覚悟がすべてを変える
運とお金の正体
著者:安藤 功一郎
出版:青志社
価格:1,650円(税込)
著者:安藤 功一郎
出版:青志社
価格:1,650円(税込)
圧倒的な成績を残し続けるスポーツ選手にビジネスで大きな成功を収めた起業家、世界を変えるような発明をした発明家に、何百万人ものファンを持つアーティスト。
世の中には「その他大勢」から突き抜けた存在感を放つ人物がいる。誰も考えないことを考え、誰もが不可能だと思ったことをあっさりとやりとげ、周りの声などおかまいなしに自分の道を突き進んで成功してしまった人々である。
彼らを「特別な人たち」と考えるのは簡単だが、彼らも同じ人間だ。彼らは何を考え、どんなふうに自分の道を歩んでいるのか。連続起業家として世界を舞台に活躍する安藤功一郎さんの、『覚悟がすべてを変える 運とお金の正体』(安藤功一郎著、青志社刊)には、実業界で突出した存在である安藤さんの思考と行動様式がつづられている。
成功した人の「運」には必ず「ツキ」と「人の縁」が関係している。なかでも、この「人の縁」こそが「運」を呼ぶ正体なのかもしれない、と僕は思う。(P60より)
そして努力を積み重ねることを可能にするのは、「強い思い」であり、「強い思い」とは先々にどんな困難があっても乗り越えていくという「覚悟」だと安藤さんは指摘する。
覚悟を決めれば、ハードな状況に立ち向かうのが「あたりまえ」になり、うまくいってもいかなくても燃え続けることができる。自分の覚悟を試したかったら、今の夢や目標について家族や友人に堂々と話してみることだ。言えないならば、まだ覚悟が定まっていないのかもしれない。
言ってしまえば、やるしかなくなる。「これだけはやる」という覚悟を決めたものがあるのならば、誰に何を話そうが自分の行動や計画は変わらない。自分にプレッシャーをかける意味でも、「有言実行」は正しいやり方なのだ。
強い思いと覚悟に基づいた行動が、人との縁を引き寄せ、人との縁が運を呼ぶ。こうして「実力」と「運」という、成功に必要な二つの歯車が嚙み合う。では、その「強い思い」と「覚悟」をいかに養うか。本書で明かされている安藤さんの半生と経験談に触れることで、自分なりの方法が見つかるはずだ。
◇
夢を実現することも、何かで成功を収めることも、決して特別なことではない。成功する人としない人。両者の違いはごくごくわずか。そんなことも本書は教えてくれる。
成功したバッターとそうでないバッターは、10打席あたりのヒット数で0.5~1本の差しかない。並みの選手と比べて、10打席で0.5本多く打つだけで、名球会入りする3割打者になれるわけだ。(P188より)
■海外に出るとビジネスアイデアが出やすい理由
安藤: 以前から本を出したいとは思っていました。そこに今回「令和の虎」絡みで本を出さないかというお話があったので、良いきっかけになりました。
若い世代の人に向けて書いたというところもあるのですが、どちらかというと40代前半の僕と同世代の人に「まだまだ人生終わりじゃない、チャレンジしようよ」というメッセージが届けばいいなと思っています。この年代って家庭が落ち着いてきて、仕事の方もなんとなく将来が見えてきて、「混沌」としやすく、この先の生き方に迷いが出やすいので。
安藤: そうですね。ただ、一番伝えたかったのは「日本に生まれたからといって、日本で仕事をしなければいけないわけではないし、日本だけで終わる必要もないよ」ということかもしれません。
僕だって、言葉なんて全然できないなかで日本を飛び出したのですが、どうにかやれていますし、それなりに成功することができた。そういう選択肢もあるってことを伝えたかったんです。
安藤: 思い立ったことはやってしまいますね。プライベートの方はあまりやりたいこと自体がなかったりするのですが、ビジネスの方は「やらなくて後悔するより、やって後悔しよう」という考えでいます。「あれ、やっておけばよかったな」とはなりたくないんですよね。
安藤: 考えうる事態をできる限り想定したり、検証すること。その分野に詳しい人に相談してみることなど、できることはすべてやったうえで決断するようにしています。「人事を尽くして天命を待つ」という言葉が好きなんです。
あとは大雑把に言うとリーダーの役割って「事業・組織課題の分析」「役割と目標の定義」「方針・KPIの策定」「仕組みの構築」の結果生み出される成果を「評価」というフィードバックによって回していくものです。メンバーが思うように力を発揮できていなかったり、組織が成果を生み出せていない状態というのは、プロセスのどこかに課題を抱えており、それさえ見極めれば対処も明確です。
ビジネスではやれることを全部やってもギャンブルな部分は残るものなのですが、それでも「人事を尽くす」というのは重要だと思います。最後の何パーセントかはギャンブルになるとしても、それ以外のところはすべて準備、検証してから決断することを心がけていますね。
安藤: 最後は「自分自身がワクワクするかどうか」だと思います。あとは、世の中にとってそのサービスや商品が役に立ったり、課題解決になるかどうかですね。
それは「世の中のために」という社会的意義のためにビジネスをやっているということではなくて、便利なサービスやプロダクトならみんな使ってくれるじゃないですか。自分たちが提供しようとしている商品やサービスがすでにあるものだったり、世の中の課題解決にもならないものなら、それはやる意味がないですからね。
