騙されるな!嵌められるな!欺かれるな!
株チャートサインを鵜呑みにしない次世代技法
著者:冨田 晃右
出版:ぱる出版
価格:1,650円(税込)
著者:冨田 晃右
出版:ぱる出版
価格:1,650円(税込)
副業として、資産運用として株取引を行なっている人、興味がある人は多いはず。
当然、やるからには損を出したくないし、できるだけ多くの利益を出したい。だから株の値動きを示すチャート分析を学んで、「買いサイン」「売りサイン」を頭に叩き込み、チャンスを逃さないように備える。
しかし、どんなに準備をしても、チャートはトレーダーの期待通りに動かない。「絶対の買いサイン」だったはずなのに株価は下がったり、「確実な売りサイン」の直後に値上がりしたりする。チャートを見て株をやっていれば、こうした経験を誰でも持っている。
『騙されるな!嵌められるな!欺かれるな!株チャートサインを鵜呑みにしない次世代技法』(冨田晃右著、ぱる出版刊)はこうした「チャートにダマされる」現象に焦点を当てる。
本書では「チャートはさまざまな指標の組み合わせによって売買サインが発せられ、それにトレーダーが追随すると理論通りにチャートが動く」としている。ただ、実際にはチャートは理論を裏切り、トレーダーを欺く。なぜこんなことが起きるのか?
その理由の一つは「マクロで出るサインとミクロで出るサインの食い違い」だ。日足(短期的な値動き)では売りサインが出ていても、月足(長期的な値動き)では買いサインが出ていることもある。この二つのサインを読みまちがってしまい短期的な値動きにのみ反応してしまい、長期的な値動きを軽視してしまうのだ。
たとえば、あなたがある株を保有していたとする。その株の日足サインが売りとなり、あなたが日足だけ見ていれば、売ることになる。しかし、この時の月足サインは買いであるので、株価は反転上昇していく。
このように月足を見ていないと、まだまだ保有しておくべき株を早期に売ることになってしまう。
それだけではない。機関投資家など大口の投資家やトレーダーが、個人トレーダーを誘導して、自分達が有利になるように株価を操作するケースもあり、これも個人トレーダーが判断を誤る原因になっている。普通のトレーダーであれば誰もが知っている「買いサイン」を意図的に演出して、逆手にとる手法が使われるのだ。
たとえば、大口の機関投資家やトレーダーなどが安いところで先に買っておいて、その後、買いサインを演出して小口のトレーダーが買うタイミングで売って利益を確定させたり、売りサインを出して売らせ、安くなったところで買い、その後上がったところで売る、といったことである。チャートをよく研究している個人トレーダーほど、この手口に引っかかってしまう。
また、トレーダー本人の判断ミスによって騙されてしまうケースもある。チャートから浮かび上がる売買サインを短絡的に判断し、自分にとって都合のいい方向に勝手に解釈してしまい、その裏に潜むダマシを正しく判断できなくなってしまう。その売買サインは本当に信憑性のあるものなのかは、その時の株式市場の状況やチャートの原理・原則と照らし合わせて客観的に判断すべきだ。
◇
これらの要因によって、普通の個人トレーダーはチャートの値動きにダマされてしまうのだが、本書によると、これらの「ダマシ」を回避することは決して難しいことではないとし、その回避テクニックを解説していきながら、そのダマシ自体を積極的に利用していく方法も解説していく。
チャートを真面目に勉強すればするほどハマってしまう「ダマシ」の罠。研究しているのに結果に繋がらない人や、取引で冷静な判断ができない人にとっては、本書は大いに役立ってくれるはずだ。
(新刊JP編集部)
■チャート分析を研究しても株のトレードで利益を出せるとは限らない
冨田: 逆説的ですが「騙されるのは当たり前」なんです。そもそもトレードは思った通りにはならないのが大前提です。たとえば、勝率だけで言えば(利益率や損失率などは考えないとして)10回売買して6勝4敗ならOK。負けることもあるけど、勝つ方が多いならいいというのがこの世界です。ただ多くのトレーダーは勝率100%を求めてしまう。それはどんなに研究してもありえないです。
冨田: そうです。チャートを分析して「買いサイン・売りサイン」を研究すればするほど「この兆候が出たら確実にこうなる」と考えやすい。それがそもそも騙される原因なんです。
