたし、次の2年間は彼のウソで地獄でした。5年目で復讐して終わりにしたという感じです。
SAKURA: 色々な男性を見てきましたが、上手に不倫する人もいるんですよね。彼らはどうしているかというと、やはり愛人のこともちゃんと面倒を見るんですよ。「愛している」っていう言葉だけじゃなくてね。
既婚者が独身者と恋愛するということは、相手の時間を無駄にしている部分があるじゃないですか。だから結婚してあげられないのなら、その代わりに経済的な面倒をみるとか、そういうことで釣り合いをとるんです。
SAKURA: そうですね。おいしいお店に連れて行ってくれたりはしたんですが、そういう時は会社のクレジットカードを使っていましたし、彼は出張で日本に来ていたので、基本的に彼自身の懐は痛まないんです。だけど会いに行く私の方はお金がかかるわけですよね。そこの配慮はなかったですね。
SAKURA: 銀行口座が夫婦一緒のものだったので、大金を下ろしたりしたらすぐ奥さんにバレてしまう状態だったんですよね。
SAKURA: そこは奥さんが厳重に管理していたようで、全部握っていないと気が済まない人だったようです。彼が日本にいた頃は多少自由になるお金はありましたが、彼がNYに異動になってからは自由になるお金はそう無かったです。奥さんは彼を疑ったら、携帯電話 もいつでも取り上げるし、完全に奥さんに管理されていましたね。
SAKURA: 逆らえないんですよね。私と付き合うことになったのも、もともと奥さんの不倫があったからだと聞いていたのですが、それでも彼の立場は弱かった。「別れたい」ということは常々言っていたのですが、一生無理だろうなと思っていました。
SAKURA: そうですね。あの事があったから復讐を考えるようになったんです。
SAKURA: 最終的に保身に走っていましたよね。結局流産してしまったのですが、その後に「こうなったからには二人の愛にフォーカスしたい」と私は言いました。そして「私が(ジュードの暮らす)アメリカに移住しようかな」と言ったら、それはダメだと。「僕に子どもと離れろって言うの?」と言われました。
SAKURA: それはあるでしょうね。
SAKURA: これは本人だけでなくて、相手の問題もあるんですよね。相手が既婚者だった場合、向こうは家庭で奥さんにもらえないものを求めてくることが多いんです。よくあるのが、奥さんや夫をもうセックスの対象として見られない、というケースです。そうなると自分というよりも向こうが「本気」になってしまうことがあります。
「遊び」で済ませられる人は、態度で示せる人なんじゃないかと思います。「〇〇ちゃんとは遊びだからね」と相手にちゃんと言う。それであれば相手もわかるじゃないですか。「なんでこの人の遊びに付き合わないといけないの?」となったらそこで関係は持たないでしょうし、それでもよければ続いていく。
そうやってはっきりした態度をとらないで、何かしらの「将来」をほのめかしたり、「妻とはもう終わっている」みたいなことを言ったりして、相手に期待させてしまうと深みにはまってしまうケースが多いんじゃないかと思います。
SAKURA: 私の場合も向こうが「奥さんに何度も浮気されて、でも君と出会って君を愛するようになった」と、表現豊かに言ってくるわけですよ。確かにそれは本当だった としても、だったらちゃんと言った通り離婚しようよって。それを何だかんだの嘘と現実 で彼はしなかったんです。
SAKURA: 偉そうにアドバイスできる立場ではないのですが、一ついえるとしたら「今苦しい不倫なら、これからも苦しいままの可能性が高い」ということです。今現在、ちょっとの喜びのためにたくさんの犠牲を強いられているのであれば、一度深呼吸をして考え方やものの捉え方を見直した方がいいと思います。幸せになる選択肢はたくさんあるので、視野を広くもっていただきたいです。
あとは、私自身もそうだったのですが、相手を甘やかす状況を作ってしまったんですよね。仕事で忙しい相手に私が合わせてしまったり、既婚者である彼の都合を全部飲んでしまったところがありました。これは今考えるといいことではなかったと思います。
たとえば、相手が離婚を匂わせているのなら「ここまでは待つけど。この時期までに離婚しないならもうおしまいね」という風に「締切り」をもうけたりして、自分だけが我慢する環境にならないようにしていただきたいですね。結局、甘い言葉よりも行動の方が多くを語るので。
SAKURA: そうですね。あとは自分を一番に労わってほしいです。不倫相手はあなたのことを本当に思っているわけではないので。だから、不倫相手よりも自分のことを大切に思ってくれる友達とか周りの人を大切にしてくださいね。
(新刊JP編集部)
SAKURA(サクラ)
東京生まれ。学生時代をNYで過ごす。
帰国後就職、結婚し、一児を出産するがその後離婚。
シングルマザーとなり数年後、約5年間の不倫を経験。今に至る。
Instagram:sayonala_jude
著者:SAKURA
出版:幻冬舎
価格:1,430円(税込)