安藤: 「こうなりたいと願う自分になれるかもしれない」という憧れだったり、切磋琢磨して成功に向かっていく過程を楽しめそうだという期待ではないでしょうか。
安藤: スタートはタイの不動産会社の対応がどこも良くなくて、自分たちがやればもっと良くなると思ったところです。それ以前もタイにいたから、自分でも物件を探したりするじゃないですか。でも、どこも全然よくなかったんです。
「自分ならお客さんにこんな提案をするのにな」とか「価格や条件もこうすればお客さんもオーナーさんも満足するのにな」というアイデアがたくさん出てきたので、それなら「自分でやってしまおう」と。
海外はビジネスが日本ほど研ぎ澄まされていないことが多いので、日本から行くと課題が目について、ビジネスのアイデアは出やすいかもしれません。ただ、それが現地で受け入れられるかはまた別問題なのですが。
■「令和の虎」出演の起業家が語る「私欲が利他心に変わる瞬間」
安藤: ビジネスでいうと、何かを始めてうまくいかなかった時に失うものって「お金」と「時間」じゃないですか。命までは取られないわけで。この「お金」と「時間」を失ってもいいか、というのは考えます。もちろん、失わないようにやるんですけど。
安藤: そうですね。相手にも守るべき社員がいて家族がいるわけですから、邪魔な人間にはいなくなってもらいたいという気持ちを持つのは当然とは思います。だからこそ、海外でビジネスをする時はこちらも覚悟を決めてやらないといけません。
安藤: いますよ。今の話でいうと、僕も拉致されたことならあります。
安藤: そうですね。ただ、それでわかったことも多くて、特に外国人ですし、アウェーでは発言や、やり方次第で相手を刺激してしまうんだな、というのはその時に学びました。
安藤: 私欲ですね。「あれが欲しい」とか「かっこいい経営者と思われたい」みたいなことをモチベーションにやっていたと思います。
安藤: ないわけではないです。ただ、昔は「かっこいい経営者と思われたい」というシンプルな欲求だったのが、「格好いい経営者とは」とか「今の自分はどんな人だと思ってもらえるか」みたいに、より具体的に自分の在り方を考えるようになったと思います。
「お金」ということでいうと、昔は「たくさん稼いで欲求を満たす」という思考だったんですけど、僕はもう生活をしていて欲しいものを買うだけだったら人生で使いきれないくらいの財産は築きました。だから、お金はもうゲームの「スコア」みたいな感じで、増やしていくこと自体にやりがいを見出している感じです。
安藤: それはもうたった一つで「日本をいかによりよい方向に持っていくか」というところです。この本の中で「国会議員になる」って書いているんですけど、それは本気です。日本を良くするためには、政界に出るしかない。それこそさっきの話にあったように「やらない後悔よりやって後悔した方がいい」という考えです。
安藤: 日本の場合、細かい問題はともかく出生率を上げないことにはどうしようもないので、新しく生まれた子どもに対して0歳から18歳まで毎年まとまった額のお金を支給する、という政策を提唱したいと思っています。
日本の出生率が低い原因は一つではないと思うのですが、子どもを生めばお金が儲かるならば産む、という人はいるはずです。「出産と給付金を紐づけてしまうと、給付金を子どものために使わずに浪費してしまう人が出てくる」という議論もあると思いますが、それはそれでいいと僕は思っています。お金の使い道を子どもの教育や衣食住に限定する必要はない。それで経済が回るなら、メリットはあるわけで。
安藤: 具体的に誰が目標というものはないのですが、僕としては成功している経営者もしていない経営者もみんな尊敬しています。どんな経営者であっても、事業をやる以上みんなチャレンジをしている。それだけでも立派なことだと思います。
何であってもチャレンジしている人はかっこいいですし、僕も誰かの人生をワクワクさせられる人でありたい。僕は仕事が好きですから、ビジネスの楽しさを少しでも教えてあげられる人でありたいですね。
安藤: 「死ぬこと以外かすり傷」っていう言葉は本当で、ビジネスなんて命までは取られません。だからどんどんチャレンジしようと言いたいですし、やりたいことがあるならどんどんやった方がいい。
そもそも会社の10年生存率は10%以下です。どんな人がやっても起業ってうまくいかないんですよ。ダメでもともとという気持ちで気軽にチャレンジしてほしいですし、今回の本が何かビジネスでチャレンジしてみたい人の背中を押すものであればうれしいですね。
(了)
安藤 功一郎
1981年8月10日生まれ。神奈川県出身。大学卒業後、中古車販売・買い取りのガリバーに入社し、2年で東証一部上場企業の当時最年少部長に昇進。退職後、2005年にタイ王国へ渡り起業。タイでは旅行会社他8社を経営、7社をM&Aで売却するなど連続起業家として有名になる。2012年日本人駐在員向けの不動産会社ディアライフ(dear life)を設立し、20億円企業に発展させる。2022年5月東証グロース上場企業のGAテクノロジーズと経営統合し、現在は同社の執行役員として海外事業を担当。GAテクノロジーズ(タイランド)の代表取締役CEOを務める。現代版「マネーの虎」である「令和の虎」では虎(投資家)としてレギュラー出演。
著者:安藤 功一郎
出版:青志社
価格:1,650円(税込)