冨田: 絶対にチャートにダマされないようにすることはできないのですが、どうしたらその確率を上げられるか、というところを解説しています。
冨田: 古典的な手法が今でも通じている世界だと思います。たとえば「ゴールデンクロス(長期的な移動平均線を、短期的な移動平均線が上に突き抜ける現象。株価が上昇するサインと考えられている)」という昔から知られているサインがありますが、現代でもその通りになることは多いです。
ただ、もちろん100%そうなるというわけではありません。そうならない時も多々あります。
このセオリーだけではなんとも言えず、セオリーというのは複数組み合わせて確率を高めていくのが大切だと考えています。
冨田: これは不可能だと考えています。機関投資家などがやることをこちらが知る術がない以上、回避するのは難しいでしょうね。
冨田: 不利です。個人の投資家やトレーダーは株式市場に参加することによって、利益を得たいと思っているわけですが、多くのプロ連中が大量の資金を動かしながらお金を奪い合っている株式市場に、少額の資金しか持たない個人が無防備に飛び込んでも基本的にはやられてしまいます。個人投資家は負けるようにできている、ということは知っておいた方がいいと思います。
個人トレーダーがいくらチャートを分析しても、誰でも知っているような一般的な分析を続けている限り、株価は思い通りに動いてはくれません。チャートにはダマシがあることを知り、「チャートのダマシ」に引っかかることを前提として理論武装をしてトレードをしていかないとやられますし、逆にしっかり「ダマシ」を勉強して理論武装をすれば個人でも利益は得られる、というのが私の考えです。
冨田: そうですね。機関投資家などの大口の投資家やトレーダーが、将来どういう動きをするかは予想できないのですが、チャートは値動きの事実そのものであり、チャートを見れば、実際の資金の動きを読み取ることができるので、こちらから察知できるものについては回避可能です。「長期的な指標と短期的な指標の読み違え」はまさしくチャートを見て避けることができるものですが、それらを察知するにはやはりチャートのセオリーや原理原則はもちろんのこと「ダマシ」があることも知っておく必要があります。ただ単に「表」だけを知っているのではなくその「裏」も知る必要があるんです。
本書では、「わざとらしい売りサインを読み取って買う方法」や「乗ってはいけない買いサインを読み取って売る方法」なども解説しています。
■「チャートに騙される人」の特徴とは
冨田: これは多くの方からよく聞かれる質問ですが、はっきりした一定の確率は出せないです。株式市場にはチャートで判断して売買している人だけではなく、ファンダメンタルズで判断して売買している人もいますし、突発的な出来事なども株価に影響します。こちらがいかにチャートを正確に分析して勝つ確率を上げても、別のところでそれ以上の大きな力が加われば、予測通りに株価は動きません。ただ、実際に理論通りにチャートが動く確率が高い「時期」ならわかります。
冨田: たとえば、日経平均株価が上昇基調の時に、個別株のチャートで買いサインが出た場合は上がりしやすい、などです。
冨田: そうです。それが一番シンプルですね。今お話ししたような「確率が高い時期」だけトレードして、確率が悪い時期はやらないというのも一つのやり方です。それでも100%理論通りにチャートが動くことは、当然ないのですが、さまざまな要因で株価が動くなかで、できるだけ確率を高める行動をすることが大切です。
チャート分析にしても1つの指標を見るだけではなく、2つ、3つ、4つと複数の指標を見て、総合的に判断することで判断の精度を上げていくのも私自身がやっている方法です。
冨田: 欲が強い人、思い込みが強い人、自分の話しかしないで人の話を聞かない人なども騙されやすいです。なぜかというとトレードとは株式市場での売買の相手方(自分が買いなら相手は売り、自分が売りなら相手は買い。)とのコミュニケーションであって、このような人は相手の欲を考えないし、相手の思いも知らないし、相手の話も聞かない。さらに、自分自身を客観的に見ることができないし、俯瞰もできず、そんな人は相手のことがわからないし、自分のこともわからず、その結果、相手の裏を取ることができないからです。
あとは、一般的なセオリーから導き出したサインをそのまま鵜呑みにする人も騙されやすいですね。この世界、ちゃんと真面目にチャート分析を勉強する人じゃなかったらうまくいかないのですが、真面目すぎる人もうまくいかない、と思います。
