自分で考え、動き、目標を達成できる人財を育てる!会社も社員も幸せにする仕組みとは
経営ビジョンを実現し、社員一人ひとりが幸せになる 自創経営「人材育成」 の仕組み

経営ビジョンを実現し、
社員一人ひとりが幸せになる
自創経営「人材育成」 の仕組み

著者:東川 広伸
出版:日本実業出版社
価格:4,500円+税

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本書の解説

企業にとって、永遠の課題ともいうべき人材育成。
企業が着実に業績を伸ばし、発展するためには、社員一人ひとりの成長が必須だ。社員自らがセルフマジメントを実践し、合わせて部下や後輩の育成が出来るようになる仕組みが運営されるようになれば、社長の想いが社員一人ひとりの行動に反映され、業績を上げ続けることが出来るようになり、会社の経営は盤石になるだろう。

しかし、多くの企業はその仕組みを持っていないのではないか。「会社の成長に大切なのは人だ」と分かっているつもりでも、仕組みがないがゆえに自分勝手な行動をする社員や、指示待ち社員が育ってしまう。強い会社を創るために「自ら考え行動し、より良い結果を出す」ことが出来る社員を育成する仕組みづくりが大切だ。

社員一人ひとりがワクワクと働き、確実に目標を達成するための仕組み「自創経営」を提唱する自創経営コンサルタントの東川広伸氏は、360ページに及ぶ大著『経営ビジョンを実現し、社員一人ひとりが幸せになる 自創経営「人材育成」の仕組み』(日本実業出版社刊)で、セルフマネジメントの出来る社員であり、人の育成マネジメントが出来る社員を育成する仕組みとノウハウについて、あますことなく書きつづっている。

全社員が成長するために全うすべき社長の役割

本書の読者層は多岐に渡っている。経営陣や幹部だけでなく、リーダーやプレイヤーまで、全社員がセルフマネジメントの出来る人になるための方法が書かれている一冊だ。

例えば、全社員の成長のために社長が果たすべき役割について。
本書には、会社の進むべき方向性を分かりやすく、何度も説明し、納得させる「説明責任」を果たさなければいけないとある。

会社はある一つの理念を共有し、ある一つの目標に向かって、全員で突き進んでいく組織体だ。その理念や目標が社員に理解されなければ、組織は活性化しないだろう。社長はそれを発信し、取りまとめ、一枚岩にすることが求められる。
そこで重要なことは、全社員が会社の未来の姿を具体的にイメージできるということ。経営ビジョンを社員と一緒につくるのだ。社員が会社の将来像をイメージする中で、自分がワクワク働いている姿がイメージ出来ればしめたもの。将来どのくらいの規模の売上になっているのか、どんな新規事業が立ち上がっているのかといった、数字やイメージの具体性があると説得力が増す。

イメージが湧くような説明ができなければ、人は腑に落ちた状態で行動することはできない。全社員がセルフマネジメントできる組織にするには、社長の説明責任が大きな鍵となるのだ。

セルフマネジメントの要となる「チャレンジシート」「ランクUPノート」の活用法

本書の特徴は、セルフマネジメントの出来る社員を育成するための様々なツールが差し込まれていることだ。これは社員の育成に取り組むマネージャーやリーダー層にとって、心強い武器になる。

例えば年間目標を管理するための「チャレンジシート」(本書p162-163)。A3用紙1枚の中に、3つの目標を上長と部下が対話しながら、部下自ら書き込んでいく。
その3つとは「仕事の成果・業績」「職務の拡大・人材育成」「能力向上」のこと。ただ単に仕事の成果だけを意識させるのではなく、自分の仕事の影響範囲を広げ、スキルアップという3方向でマインドセットさせ、能力を拡げていくのだ。

