自分自身の能力を高めるため、課題を乗り越えるため、スキルアップのため。
ビジネス力をあげるために、ビジネス書は必須ともいえるアイテムだ。
インターネットには有益な情報が転がっている。また、速報性にも優れているため、「情報を得るにはネットで十分だ」と考える人も少なくないだろう。
しかし、「炎の講演家」の異名を持ち、YouTuber講演家として知られる鴨頭嘉人さんは、インターネットの情報の正確性について疑問を投げかけ、より正確な情報に触れ、自分の判断基準と持つための力を養うためには、スローメディアである「本」が有効だと力説する。
本当に今からやろうとしていることは正しいことなのか?
あのインフルエンサーが言っていることは本当に正しいのか?
Twitterでトレンドにあがっている話題は事実なのか?
そして、「こうすれば成功できる」というビジネスの言説は、本当なのか?
こうした判断を鈍らせる情報に対峙する上で、読書は重要なものとなるのだ。
鴨頭さんの著書『究極の読書法』(かも出版刊)は、混沌の時代を乗り越えていくための、ビジネス読書法が書かれた一冊だ。
本書は「購入法」「速読法」「保管法」という3つのアプローチからビジネス書の内容のインプットする力を養っていく。
例えば、「本は最初から最後までちゃんと読まなければいけない」という考えを覆し、「全部は読まなくてもいい」と鴨頭さんは言う。極端なことを言うと、その一冊の中にある、自分の指針となるたった一行さえ探し出せばOKなのだという。
鴨頭さんは読んだ本で「これだ!」と響いた言葉をマーキングし、後から読み返せるように付箋を貼っていった結果、マーカーを引いた部分を全体6%程度だったという。
その6%が自分にとってのコアメッセージであり、それを探しながら読むという読み方を意識すると、読書のスピードも上がっていく。この読書法を鴨頭さんは「スキップ・スキャン・マーキング」と名付ける。
また、他にも1日10分の速読トレーニング法も伝授。速読法を身につけることで、本の情報をより大量にインプットすることができるだろう。
もう一つ、本書で特徴的なのが「本は保存するものではなく切るもの」ということだ。
これは「保管法」として鴨頭さんが提唱しているメソッドで、マーキングしたページを本から切り取り、ファイリングしていくというもの。本体自体は読み終わったら捨てる。そうすることによってどんどん新しい本の情報を取り入れることができる。
切り取って手元に残ったページは自分自身の財産になるとともに、「今の自分」が求めている「必要な部分」が残るため、自分の成長の記録にもなるのだ。
◇
ビジネス書は買うけれど、なかなか読み進められなくて積読が増えているという人こそ、本書の3つのメソッドは大いに役立つはずだ。
情報収集の量が圧倒的に多くなり、インプットする情報の量が高まる。そうすると、それまで点だったものが線でつながり「ああ、こういうことだったのか!」ということが増えたり、「これは使える」という判断力が高まるだろう。
ビジネス書は、情報をインプットしてこそ価値がある。あまり活用できていないという人や、本を読むこと自体が苦手という人は、参考になる部分があるはずだ。
(新刊JP編集部)
(p.42-47より)
■「いずれ読むかも…」があなたの財産! 30冊積読法の勧め
オススメの本の購入法はズバリ、「30冊積読法」です。
つまり、「読んでいない本を常に30 冊手元に置いておきなさい」ということです。
「積読」と聞いて、悪い印象をお持ちではないでしょうか。
「積読」という言葉をネット検索すると、
「本を購入し、『いつか読もう』と思ってはいるものの、まだ読まずに放置してある(積んである)状態、あるいはその本を意味する語」(実用日本語表現辞典HP)
と出てきました。恐らく、みなさんのイメージもほぼこれと同じだと思います。
「つい本を買いすぎてしまい、読むのが追いつかない」
「そもそも本を読む時間が十分にない」
「内容が難しすぎて、読むのを断念してしまった」
ネガティブワードとリンクしやすい「積読」なのですが…はっきり言います。
積読しないとダメです。
本は、
「隙間時間にインプットできる」
という大きな強みがあるツールなのです。
読書以外にも、質の高い情報を手に入れる方法はあります。
それは、セミナーです。
あたりハズレはありますが、セミナー講師は自分のブランドを守ろうとするので、ある程度のレベルは保証されているといえるでしょう。
しかも、知識や体験が豊富な講師なら、ダイレクトに接することで中身の濃い情報が得られ、質疑応答によってダイレクトに回答がもらえるので、生産性が非常に高くなります。
ただし、セミナーには回避できない弱点があります。それは、
「場所と時間と移動時間」
です。
セミナーの開催時間は決まっています。参加したくても予定が合わなかったり、遠方まで足を運ぶのは容易なことではありません。移動時間も取られてしまいます。
