書評

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難関試験、仕事、新たな挑戦。
なにかしらにチャレンジをすれば、必ず壁にぶち当たったり伸び悩んだりすることがあります。

それを乗り越えるためのモチベーションは人によってさまざま。しかし、その動機の内容は結果に大きく反映することがあります。

司法試験といった難関試験に合格できる人たちには共通している点がある、と語るのはオンライン講座を提供する資格スクエア代表の鬼頭政人さん。

鬼頭さんは新著『資格試験に「忙しくても受かる人」と「いつも落ちる人」の勉強法』(大和書房刊)で、自分自身の経験、そして難関試験に挑むたくさん受験者たちを見てきた中で気付いた、試験に「受かる人」と「落ちる人」の行動・習慣の違いを説明しています。

その違いの一つは、こんなところにあらわれるようです。

■合格をしたいなら「欲望に忠実であれ」

「弁護士になって社会の役に立ちたい」「弱者を助けてあげたい」

これは素晴らしい心意気です。弁護士は司法試験という超難関試験を突破しないと就くことのできない職業であり、「困っている人を助ける仕事」というイメージもあるでしょう。

ところが、鬼頭さんに言わせれば、こうした面接の模範的な理想論で試験に立ち向かうと、効果が出ることが少ないのだそうです。

では、どういうモチベーションが最後までやり抜く力をもたらすのか。

答えは抽象より具体、理想よりも「ゲス」です。

「弁護士になったら初年度の年収1200万円!」
「弁護士になったらタワーマンションに住める!」
「弁護士になったら合コンでモテモテだ!」
「弁護士になったらフェラーリに乗れる!」

こうした欲望むき出しのモチベーションのほうが、維持をするためには効果的なのだといいます。

もちろん、こうした欲丸出しの動機に対して批判をしてくる人もいるでしょうから、口に出す必要はなく、心の中で思うだけでかまいません。自分の欲を積極的に利用することが試験をクリアするための重要なモチベーションになります。

ただ、これは理想論を否定する考えではありません。抽象的な目標を持つよりは、具体的な目標を持つことが大事だということです。

司法試験ならば、例えば最初から裁判官や検察官になるという目標がある人はそう簡単に折れることはありません。自分の欲望に対して迷いなく突き進めるかどうか。そこが重要になるのです。

■「なんとなく使えそう」では難関試験は合格できない

この他にも、全部で50個の「受かる人」「落ちる人」の特徴が紹介されています。

「合格者の体験談を鵜呑みにする人は落ちる」
「合格する人はしっかり睡眠をとる」
「長所を伸ばそうとする人は落ちる」

鬼頭さんは本書の最後に、「なぜその試験に受かりたいのか?」という問いに対して明確な答えを持っていない人が多いと指摘します。

「なんとなく取りたい」「仕事で使えそう」「転職が有利になるかもしれない」。こうした曖昧な動機は全力を出し切らなければいけないときに、足かせになる可能性があります。

本気で挑み、栄光を勝ち取るために何が必要なのか、本書が教えてくれるはずです。

(新刊JP編集部)

書籍情報

目次

  1. 第1章心構え編
    1. 受かる人はヤマを張る。落ちる人は全部やる。
    2. 受かる人はナルシスト。落ちる人は謙虚。
  2. 第2章計画・マネジメント編
    1. 受かる人は分単位で計画する。落ちる人は月単位で計画する。
    2. 受かる人はスタート時に頭を使う。落ちる人はスタート時にパワーを使う。
  3. 第3章生活習慣編
    1. 受かる人は外で勉強する。落ちる人は家で勉強する。
    2. 受かる人は出題者と友達になる。落ちる人は出題者を敵にする。
  4. 第4章勉強テクニック編
    1. 受かる人は過去問を先に解く。落ちる人は過去問を後に解く。
    2. 受かる人は知識の穴をふさぐ。落ちる人は知識を増やす。

プロフィール

鬼頭 政人

1981年生まれ。開成中学、開成高校を経て、現役で東京大学文科I類(法学部)に合格。
卒業後は慶應義塾大学法科大学院に進学し、在学中に司法試験に一発合格。
司法修習を経て都内法律事務所に弁護士として勤務。ベンチャー企業を支援したいとの思いから投資ファンドに勤務した後、2013年12月、資格試験対策をオンラインで提供する「資格スクエア」を創業。著書に『頭のよさとは「ヤマを張る技術」のことである』(KADOKAWA)、『結局、ひとりで勉強する人が合格する』(幻冬舎)がある。