また、このチャレンジシートの作成に必要不可欠なのが「成長対話」である。本書では、主任務の作成時と各目標の設定時・計画の策定時と7回の対話が必要だとしている。そう聞くと「じっくり」という印象を受けるが、大切なことは対話回数よりも、第三者の視点によって本人がどれだけ多くの気づきを得られるかということだ。

本人だけの視点になると「すでに出来ること」ばかりが羅列されるが、第三者の視点が入ることで、自分が「出来るように成る必要があること」に気づくことが出来るようになる。本書ではこのチャレンジシートでどんなことを記入すべきかが丁寧に書かれているのでぜひ参考にしてほしい。
また、チャレンジシートに掲げたそれぞれの年間目標を必達するために、月間目標、週間目標へとブレイクダウンし、さらに日々の実行計画にまでつながりを持たせ、その実行計画の中に成長業務を入れるツールがランクUPノートだ。このノートは単なるスケジュール帳ではなく、セルフマネジメントの出来る社員へと育成するツールだ。このツールを活用した独創的な1on1ミーティング「成長対話」が行われることによって、会社が劇的に変化することが想像できる内容となっている。

また、最終章には社会人としての基礎づくりの3面が掲載されているが、これが現代の社会人が忘れかけている何かを思い出させ、社員一人ひとりの行動が変わるだろう。本書は単なる読み物ではなく、社員を立派な社会人へと育成する教育の書であるともいえる。



経営にとって本当に必要なものは何か。会社が大きく成長するためには何が必要なのか。本書を読んでいくとそれが見えてくるだろう。

本書には社員がセルフマネジメントを行えるようになるための具体的なツールやノウハウが多く詰め込まれている。そのため、極端なことを言えば明日から会社に導入することも可能だ。ただし、ここで必要なのがすぐにやめないこと。社員がしっかり成長するまで続ける覚悟を示すことが社長の役割になる。これが強い会社になるかどうかの一つのカギになるだろう。

このコロナ禍という予期せぬ事態の中で、社会の行く先はさらに見えにくくなった。会社の舵を取る社長、その方向に向かうために自ら考えて動く社員たちが一枚岩となるために必要なことが、本書には書かれている。

(新刊JP編集部)

インタビュー

東川 広伸(ひがしかわ・ひろのぶ)

■一人一人のセルフマネジメント力を高める育成の仕組みである「自創経営」とは?

『経営ビジョンを実現し、社員一人ひとりが幸せになる 自創経営「人材育成」の仕組み』についてお話を伺います。この本はどのような読者に向けて執筆されたのですか?

東川: 読者層としては、まず会社の経営者がメインです。「自創経営」という人材育成の仕組みであり、人事制度を導入し、運営する最終意志決定者は経営者になりますから、最初にそういう方々に読み進めながら取り組んでいただきたい。

ただ、この仕組みに取り組むのは社長だけではありません。全社員が取り組んでこそ機能するものですから、社員の皆さんにも読んで実践してほしい。つまり、全てのビジネスマンが読者ターゲットとなる一冊なんです。

読ませていただくと、前半は経営者向け、後半は経営者だけではなくリーダー層や一般社員層向けと、全方位に学びがある一冊だと感じました。

東川: ありがとうございます。また、一度読んで終わりではなく、何度読んでも気づきがあるような本にしたつもりですので、何度も読んで実践を重ねていってもらえればうれしいです。

東川さんの提唱する「自創経営」とはどんな経営なのでしょうか。

東川: 「自創」は造語です。そして、この「自創」という言葉の中には、「自」分の将来の生活を「創」る主体者は自分だという自覚を持った社員を育成するという意味を込めています。

働く人それぞれが自分の働く理由を持っていると思いますが、生活のため、お金のためといった、今の生活を維持するという理由だけでなく、自分の将来の生活をより豊かにするために働くという理由もあると思うんです。

「自創経営」は個々の社員が自分の未来を創るための仕組みです。言い方を変えると、セルフマネジメントが出来る人を育成する仕組みとでもいいましょうか。自分自身の未来に向かって主体的に動いていける人として、自ら成長し続け、活躍し続ける経営が「自創経営」ということですね。

セルフマネジメントの出来る人とはどんな人のことでしょうか?