一方で、真面目すぎず、少し遊び心のある人の方がうまくいきますね。トレードの世界は数学のように決まった正解がないので、それを求めても、ないものはないので、うまくいかないんです。そうではなく、これといった正解はないのですが、できるだけ正解に近いものを常に探し続けられる人がうまくいくんだと思います。
冨田: はい、「チャートのダマシ」を逆手に取って利用するということは、まずは誰もが知っているチャートの原理原則というか基本を普通に学ぶことです。
冨田: 深く知る前に、まずはたくさん勉強していろんなことを広く知っていただきたいですね。「ダマシを逆手にとり、利用するためにどうすればいいのか?」と個人トレーダーの方から私が質問されたときには必ずこう回答しています。
「トレード関係の本を手当たり次第に読んでみてください」と。
「癖のある手法や奇をてらった手法」など、あたかもこの手法が一番というように「自分独自の手法だけを勧める人」の本だけを何冊も読むというよりは、書店に並んでいる株式投資やトレードの本だけにとどまらず、書店に並んでないような洋書やその翻訳本も含めて興味を持ったものを片っ端から読む。少々わからないところがあっても飛ばして読むことが大切です。40冊、50冊と読んでいくと、複数の本に共通する手法や考え方に出合います。それが本質的な知識です。それ以外の部分はその本の著者の個人的な手法や考え方のことが多く、さして大切な知識にはなりえません。このことが分かっていない人が多いんです。
冨田: そうですね。これは株の世界に限ったことではなく、おそらくビジネスの世界やスポーツの世界などでも同じでしょう。枝葉の部分の理論や考え方にこだわってしまい、真ん中の本質の理論や考え方をわかっていないとうまくいかないのと同じだと思います。
冨田: チャートを見てトレードをやっているのだけれど、なかなかうまくいかない人ですね。トレードについての様々な本を読んではみたものの、うまくいっていない人は今回の本を読んでみるとしっくりくるところがあると思います。うまくいかない方は「どこかにおかしなところがある」ので、「それがどこなのか」を見つける意味でも手に取っていただけるとうれしいです。
また、トレードの本をたくさん読んで真面目に勉強してがんばっている人が読むと、なおさら腑に落ちるところがあると思います。逆に、あまり勉強していない人が読んでも私が言っていることの大切さがわからないかもしれませんね。
そのような方は、『ど素人サラリーマンから月10万円を稼ぐ!株の授業(ぱる出版)』と『株の「カラ売り」で堅実に稼ぐ!7つの最強チャートパターン』(日本実業出版)の二冊を読んでいただけると、本書の内容がよくわかると思います。
(新刊JP編集部)
冨田 晃右(とみた・こうすけ)
京都府出身、1970年生まれ。株式会社日本トレード技術開発代表取締役。同志社大学経済学部卒業。在学中より経済の需要と供給や開発経済学を学ぶ。2002年当時、日本にはあまり存在しなかった、株の個人ネットトレーダーを志す。欧米流のトレーディング手法と日本の投資技術を導入、まったくの初心者から約3年で、安定した利益が出るトレード技術を開発する。自ら代表を努める「株式スクール冨田塾」では、「小額資金しか持たない個人は、投資家として大儲けを狙うのではなく、トレーダーとして長期的継続的に稼げるようになるべき」をモットーに、正統派技術をまじめに教えている。「個人投資家」ではなく「個人トレーダー」を育成すべく、株価チャートのみを使ったトレーディング手法を導入。チャートパターン認識能力がズバ抜けていると定評があり、「企業業績」「経済情勢」など既存の株式投資において常識とされた情報を一切介さずに、株価チャートのみを使って売買する手法を確立。買いでは急騰銘柄、空売りでは急落銘柄を主に手掛ける。 著書に『ここが違った! 株で稼ぐ人、損する人』(集英社)、『確実に稼げる株式投資副業入門』(ソーテック社)、『ど素人サラリーマンから月10万円を稼ぐ! 株の授業』(ぱる出版)、『自分で決めて、自分で稼ぐ! 月1回、10000円から始める株トレード』(KKベストセラーズ)、『株の「カラ売り」で堅実に稼ぐ! 7つの最強チャートパターン』(日本実業出版社)がある。
URL:http://www.111476.com/
著者:冨田 晃右
出版:ぱる出版
価格:1,650円(税込)