でも、本はいつでもどこでも読めるんです。
もっと言えば、まとまった時間が取れなくても学べるんです。
セミナーは、例えば120分間など、ある程度の時間を確保しなければなりません。
でも本は違います。いつでもどこでも、隙間時間に読んで、栞をはさんで閉じて、時間ができたらまた読み進めることができます。
僕は電車に乗ったら当たり前に本を読むし、新幹線や飛行機での長距離移動なら、最低4冊は読み込みます。歯医者さんの待ち時間やちょっとした休憩時間にも読んでいます。
日常生活の中で、まとまった時間を取るのはなかなか難しいと思うんです。でも、隙間時間はいくらでもあるんです。その時間に本を読むには、未読の本をたくさん積んでいなければダメなんです。
「読もう!」と思ったときに、近くに本がなかったら読めません。
「読んでいない本がたまってしまった…」
ではないんです。
「これから読む本を貯めている!」
これが「積読」です。
(p.64-71より)
■読書は本との戦い!? 全部は読むな! 読まない箇所を決めろ!
今後は、なんとなく本を読むことはやめましょう。ビジネス読書法の中核は、
「目的を持って本を読む!」
です。例えば、
「この本から具体的なソリューション・解決方法を見つけよう」
と思ってから読むとか、
「この本からは名言・格言をゲットしよう」
と決めてから読むとか、
「この本からはデータをピックアップしよう」
と決めてから読むようにしましょう。
明確な目的を持つことで、読まなくていい箇所が分かるようになります。
本は全部読もうとしてはいけません。
本を読む前に、「何を読むか」に意識を集中させ目的を明確にします。
本を読み始めたら、「何を読まないか」を意識しながら必要な情報だけを収集します。
神田昌典さんの著書『非常識な成功法則』によれば、著者が読者に本当に伝えた
いコアメッセージは、文中の4~11%とのことです。
僕はこの数字を見たとき、しびれました。
けれども、疑い深い僕は…実際に検証してみました。今までに読んだ本全てにマーカーを引いていったのです。
「これだ!」と響いた言葉にマーカーを引き、後から読み返せるようにそのページに付箋を貼っていきました。
結果、マーカーを引いた部分は本全体の6%程度でした。
「あの本が今でも自分の人生の軸になっている」
そんな本に出会ったことはないでしょうか。
でもよくよく思い起こしてもらいたいんです。その珠玉の1冊、全内容に惹かれているわけではないと思うんです。
自分の人生を変えてくれたのは、その本の中の一部分ではないでしょうか。
もっと言えば、1行ほどのフレーズではないでしょうか。
その1冊。いや、その1冊の1行に出会うために、僕たちは本を読むんです。
極端な話をすると、その1冊の中のたった1行を探し出しさえすれば、残りは読まなくてもいいんです。
人生の指針になるその1行の価値は、本の値段とイコールでしょうか。
ビジネス本の相場は1500円程度です。
あなたの人生を変えるその1行は、1500円の価値しかないのでしょうか。
そんなことはないはずです。
せっかく購入した本をじっくり読まずに読み飛ばすことは、最初は勇気がいるかも知れません。
今までの本の読み方とはまったく異なるため、大きな違和感を覚えるかもしれません。
でも、人生の指針となるようなたった1行を見つけるために、たくさん本を買ってたくさん読み飛ばしてほしいんです。
それが僕の提唱するビジネス読書法の中核です。
やり始めるまでは抵抗を感じるかもしれませんが、やってみると分かります。かなりの快感です。
読まない箇所を意識して、4~11%のコアメッセージを、どれだけ短時間で見つけ出せるか。
ビジネス読書法は、読み手と本との勝負なんです。
ただ…よくこんな質問をされることがあります。
「読み飛ばすつもりが、全部読んでしまったことはないですか?」
答えは、「イエス」です。
読まされてしまう本があるんです。
文章の全てにマーカーを引きたくなってしまうようなプレゼント満載の本。こんな本に出会うと、爽やかに「負けた」ってものすごく思います。
他にも、物語形式で話がつながっていく本は、全部読むしかないです。
例えば、原田マハさんの『本日は、お日柄もよく』(徳間書店)は、スピーチに関する本なのですが、物語調で内容も濃く、一文一文隈なく読まされてしまいました。
また、『嫌われる勇気』をはじめとする英訳本のビジネス書は、物語調であったり全文がセリフで展開されていることが多々あります。
島田紳助さんの『ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する―絶対に失敗しないビジネス経営哲学』(幻冬舎)は内容も素晴らしかったため、諦めて最初から最後まで読み込みました。
(p.118-123より)
■ナポレオン方式!? 本は保存するものではない、切るものだ!