東川: 自ら考え行動し、より良い結果を出すことが出来る人と言っていいでしょう。言い換えれば、出すべき結果を自ら明らかにし、その結果を出すために主体的に行動する人はセルフマネジメントが出来ているといえます。ほとんどの人は、手段や方法ばかりを考えて思いつけば動いてしまいますけど、そうではないんです。これからの出すべき結果をまず決めることが重要です。

結果の見据え方が分からない、想像出来ないという人もいると思います。そういう人はどうすればいいのでしょうか。

東川: それはおそらく体験不足が大きいのだと思います。うまく出来たといえる状態を実際に体験していないから、出すべき結果をイメージできない。だから、まずは上司や先輩が実行し、より良い結果を出す姿を見せていき、理解を深めながら実践を積み重ねてもらうことが大事ではないでしょうか。

そういう意味でも部下・後輩の育成で必要なものの一つは成功体験です。成功している状態とはこうということだという状態を見せる。ティーチングという教育手法から始めることが大事ですね。

なるほど。お話を「自創経営」に戻しまして、これは人材育成の仕組みという風に考えてよいのでしょうか?

東川: そうです。仕組み、制度、システム、いろいろな言い方ができますが、意味合いとしては一緒です。まずは人材育成のための目標管理の仕組みがあり、その上で評価の仕組み、処遇の仕組みがある。いわゆる給与・報酬制度ですね。さらに昇格・昇進の仕組み、異動・配置転換の仕組み、そして採用・教育の仕組み。この6つの仕組み・制度が一気通貫で連動している人材育成のための人事制度が「自創経営」なのです。

この制度を会社に導入していただき、社員のセルフマネジメント力を高めていくと同時に全社員が人の育成マネジメント力を高めることで強い会社に成長していくわけです。

人事制度と育成をワンセットでやっていくことが大事なんですね。

東川: はい。目標管理制度だけ、評価制度だけ、賃金制度だけと、ばらばらに機能させるのではなく、それらをすべて連動させないと、社員の成長、ひいては会社の成長のために機能しづらくなるということです。

この制度を会社に取り入れる上で、推進役としての社長の役割は大きいですよね。その点でも、社長はこの本を最初から最後まで読むべきだと思いますが。

東川: そうなんです。本当はこの本を2冊に分けてもよかったんです。1冊を社長・幹部編、2冊目に社員編という風にね。ただ、そう切り分けてしまうと社長や幹部は2冊目を読まないでしょう(笑)。だから第1章から第4章までは社長および幹部に、5章以降は社長をはじめ全社員に読んでいただきたいと1冊にまとめて書いているんです。
特に、セルフマネジメントの出来る人に成長し、同時に人の育成マネジメントが出来る社員へと成長する必要性を全社員によく理解してもらうことが重要です。
もちろん、その前提として社長がこの本の全容を理解することはとても大切です。仕組みやツールは何のために取り入れるのかという目的と、いつまでにどうなっていればいいのかというねらいを全社員へと説明し、納得を取り付ける役割が社長にはありますから。

この本では、人材育成のための目標管理に取り組むにあたり、チャレンジシートと、ランクUPノートという主に2つのツールを紹介しています。500社以上の会社に導入していただいている中で、自分の目標とその道筋を明らかにするために書くはずなのに、書くこと自体が目的化してしまっている会社もあるんです。つまり、外していけない部分を外してしまっている会社がある。それは社長をはじめとした幹部・管理職、そして全社員がしっかり目的の上に書いていくということをしないと、自ら考えて動き結果を出す社員に成長しないわけです。