インタビュー

11月には行政書士、日商簿記といった大型資格試験の試験日が控えており、合格を目指して勉強をしている人も少なくないはずだ。

しかし、試験には「受かる人」がいれば「落ちる人」もいる。

「弊社では資格試験のためのオンライン講座を提供していますが、やはり合格できない人にはそれなりの理由があるものです」

そう語るのは、『資格試験に「忙しくても受かる人」と「いつも落ちる人」の勉強法』(大和書房刊)の著者であり、資格試験のオンライン講座「資格スクエア」の代表である鬼頭政人さんだ。

前著『開成→東大文I→弁護士が教える超独学術 結局、ひとりで勉強する人が合格する』(幻冬舎刊)から1ヶ月という短い期間で出版された新刊は、試験に受かるための方法を50のTIPSとしてまとめた一冊。「明日から使えるテクニック」を重点的に書かれたという。

では、試験に「受かる人」と「落ちる人」、決定的に違う部分は一体どこにあるのだろうか? 鬼頭さんのインタビューをお伝えする。

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――「合格できないにはそれなりの理由がある」というのは、どういうことが挙げられますか?

鬼頭:例えば、予備校あるあるになってしまいますが、『この試験を受けよう!』とテンション上がって入金するものの、それで満足してしまう人はいます。また、講義を聞いただけで終わりという人もいますが、まあ受かりにくいですよね。勉強を続けられないから。

聞いただけで、読んだだけでやった気になっているのは、どんな予備校に通おうが、テキストを読もうが難しいです。一方、自分なりに工夫ができる人は試験に合格する可能性が高くなります。

――この本でも読み取れますが、受かる人は戦略的に勉強していますよね。ただ、大半の人はそれができていない。

鬼頭:そもそも勉強が習慣化できていないと続けることはできません。

でも、勉強を習慣化するためには、ある程度の期間、体に染み込ませる「辛抱の時間」が必要です。その辛抱に耐えられない人が多いように見受けられます。

では、どうすればいいかというと、仕組みや決めごとを自分で作る。少しばかりプレッシャーをかける。そうやって辛抱の時間を過ごすわけです。

――なるほど。少しずつ習慣化していく、と。

鬼頭:そうですね。筋肉と一緒で、ベンチプレスで30キロしか上がらない人が、いきなり100キロ上げようと思っても上げられないじゃないですか。

32キロ、35キロと少しずつ上げられるようになっていくのが本当のやり方で、習慣化し、戦略的にやっていくことで100キロに辿り着くことができるようになるんです。

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――「自分にプレッシャーをかける」というところは、このTIPSの中に出てくる「背水の陣を敷く」というものに結び付きますね。これまでに見てきた「背水の陣」にはどんなものがありますか?

鬼頭:そうですね…。受からなかったら故郷に帰るとか、あとは受かるまでは結婚しないという人もいましたね。5回目までに合格しなかったら諦めるとか、5回目制限をかけるとか。いかに腹をくくるか、というのがポイントです。

――「受かる人は短所を補う、落ちる人は長所を伸ばす」という項目も面白かったです。これは反対だと思っている人もいると思いますが。

鬼頭:長所を伸ばすというのは、スポーツや普段の仕事においては大変重要なことです。強みを磨いていかないと勝負できない。

ただ、ここで言っているのは資格試験であり、仕事をするための前段階、その集団に入るための足切りをする場所です。つまり、仕事をする上で最低限必要な能力が求められているので、短所があるとそこが大きな足かせになってしまうんです。

――だから、短所を補う発想が大事なんですね。

そうです。例えば東京大学に入るためには、数学が苦手でもある程度点数を取る必要があります。それは得意不得意関係なく、基本的な水準が求められるんですね。

だから、得意なことばかり勉強してしまう人は合格できない。確かに得意なことをやっていれば楽しいし、すいすい進むからそればかり勉強したくなるのでしょう。でも、それでは落ち続けるだけです。

勉強をしていて「急激に伸びる人」は一体何が起きているのか?