最後に紹介するビジネス読書法は本の「保管法」です。
かなり変わったやり方だと思います。
まず、マーカーを引いたページをカッターで切り取ります。
そして、クリアファイル、ポストイット、ホッチキス、ダブルクリップを使ってファイリングして保管します。
マーキングされていないページが残った本は捨ててしまいます。
慣れてくると読みながらマーキングして、その場でもう切っちゃいます。
かなり変わったこの方法ですが、フランスの皇帝で革命家でもあるナポレオンの
読書法に出会ってから、
「このビジネス読書法は理にかなっている」
と僕の自信は確信に変わりました。
ナポレオンは毎朝起きるとまずは書斎に閉じこもって、書物を読み漁っていたそうです。
遠征に出るときは、馬車に積めるだけ本を積んで出かけて、読みながら読み終わった本を馬車から投げ捨てていたそうです。
また、ナポレオンは文学者や哲学者の話には関心がなかったようです。
あくまで実践的な力を身につけて活用する目的で読書をし、専門的なデータを生産性高く入手していたんです。
これはあくまでも想像でしかありませんが…もしかしたらナポレオンは、戦いが終わったら、もし世界を征服し終わったら…読んだのかもしれませんね、文学書や哲学書を。
でも彼は、「世界を統一する」という目的を果たす道のりの途中では、生産性を優先していたのではないでしょうか。
僕は出張で新幹線を利用するとき、乗車前に大量の本を買い込み、ゴミ袋を準備して作業をしています。
本をマーキングしながらページをバンバン切り取っているのです。
手元に残ったページは僕の財産になる。
ドラえもんのひみつ道具の「アンキパン」のようなイメージです。
そして残りはいらないんだという思い切りの良さが、快感につながっていくんです。
この保管法こそ、ビジネス読書法のコアの部分です。
鴨頭 嘉人(かもがしら・よしひと)
高校卒業後、東京に引越し19 歳で日本マクドナルド株式会社にアルバイトとして入社。4 年間アルバイトを経験した後、23 歳で正社員に、30 歳で店長に昇進。32 歳の時にはマクドナルド3,300 店舗中、お客様満足度日本一・従業員満足度日本一・セールス伸び率日本一を獲得し最優秀店長として表彰される。その後も最優秀コンサルタント・米国プレジデントアワード・米国サークルオブエクセレンスと国内のみならず世界の全マクドナルド表彰を受けるなどの功績を残す。
2010 年に独立起業し株式会社ハッピーマイレージカンパニー設立(現:株式会社東京カモガシラランド)。
人材育成・マネジメント・リーダーシップ・顧客満足・セールス獲得・話し方についての講演・研修を行っている日本一熱い想いを伝える炎の講演家として活躍する傍ら、リーダー・経営者向け書籍を中心に15 冊(海外2 冊)の書籍を出版する作家としても活躍。さらには「良い情報を撒き散らす」社会変革のリーダーとして毎日発信しているYouTube の総再生回数は1.8 億回以上、チャンネル登録者数は延べ100 万人を超す、日本一のYouTube 講演家として世界を変えている。
著者:鴨頭 嘉人
出版:かも出版
価格:1,200円+税