なるほど。

東川: ただ最初からいきなり上手くいくことはありませんので、出来るまでやるというブレない信念を持って人材育成の仕組みづくりに取り組んでいただきたいです。

この自創経営による人材育成の仕組みを取り入れて上手くいっている会社さんは、社長がブレないこと、そして社員に対して成長をしてほしい、幸せになってほしいという期待や願いを常に伝え続けていくことが大切です。

ただ、推進するためにもちろん社長の言葉も必要ですが、それだけでは周知徹底させるのは難しいそうです。

東川: そうですね。だから、自創経営を推進する責任者を一人置いてほしいです。実際に社内で社員の育成体制づくり、土壌づくり、風土づくり、そして人が育つ文化として根付くまで、誰か一人、責任者としてチャレンジシートやランクUPノートが正しく活用されているのか、成長対話が適宜行われているのかというチェックし、フォローする人がいることが、成功を左右するでしょう。

トップダウンの方が、自創経営は根付くのでしょうか。

東川: 最初はトップダウンでスタートする形が多いですね。ただ、人が育つ体制づくりからはじめ、土壌が出来てきたら、現場からのボトムアップで進めていく。この仕組みづくりには、導入段階、定着段階、運営段階と3つの段階に分かれると思いますが、まずはトップダウンで導入しはじめて定着をさせていく。会社によってはそれだけで3~4年かかることもあると思います。

ただ、社員一人ひとりが本来の目的である成長という変化をするんだという認識を持って取り組まなければ、マンネリ化してしまうこともあります。だから、社員のわずかな成長という変化を見逃さずに喜んであげてほしいのです。最終的には毎年昇格に見合う社員の育成が出来て、報酬も上がったという社員を一人でもいいから輩出することが出来るまで取り組み続け、取り組み方を改善していけば、本当の意味で定着段階から運営段階へ進んでいけるのだと思います。

確かに制度の定着は時間がかかり、その間にダレてしまうことは多いですからね。

東川: すぐに上手く運営出来る人材育成の制度や社員が育つ文化が根付くなんてことはありません。だから、社長や幹部は覚悟を決め、腰を据えてじっくり取り組んでほしいですね。

東川 広伸(ひがしかわ・ひろのぶ)

■「自創経営」を受け継ぐための試練は超スパルタ!?

「自創経営」は父親の鷹年さんが創始者であるとうかがっています。東川さんはこの経営をどのように学んでいったのでしょうか。

東川: 私は26歳まで電気工事の職人として働いていまして、その時はかなり不安定な生活を送っていました(苦笑)。ちょうどその頃、私の父が「自創経営」について講演をしたり、本を出したり、あとはビデオを出したりしていて、それを一度聞いてみたところ、感銘を受けまして。息子として父の役に立ちたいと思い、後継者を志したいと父に伝えたんです。

ただ、それからが大変でした。自創経営の講演ビデオを何千回と見ていても、結局私には実績がないわけですから、自創経営のコンサルタントとして活動するためには、とにかく実績をつくらないといけないと。そこでリクルートの求人広告の代理店に中途入社し、営業マンとしてまずは1位を目指しました。

厳しい試練を課せられたわけですね。

東川: もともと職人だった私にとっては厳しかったですね。トップになれなかったらお前には資格がない、とまで言われましたから。そこで一から営業のやり方を学び、お客様に頼りにされ、喜ばれるにはどうすればよいのかを毎日考えて動きました。そして徹底的に自分の行動を変え続けることで何とか1位を取ることが出来たんです。

また、21世紀は女性が活躍する時代だということで、フランスの化粧品を仕入れて販売する会社に、店舗を運営する営業部長として採用していただき、そこでも結果を出しました。ここでは本書でも取り上げているランクUPノートという人材育成ツールを使って、毎月の店舗の売上目標、新規顧客の獲得人数、一人一人のお客様にお買い上げいただく品数など、目標管理を実践しました。

さらに、店長と私の1on1ミーティング、これはつまり本書の「成長対話」になるのですが、それを行いまして、店長、スタッフ一人一人の育成を体験し、全店舗単月黒字化を達成することが出来ました。

東川さんの修行はさらに進むのですか?