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合格する人と落ちる人の違いはどこにあるのか――。

『資格試験に「忙しくても受かる人」と「いつも落ちる人」の勉強法』(大和書房刊)の著者であり、オンライン講座の資格スクエアの代表である鬼頭政人さんは、東京大学や司法試験などの難関試験を突破してきた自身の経験や、身近で接してきた人々を振り返りながら、本書で受かる人と落ちる人の差について説明している。

もちろん運もあるのかもしれないが、いかに準備ができているか、ちゃんと勉強を習慣化し、戦略的にやってきたかというところが、その結果を左右する大きなポイントになる。

資格試験に向けて今勉強をしている人、これから勉強を始めようとしている人含めて、参考にしたいインタビュー後編をお伝えしよう。

――前編では勉強を習慣化するための考え方や方法についてお聞きしました。そうやって続けていく中で、急激にレベルアップする瞬間があると思うのですが、そのきっかけはどのようにやってくるのでしょうか。

鬼頭:確かにそういう瞬間はありますよね。今まで勉強していたことが一気に線になるような。

これはいわゆる「アハ体験」に近い部分があって、特に司法試験などの法律系の試験はその部分が強くありますね。原理原則の本質的な部分が理解できたときに、個別で浮いていた知識や情報がつながって、一気に実力が底上げされます。

法律の論点は、条文の文言が曖昧だったり、条文同士が矛盾していたり、条文に書いていないことがあるときに初めて問題になるのですが、これはなかなか理解するのが難しいんです。

でも、勉強を続けていると、その意味が理解できる瞬間がくるわけです。問題の本質はこれか、と。そこまで頑張れる人は合格できますし、でもそう簡単には分からないから、試験に苦戦する。

確かに丸暗記でも受かることはあるのですが、ヤマ張りの力が試されますね。

――本書では試験から逆算して、計画を立てて勉強することが合格する人の方法だと書かれていますが、気を付けることはありますか?

鬼頭:まずは大雑把に計画を立てて、その上で細かく立てていくべきです。1年後に試験を控えているとするのなら、まず4ヶ月、8ヶ月、12ヶ月のタームで「ここまでやる」ということを設定します。

その上で、1ヶ月ごとに細分化して「ここまでにテキストを終わらせる」「この期間は過去問をやる」とスケジュールを切ってしまうわけですね。

これは仕事も一緒ですよね。「なるべくはやくやります」というのはだいたいできない。「今日中に」くらいならできるでしょうけど。

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――また、鬼頭さんはメンターの存在を重要視されています。このメンターとなる人を探すにはどうすればいいのでしょうか。

鬼頭:予備校は役に立つと思いますが、それを使わないとなると難しいかもしれませんね。SNSなどでそういったコミュニティにアクセスできるならそれでもいいのですが、多少敷居は高くなります。

ただ、すでに合格している人じゃないといけません。ベテラン受験生はメンターにしてはいけません。受からなくなります。

何年かかっても合格できない人は、その後も難しいと言わざるを得ません。勉強の仕方を根本から変えるしかないけれど、自分を曲げるってすごく難しいから中途半端になってしまうことが多いんです。

――鬼頭さんご自身についてお話をうかがいたいのですが、経営者として普段読んでいる本があれば教えて下さい。

鬼頭:私はビジネス書よりも、もう少し本質的なことを教えてくれる本を読むことが多いですね。例えば『論語』や『武士道』といった古典に近いものや、ドラッカーのような経営学の本、スティーブ・ジョブズの本などです。

特に古典は当たり前のことばかり書いてあるのですが、初めて読んだ時はあまり腹落ちしないんです。具体的なシチュエーションが思い浮かべないから。でも、経験を積んでいくとリアルにその言葉を感じることができるようになります。

稲盛和夫さんの『生き方』も好きなんですが、あの本もそうですよね。この境地に行くとこうなるんだなと思うことが最近多くなりました。

――では最後に、『資格試験に「忙しくても受かる人」と「いつも落ちる人」の勉強法』の読みどころを教えて下さい。

鬼頭:「計画・マネジメント編」というところで、勉強計画の立て方を突っ込んで説明しています。資格試験に向き合う上での基礎を書いているので、ぜひこの本を参考に第一歩を踏み出してください。

(了)

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