東川: はい。さらにもう一社、インテリア関連の商社なんですが、すでに自創経営を導入している会社がありまして、東京から大阪に進出するところで、私の父とその会社の社長が話し合いをして、私に大阪営業所の営業所長を任すということになったんです。「本社の社員にすごいと言われるだけの実績を出してこい!」とね。

本当にゼロからスタートで、東京本社の社長にご挨拶に行って、初年度の目標を聞いたら売上5200万円だ、と。その根拠もよく解らないままの始まりでしたが、幸い仕入れ先は本社から紹介してもらいましたが、関西での市場は自分で開拓していき、1年目から目標を達成し、さらに翌年度の1億2000万円ほどの売上見込みが立ったところで、父親から戻ってこいと言われ、父のカバン持ちをしながら、いろんな会社の自創経営への取り組みをサポートするようになったというわけです。

お父様の厳しさもさることながら、東川さんの成果に対するコミットメント度合いがすごいですね。

東川: 本の冒頭にも書きましたが、誰でも行動はする。大切なことは結果を出すという意志を持って行動することです。「やれば出来る」ではなく「出来るまでやる」。これは私の体験からも本当に大切なことだと思います。

また、要所で「自創経営」のメソッドを使って、様々な会社のスタッフに成長を促してきて結果を出してきている点もうかがえます。その中で東川さんは人材の「成長」をどのように感じ取ってきたのでしょうか。

東川: 成長とは、出来なかったことがある程度出来るようになる変化、そしてある程度出来ることが、もっと出来るようになる変化の2つが要だと思っています。

職種や役職など人にはそれぞれの立場があり、その立場に応じた役割があって、出来るようになる必要があることもそれぞれ違うんです。だから自創経営では、社員それぞれが自分の立場を正しく自覚し、その立場に応じた役割を果たすために何が出来るようになればいいのか、いつまでにどこまで出来るようになればいいのかを、セルフマネジメントしていき、成長という変化をしていくことが求められます。

ただ、人は他者からの助言がなければ未だ出来ていないことの気づきも得られにくいでしょうから、先輩や上司との1on1ミーティング、つまり成長対話が必要となるんです。成長対話の本質は「気づき」を得ること。私自身、今も父と成長対話を行っていますが、そこで毎回、自分に何が出来るようになる必要なのかを気づかせてもらっています。

年齢を重ねて地位も昇っていくと、自分に気付きを与えてくれる人も少なくなるように思います。助言してくれる人がいなくなるというか。

東川: それはあるでしょうね。いろんな会社の社長さんと話していると、社内に相談相手がいないという人がいるんです。弱みを見せられないと思っているのかもしれません。そういう場合は社外の人であったり、コンサルタントという立場の人にアドバイスを求めてもいいのかもしれません。

ただ、そのような人だけではなく、お客様と接している現場の社員や、商品を製造している工場スタッフなど、現場で働いている人と1on1をすると、いろんな経営課題に気付きます。さらに、経営課題だけではなく、社員一人一人の成長課題にも気づくことが出来るはずです。これは社長や上司の立場にとっては部下・後輩の育成課題となります。人が人を育成するための体制であり、土壌をしっかりつくっていけば、会社全体がボトムアップする。その課題に対してどう取り組んでいければいいのかということも分かるので、現場の社員と対話をすることが社長をはじめとした上司・先輩も気づきを得られ、その人自身の成長のきっかけになるという意味でも成長対話は極めて重要です。

この「自創経営」を、今後どのように広げていきたいと思っていますか?

東川: この本を一つのきっかけにしたいと思っています。私と父、体は2つしかありませんが、いろいろな会社の人材育成、人事制度改革でお役に立てるようにしていきたいですね。地道に少しずつ広げていくことに尽きるかなと。

セルフマネジメントが出来る組織になるためには、ある程度の長い時間はかかります。人材育成を成功に導くにしても、それなりの粘り強さは必要でしょうね。

東川: おっしゃる通りです。やはり自創経営の運営は相応の年数、だいたい8年くらいはかかります。ただ、ある特定のチームで自創経営に取り組んで1、2年に成果が出て、定着したというケースもたくさんありますから、そういう成功体験を積み重ねていただき、社内に広めていって欲しいなと思います。

コロナ禍の影響はこれからさらに出てくると言われています。中小企業の皆様にエールをお願いします。

東川: 今、資金繰り表や月次の決算書を見ると泣きそうになる。手が震える。そういう方もいるでしょう。厳しい現状だからこそ将来の会社のあるべき姿を描くのです。こういうお客様に喜んでもらうんだという商売のあるべき姿、事業のあるべき姿、そして会社のあるべき姿を社長自身がまず想像し、社員と多く語り合い、社員の想いも重ね合わせた経営ビジョンを描いていってほしいなと思います。

今の現実は厳しいけれど、この危機を乗り越えさえすればこういう姿になるよという経営ビジョンを描くことで、社員と一緒にワクワク出来る心の状態をつくっていただきたいですね。また、それは社長と全社員が健康であってこそですから、お互いに心身ともに健康で過ごしましょうとお伝えしたいです。

(了)

書籍情報

目次

  1. 1
    人が育ち、業績を上げ続ける”強い会社”を創る人財育成の仕組みとは
  2. 2
    セルフマネジメントの出来る社員を育成するというトップの覚悟
  3. 3
    経営ビジョンの実現に向けて全社員のベクトルが合う方法とは
  4. 4
    年間目標の必達が出来る社員が育つ目標管理の仕組みとは
  5. 5
    セルフマネジメントの出来る人に成長することによって、すべてが好転する
  6. 6
    人財育成のための目標管理チャレンジシステム実践法(『チャレンジシート』篇)
  7. 7
    人財育成のための目標管理チャレンジシステム実践法(『ランクUPノート』篇)
  8. 8
    社長を筆頭に全社員が「育成」を理解し実践すれば、必ず会社は変わる
  9. 9
    人財育成のための目標管理に必要な技術『成長対話』とは
  10. 10
    あなたの人生をより豊かにする『基礎づくりの3面』とは

プロフィール

東川 広伸(ひがしかわ・ひろのぶ)
東川 広伸(ひがしかわ・ひろのぶ)

東川 広伸(ひがしかわ・ひろのぶ)

1969年大阪府生まれ。(株)自創経営センター代表取締役社長。父親の東川鷹年氏が、建設機械レンタル業界大手の西尾レントオールの人事部長時代に考案した、人材育成(社員育成)の仕組み「自創経営」の伝承者。20代後半に、父親の仕事を継ぐ志を立て、父が出すいくつかの課題をクリアした。例えば、営業でナンバーワンになるという課題に対しては、リクルートの求人広告の代理店で、1年目から売上目標332.8%を達成、社長賞を受賞するなど活躍し、父の課題をクリアした。また、管理職として実績を残すという課題に対しては、化粧品販売会社に営業部長として転職し、1年で黒字転換を達成した。このように、いくつもの父の課題をクリアし、36歳のときに自創経営センターを設立した。
現時点で年間200社を超える企業に対して自創経営コンサルを行っており、訳20年超の歴史で500社以上の会社が「自創経営」に取り組んでいる。日本経営合理化協会で専任講師を務めており、『自創経営塾』『管理職養成講座』に登壇している。月刊『日経トップリーダー』で1年半の連載実績あり。

経営ビジョンを実現し、社員一人ひとりが幸せになる 自創経営「人材育成」 の仕組み

経営ビジョンを実現し、
社員一人ひとりが幸せになる
自創経営「人材育成」 の仕組み

著者:東川 広伸
出版:日本実業出版社
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